268 終章
変われるとでも思ってるのか。
希望がまだあるとでも、そう思っているのだろうか。
彼らは。
今更……もう遅い。
何も知らなければ、楽に生きられた。
何も知らないままならば、愚かなままでも、幸せなままで生きられた。
それなのに知ってしまったならば、あとは不幸と苦しみに塗れることになるだろう。
ああ、なんて……
どこまでもどこまでも、憎らしく愚かしい者達なのだろう。
善意の裏から欺かれて。
無償の愛を信じ切って。
そうして綺麗な綺麗な光の当たった部分だけ見てきた者達。
お前達は、偽りの世界から真実の世界へ落ちた時に、どんな絶望を見せてくれるのだろうか。
だが、それは理不尽なものなどではない。
当然の報いなのだ。
目をそらし、誤魔化して、知らぬままに、怠惰に、楽に、逃げて、弱いままで、すがり切って、頼り切って、押し付けて、ぬぐいつけて、悪者にして、そうして生きてきた、その報いだ。
弱いままに甘えて、庇護に甘えて、与えられるままに甘えて、守られる事が当然だと勘違いして、任せることが当然だと勘違いして、進もうとも強くなろうとも思わなかった、その末路、当然の報いだ。
お前たちにはふさわしい終わり方。
そんなお前たちが生きる世界にはふさわしい終焉。
だから私は、この世界を壊すのだ。
精一杯の憎しみと復讐心と、偽りの愛情を、この世界に生きるおまえ達に。
次の幕までしばらくあきます。