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白いツバサ  作者: 透坂雨音
短編 調合士の足跡
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弟子と師匠01



 ??? 『???』


 夜の闇の中には、何かが潜んでいる。


 今まで、両親からそう教えられてきた。


 だから、自分は夜の内に外に出ていけないらしい。


 外に出れるのは昼間だけ。


 私は子供だから、私の体の事をうまくコントロールできないから。


 だから、家の外に出れるのは昼間だけだった。


 外に出た私が何をするのか?


 何をしていると思う?


 実は、大した事はしていない。


 ただ、陽の当たる場所にいて、そこでぼうっとしながら、さらに外の世界を眺めるだけだった。


 外の世界の外。


 世界は私が想像するより、とてつもなく広いらしい。


 生まれてから私の瞳の中に入れた人間は十数人だけど、世界にはその何十倍。何万倍もの人間がいるらしいのだ。


 私にはとても想像できない。


 仮に想像したとしても、想像が追いつかない。


 だから、私にとって、家の外、外の外は、存在しないものと同じだった。


 けれどある時私は、そんな状況を変えようと思った。


 たぶん魔が刺したのだと思う。


 私はこれまでにたくさんの我慢を強いられてきた。


 大人達の事情も分かってるけれど、私の年を考えるとまだまだ好き放題に行動したいと考えるのが自然。


 だから、私はその日の夜。

 家を抜けだした。


 私の視線に映るのは、吸い込まれそうな深い天井の闇。


 ――夜の闇に魅入られた人間はもどってこれなくなるよ。


 私の家に伝わるおとぎ話の一文を思い出した。


 小さな震えが体を襲ったけれど、私は無視して走り出す。


 自由を知らないで生きるくらいなら、つかの間でもいいから、外に出たい。




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