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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第6章 血の洋館 ――ブラッド洋館――
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第18話 ブラッド洋館のクローン准将

 “あのとき”の誤り。


 大切な弟子の危機。


 それに対する動揺、恐怖、苛立ち。


 そんな中に下した判断。


 そこに冷静さは存在していなかった。


 “あのとき”の誤りが、僅かな時を挟んで結果をもたらす――








































 【ブラッド島 ブラッド洋館】


 ブラッド島を管理・支配する役目を担っていたブラッド支部は陥落した。そこを支配していたコマンダー・レンドも死んだ。

 シリカと別れた私は、前に派遣したオリーブの無事を確かめに、ブラッド支部の近くにあるブラッド洋館へとやってきた。


「…………」


 オリーブを派遣したのはこの私だ。だが、彼女を派遣したのは失敗だった。彼女じゃコマンダー・レンドやコマンダー・クロアには及ばない。例えシリカの補助という意味合いでも、コミットやハーブなどのクローン准将をもう一人付けておくべきだった。

 ブラッド洋館はコマンダー・レンドとコマンダー・クロアの私邸だ。ブラッド支部に行っているとき以外は、基本的にこのブラッド洋館にいるらしい。


「それにしても広い館だ」


 薄暗くて不気味な洋館。赤茶色のレンガで造られた壁。赤いじゅうたんが敷かれた床。灰色の柱。後は殺風景な廊下が続く。そして、誰もいない。

 私は赤色の扉を開け、廊下から廊下へと出る。この洋館、かなり大きい。コマンダー・レンドらがネオ・連合政府に造らせたのだろう。


「…………!」


 廊下を歩いていると、奥側から誰かが歩いてくる。コマンダー・クロアか? それともオリーブか? ……いや、どちらでもない。


「ぅ……、ぐぅっ……」


 人型をしたそれは、おぼつかない足取りで歩いてくる。身体のアチコチに血の付いた包帯を巻いた女性――クローン兵か?

 彼女は一般的な軍用剣――アサルトソードを手に握っていた。だが、衣服を纏っていないその姿はどう考えても戦闘に相応しいとは言えない。


「止まれ」


 私は剣を抜き取り、ゆっくりと歩いてくる彼女を制止する。だが、彼女は私の声など耳に入っていないかのような動きだった。止まる気配すら見せず、ゆっくりと歩き続ける。

 そして、ある程度の距離まで歩いてくると、彼女は突然その場から飛び出し、私に斬りかかってくる。私は剣でそれを防ぎ、素早く彼女の後ろに回る。


「……ぁ、れ?」


 彼女の後ろに回った私は、火炎弾を飛ばす。炎を纏った魔法弾は、傷と包帯だらけの彼女の背中に着弾する。炎が上がり、火の粉が舞い散る。炎は彼女の身体のアチコチを覆う包帯に着火し、瞬く間にその身体を焼き尽くしていく。彼女は悲鳴を上げながらその場を転げまわり、やがて動かなくなった。息絶えたようだ。


「…………」


 私は剣を戻し、再び廊下を歩いていく。だが、しばらく歩いていると、再び傷と包帯だらけのクローン兵が現れる。今度もアサルトソードだけを持ち、衣服は一切纏っていない。


「またか……!」


 今度は私から斬りかかる。だが、さっきの彼女ほど身体能力は高くなかった。左胸から右わき腹にかけて、一振りで大きく斬り付けられた。鮮血が飛び散り、彼女はそのまま倒れる。


「…………!?」


 あまりにあっけなく倒れたクローン兵。私はその身体を転がし、背を向けさせる。胴体に撒き付けられた包帯をゆっくりと取っていく。現れた素肌には、まだ真新しい傷が色濃く残っていた。

 そのとき、奥からまたしても同じような容姿をしたクローン兵が歩いてくる。私は剣を手に取り、彼女に向かっていくと、軽々と彼女の持つアサルトソードを弾き飛ばす。そして、彼女を勢いよく押し倒す。


「お前たちは何者だ!」

「フィ、ルドさん……?」

「えっ?」


 傷ついき、包帯で多くの部分が覆われた彼女は、私をそっと抱きしめてくる。私は万が一のことを考え、密かにシールドを張る。


「私です、オリーブです……」

「なにっ!?」


 私は抱き締めてきた彼女を無理やり引き離し、その顔を見る。クローン兵は全て私の遺伝子から作られている。中々、判断が付かないが、オリーブに似ていると言えば似ている。


「ここで何があった……?」

「……、コマンダー・クロアが、います……」

「…………!」


 やはりコマンダー・クロアが……。彼女も連合七将軍の1人。だが、彼女が連合七将軍になった経緯はコマンダー・レンドとほぼ同じだ。ただ、実力はコマンダー・レンドの方が上らしい。


「ブラッド支部で、ハーピー、人質にされちゃって……降伏しちゃって、それで…ここでクロアに……」


 消えそうな声で言うオリーブ。シリカと同じように捕まってしまったらしいな。ああやって、次々とクリスター政府の将官を捕まえていく気だったんだな。


「さっきのクローン兵はなんだ?」


 私は腰に装備していた棒状の機械――スタンロッド型の魔法発生装置を使い、オリーブに回復魔法を大量に浴びせる(どうでもいいが、これは旧式の魔法発生装置だ)。


「あ、あれは、レンドとクロアの部下たちです」

「部下だと!?」

「はい、ネオ・連合政府は監視の意味合いも付けて、クローン准将6名、クローン少将2名をブラッド島に派遣していたようです」

「ネオ・連合政府が……」


 コマンダー・レンドは「連合政府」に捕えられ、デスペリア監獄でずっと拷問されていた。そしてそれはコマンダー・クロアも同じだ。2人とも「連合政府」のクローン軍人だったが、繰り返す残虐事件で庇いきれなくなり、デスペリア監獄に収監した。

 2人ともネオ・連合政府を怨んでいる。そんなネオ・連合政府に所属するクローン兵を大切にするハズもない。さっきの二人は――


「コマンダー・クロアはどこにいる? 案内しろ」

「了解です!」


 私は回復魔法で傷を癒したオリーブと一緒に、再びブラッド洋館を歩いていく。

 ――オリーブの話だと、このブラッド島にいるのはクローン准将6名とクローン少将2名の合計で8名。私が倒したのは2人。少なくともあと6人はいる計算になる。他の6人もさっきの2人のようなんだろうか……?

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