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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第5章 血の荒野 ――連合軍・ブラッド支部――
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第15話 コマンダー・レンド

 黒い夢が招き入れた狂気のクローン。


 狂気の強者は、弱者を支配する。


 弱者の生命は、自由は、身体は、強者の支配を受ける。


 まさに弱肉強食。


 だがそれは、自然の摂理に従ったモノでもあった。


 そして、狂気の強者は、それに従い、弱者を支配する――




































 【ブラッド島 荒野】


 アーカイズやケイレイト共に、メタルメカをネオ・パスリュー本部へと送った私は、ブラッド島へとやって来た。

 ネオ・パスリュー本部にいたコミットによると、ブラッド支部に派遣されたシリカとオリーブに連絡が付かなくなったらしい。それで私がこの島に派遣された。


「…………」


 ブラッド島はハーピー諸島主要7島の1つだ。クリスター政府の勢力下にあるウェポン島の西、連合政府の勢力下にあるストーム島の東に位置するが、両島の中間地点にあるワケではない。中間地点から遥か南に位置する。

 元ハーピー王国の女王ベーチェルによると、この島は流刑や死刑に処されたハーピーたちが送られる島だったらしい。ネオ・連合政府もそれを引き継ぎ、「処刑島」として使っている。

 そして、この島は死刑執行官を兼任するコマンダー・レンドとコマンダー・クロアが支配している。2人とも、あのケイレイトやメタルメカと同じ階級――大将・七将軍の地位にある。


「……ひどいな」


 ブラッド島は島全体が荒野だ。木々は少なく、赤茶色の硬い地面から生えているのは小さな色の濃い草ばかり。そして、それに紛れるように人骨があちこちに転がっている。――処刑されたハーピーたちだ。

 日は傾き、空は血の色となり、ますます不気味さが引き立てられている。正直、こんなところを歩く勇気を持ち合わせる者はそういないだろう。


 コマンダー・レンドはコミットやコマンダー・サターンたちと同じく、私の遺伝子から作り出されたクローンだ。

 彼女も「連合政府」の時代から所属していたらしいが、あちこちで殺戮を繰り返し、遂には連合政府すら彼女を捨て、罪人としてデスペリアという監獄に収監したらしい。だが、そのデスペリア監獄から彼女は脱走した。脱走後は1人で街や軍を襲い、飢えをしのいでいたらしい。

 やがて、連合政府はクリスター政府の前身組織「臨時政府」との戦いで圧倒的劣勢に立たされ、その道中で2つに分裂した。その片方が今の「ネオ・連合政府」だ。だが、彼らは人材不足に苦しんだ。そこで、コマンダー・レンドを大将として迎え、人材不足を補ったという。


 コマンダー・レンドは拷問を四六時中行うデスペリア支部に収監された経緯から、連合政府を怨んでいる。ネオ・連合政府に対しても同じだろう。彼女は決してネオ・連合政府に対して忠誠を誓っているワケじゃない。

 だが、それでもネオ・連合政府に加わったのは、飢えをしのぎ、毎日殺戮を楽しむためらしい。つまりは一時的に所属しているだけだ。ネオ・連合政府が崩壊すれば、また1人で街を襲う気らしい。

 ネオ・連合政府に忠誠を誓っていないからといって、放っておくワケにはいかない。狂気のクローンを、今ここで倒しておかなければ、また誰かが悲劇を味わうことになる。狂ったクローンを捕えるために、シリカが自ら出向いたのだが……





 【ブラッド島 ブラッド支部】


 しばらく荒野を歩き続けた私は、島のほぼ中心に位置するブラッド支部へとやってきた。ブラッド支部はエアロ支部やウェポン支部と比べると、ずいぶんと小さな支部だ。――当然か。ブラッド支部は軍用支部じゃない。ただ単に処刑するだけの施設だ。内部にあるのは監獄と処刑場だけ。

 ブラッド支部要塞は一部分のみが切れた円柱状の建物だ。施設の真ん中には大きな広場があり、それを囲うようにして建物――監獄がある。


「…………」


 そのまま広場へと通じる施設の大きな門。そこにネオ・連合軍の軍用兵器が待ち構えている。全てバトル=メシェディだ。なにをしている?


[きたな、フィルド=ネスト]


 私を出迎えるのは下級戦術ロボットのバトル=アレス。その後ろに10人のハーピーがいる。全員、手枷を付けられ、拘束されている。そして、拘束具の一種なのか、背中に灰色をした円柱状の物体が括り付けられている。


[武器を捨て、降伏しろ]

「バカかお前は? それは私のセリフだ」

[シリカとオリーブも降伏した]


 戯言を――。そう思うが、シリカとオリーブとは連絡が付かない。本当に降伏したのか? いや、そんなハズはない。


[もし、降伏しないのなら、――]

「しないのなら、なんだ?」

[――このハーピーたちを殺す]

「なに!?」


 ハーピーたちを!? バトル=アレスの後ろにいるハーピーたちを殺す? どうやってだ? ……いや、あの背負わされている円柱状の物体に何かあるんだろう。あれは……?

 だが、私はこんなところで降伏するワケにはいかない。そもそも、こんなところでグズグズしてたらパトフォーやコマンドに逃げられる。

 私はバトル=アレスに返答せず、彼に手をかざす。その瞬間、バトル=アレスの首と胴が離れる。超能力の斬撃だ。これぐらいワケない。


[あっ……]


 動揺するバトル=メシェディたちにも、同じようにように斬撃で身体を斬り壊していく。10体程度だったバトル=メシェディはあっという間に全滅する。

 コマンダー・レンドの目論みは崩れ去ったな。……そう思った瞬間だった。


「…………!」


 閃光と共に、ハーピーたちが背負わされていた円柱状の物体が勢いよく爆発する。爆音と共に爆炎が上がり、彼女たちの身体は声もなく、木端微塵になる。


「…………!?」


 辺りに煙と血の臭いが漂う。真っ赤な血や肉片が私の服にまで付着する。10人のハーピーたちは全員殺された。私がその事実に呆然としていると、ブラッド支部の門がゆっくりと開いていく。かかって来いということか……!

 私は地面に飛び散ったハーピーだったモノに黒いブーツを汚しながら、ブラッド支部の内部にある広場へと駆け込んでいく。


「ようこそ、ブラッド支部へ……」

「…………!」


 広場に飛び込んだ私の目に入ったのは、白地に青のラインが入った服――私と同じタイプの服を身に纏ったクローン軍人――シリカと、黒地に赤いラインが入った服を身に纏ったクローン軍人――コマンダー・レンドだった!

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