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白いツバサ  作者: 透坂雨音
第四幕 マリオネットの踊る舞台
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106 第4章 城内説明



「長旅で疲れたでしょうから、今日はもうお休みになってください」


 話の終わりにそう言われて、姫乃達はお客様用の部屋へと案内された。

 謁見の間をでて、先ほどコヨミを引きずっていった女性、アテナについでに城の中を案内してもらう。

 彼女、アテナ・ルゥフェトルはお城の魔動装置研究の責任者らしい。


「この城の偉い人って皆ちっこいわけ?」

「コヨミ姫様って僕たちと同じくらいの年齢に見えたよねー」


 後ろで未利と啓区が小声でそんなやりとりをしている。


 それは私も気になったけど……。


「私はこう見えても成人してますです。大人の恋愛をしても大丈夫な歳ですですが、姫様はまだ十になるかならないかぐらいですね」


 聞きつけたアテナがそう教えてくれる。

 歳下だったんだ。

 それであんなにしっかりしてるなんてすごいな。


「あの歳でああって……どんな優秀なわけ」

「なあ知ってるの、優秀さんは頭がいい人ってことなの。いい人だからコヨミちゃまはいい人なの」

「いや、なあちゃんが考えてるいい人とはちょっと違うっていうか……」


 姫乃の心の言葉を未利が代弁すれば、なあがそんなズレたことを言った。


「優秀というよりはあの子は優しいだけだと思いますですよ。それと、あの方の日常の姿を見れば、そんな感想一瞬で吹き飛ぶと思いますですです」


 アテナは肩を落としながらそんな事を言うので、姫乃は初遭遇した時のことを思い出した。


 あの時は、あんな凄い人だとは思えなかったんだよね……。


 そんな風に雑談をしながら、城の主な場所を案内されていく。


「……で。こんな感じです。中庭は基本出入り自由ですが、深夜はどこかのお転婆姫が息抜きに出没するので驚かないでほしいですです。お風呂、食事は好きな時間に人を呼んで下されば用意しますですよ」


 コヨミ姫様、よく中庭に来るんだ。

 お仕事とかってやっぱりストレスたまるのかな。


 最後に用意された部屋までやってきて終了だ。

 アテナが扉を開ける。


「ここが貴方達の部屋です」


 一人一部屋。そこは一人で使うには広すぎる部屋だった。

 テーブルや衣装棚などの豪華な調度品に質のよさそうなカーペットやカーテン。

 天蓋付きのベッドはふかふかでとても気持ちよさそうだ。


「こんな所に、本当に良いのかな」

「良いんじゃないの? 落ち着かないってのは分かるけどさ」

「庶民的な生活をしてる身だとー、ちょっとわーってなるよねー」

「ぴゃ、なあはなんだか映画さんで見た事のあるお部屋だなって思うの」


 用事を終えたアテナは、一言そう言ってその場を去ろうとする。


「では、失礼しますです」

「あ、アテナさん。わざわざありがとうございました」

「いえいえ、これも私の仕事ですから。ちび……、姫様に会ったら仲良くしていただけると嬉しいですです」


 アテナが去っていったのを見届けてから改めて、部屋の中を観察する。

 さっきのなあちゃんの言葉を聞いた時にも思ったけど、本当に物語の中にいるみたいな気分になってくる。


「訓練室もあるって言ってたみたいだけど、今日は休みたいかな」

「確かに、体力的にはアレだけど、気疲れした感じだしね……」


 そんな感じで、荷物とかを整理してのんびり体を休めようかと思った矢先。

 部屋の扉が開いて、小柄な人物が入ってきた。


「ふぅ、やっとアテナがいなくなったわ。さぁ、堅苦しい話は抜きでお話しましょう。ところでさっきの話、興味あるからもうちょっと聞かせてくれない?」


 それはコヨミだった。



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