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白いツバサ  作者: 透坂雨音
第二幕 小さな旅路

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73 終章 たった独りのその夜



『???』


 静かなだけの石の町の中で、女性は一人佇んでいた。

 見上げれば夜の闇に、細々とした星月の明りが灯っている。


 周囲には、人、建物、草花。通りを歩く小さな動物の姿などもある。

 けれど、それらは石となり、時をそのまま止めてしまっていた。


 何一つ動かない景色の中。

 女性は動き出す。


 向かうのは町の外れだ。


 虫の音すらない静寂の中歩いて移動した女性は、町の終わりまで辿り着くと、自らが歩いてきた道をみやる。

 相変わらず何の変化もない、ただそこに在るだけの石の町の景色を。


「……」


 その町の姿を見て、常に冷えた色を秘めていた瞳の光が一瞬だけ揺らぐ。

 ほんの刹那。僅かばかりの時間。

 揺れる感情を瞳に表した女性は、けれど次の瞬間には何事もなかったかのように景色を見つめるのみだ。


「閉じろ」


 そして、ただ一言。

 女性がそう告げるのを受けて、石の町が透明な光のドームに包まれていく。

 石となった景色を閉じ込めるように、封印するように、あるいは……。


 完全に町が包まれていくのを見届けることなく、女性は踵を返してその場を去っていく。


 後には、結界によって周囲から隔たれた石の町が、静寂の中に残されるだけとなった。




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