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ロスト・パートナー  作者: 葉都菜・創作クラブ
第4章 鉄の基地 ――連合軍・ウェポン支部――
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第13話 師弟関係

 哀れな黒い夢の奴隷人形。


 奴隷人形の意志は闇に消え、黒い夢の意志だけが残る。


 奴隷人形を解放するには、大きな痛みを伴う。


 その痛みを背負うのは、“奴隷人形の育てた弟子”。


 師弟の再会は、平穏なモノとはならない。


 黒い夢の冷笑が、再会に血をほとばしらせる――


















































 【ウェポン島 ウェポン・フォレスト】


 日が傾き、空はオレンジ色に染まる。ウェポン・フォレストの深い森も、昼の姿から夜の姿へと変わっていく。

 ケイレイトの恋人――メタルメカを捕えるために、私はウェポン島へとやってきた。ウェポン支部にはバトル=アルファやバトル=ベータ、バトル=メシェディなどといったロボット兵器が30万体も控えている。


「アーカイズ、待たせたな」


 特殊な鋼の装甲服を身に纏い、ウェポン支部の付近で待機していたクリスター政府のクローン中将――アーカイズと私は合流する。


「フィルド、メタルメカを捕まえるんだな?」

「……ケイレイト曰く、メタルメカは脳内にチップを埋め込まれているらしい。そのせいで、パトフォーの命令に――」

「知ってる」

「なに?」


 知っている? メタルメカの脳内にチップを埋め込まれている事を? ……どういうことだ?

 私がその真意を正そうとしたが、アーカイズは早足でウェポン・フォレストを進んでいく。……まぁ、いいか。後で聞けばいいだろう。少なくとも、今聞くことじゃない。





 【ウェポン島 ウェポン支部】


 ウェポン支部への侵入は思ったよりも簡単だった。ウェポン支部はバトル=アルファを中心とした部隊が警備を行っている。少なくとも、クローン兵が警備をしていたエアロ支部のときよりかは手薄だった。

 私とアーカイズは監視カメラやトラップ、警備中の軍用兵器の目を掻い潜り、メタルメカのいるという建物外の飛空艇離着陸場へと入っていく。


[メタルメカ将軍、エアロ支部へ派遣する部隊の準備が整いました]

「よし、今夜の21時に出発する。最終点検をしておけ」

[はい、メタルメカ将軍]


 黒い装甲服を身に纏った男――メタルメカだ。その側にいるのは、灰色をした大柄な人間型ロボット兵器――バトル・タクティクス=セカンドだ。エアロ支部にいたバトル・タクティクスと同じシリーズの戦術ロボット兵器……


「私が捕まえてくる」

「は?」


 突然、アーカイズが私の側から離れる。私の止める間もなく、彼女は大型戦闘ヘリ――ガンシップの影から歩き出し、堂々とメタルメカの後ろにまで歩いていく。


「メタルメカ将軍」


 アーカイズはハンドガンを抜き取り、メタルメカに声をかける。黒い装甲服を纏ったケイレイトの恋人はゆっくりと後ろを振り返る。


「……アーカイズ」

「お久しぶりです」


 久しぶりだと!? メタルメカとどういう関係なんだ!?


「今はクリスター政府に所属しているらしいな」

「はい。かつては私も連合政府のメンバーでしたが、今はクリスター政府特殊軍精鋭部隊の中将としてこの身を奉げています」

「……ということは、俺とお前の関係は「そういう関係」で間違いないな?」

「はい。あなたと私は師弟関係であり、敵対関係でもあります」


 師弟関係? ということは、――メタルメカがアーカイズの弟子だったということはないだろう――、メタルメカが師で、アーカイズが弟子だったということか。2人とも元々は連合政府所属だった。2人が師弟関係であっても、別になんら不思議なことではない。

 そうか、アーカイズがメタルメカの脳内にコントロール・チップが埋め込まれているのを知っているのは、彼女がメタルメカの弟子だったからか……


[動くな]

「…………!」


 ガンシップの影から様子を窺っていた私の背に、ハンドガンの銃口が押し当てられる。私は言葉を返さず、目にも留まらぬ動きで、振り向きざまに相手を殴り飛ばす。銃口を押し当てたバトル=メシェディは細い身体を弾き飛ばされ、近くのガンシップに叩き込まれる。


「フィルド=ネストも一緒だったか」

「……あなたの相手は私がします」

「ほう。アーカイズ、お前に戦闘を叩き込んだのはこの俺だ。勝てると?」

「基礎は確かにあなたから。でも、その後は自ら実践で……!」


 アーカイズは背中に背負った小型ジェット機を起動させ、夜空に飛び上がる。両手に持ったハンドガンを使い、メタルメカを狙い撃ちにする。だが、メタルメカもすぐに小型ジェット機を起動させ、そこから飛び上がる。彼の手にもハンドガンが握られていた。……戦い方が似てる。


[フィルドを殺すのだ]


 バトル=タクティクス・セカンドは、取り残された私を指差して、命令を出す。バトル=アルファや四本の脚を持ち両腕がマシンガンの軍用兵器――バトル=ベータが次々と走ってくる。


[攻撃セヨ!]

[破壊セヨ!]

「邪魔だ」


 私は走ってくる何十体もの軍用兵器に向かって大きな白い魔法弾――大型衝撃弾を飛ばす。着弾と同時に強い衝撃波を辺りに伝えるそれは、複数の軍用兵器を巻き込む。


「連合の軍用兵器もそろそろ飽きて――」


 そこまで言ったとき、急に斜め後ろから頬を殴られる。倒れそうになる身体をなんとか支え、体勢を立て直そうとする。だが、追い撃ちとばかりに今度は腹部に鋼の拳が叩き込まれ、今度こそ私は倒れる。


「げほっ――! なにをっ!」

[覚悟しろ]


 殴ってきたのはバトル=タクティクス・セカンドだった。上級戦術ロボットの拳には衝撃波が纏われていた。


「じょ、上級格闘ロボットでもあったのか。それは知らなかったぞ」


 私は苦笑いしながら、そこから飛び上がり、近くのガンシップの上に乗る。バトル=メシェディやバトル=ベータが私を狙い撃ちにしてくる。私はそこから別のガンシップに飛び移る。


[ちょこまかと……]

「なに、もう少しでそれも終わる」

[戯言を]


 かなりの数の軍用兵器が集まってきたな。空を見上げれば、小型の飛行型軍用兵器――バトル=スカイやバトル=デルタが飛んできている。


「バトル=タクティクスが衝撃波を纏えるとは知らなかった。……だが、ラグナロク魔法は纏えないだろう?」

[なにっ?]


 私はラグナロク魔法を限界まで纏い、真っ黒に染まった右腕で、空間を殴る。殴られた空間が歪んでいく。歪んでいく方向には無数の軍用兵器とガンシップ。さて、――

 一瞬の閃光。立て続けに起こる轟音と震動。何百体もの軍用兵器と何十機ものガンシップが激しい衝撃波によって弾き飛ばされていく。衝撃波は遠くに止めてあった上陸艦数隻をも吹き飛ばし、空中で砕いていく。

 バトル=タクティクス・セカンドの頑丈な身体も、ラグナロク魔法の前では無力だった。徐々に引き裂かれ、最後にはバラバラになって消えていった。

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