ラストピース
……寒い。
愛奈「いきなり何よ?」
寒いんだよ
愛奈「知らないわよ。運動でもして暖まったら?」
嫌だ。スポーツ嫌い。
愛奈「じゃぁ、好きなものは?」
ネットとゲーム。
愛奈「……みなさんは、こんなダメ人間にならないで下さいね。では、本編どうぞ」
病院を何気ない顔で歩く。変にそわそわすると怪しまれるからだ。
レオンと出会ってから数週間。あたしが身に付けた技術はどれも普通の日常生活では使う必要性が皆無だ。この調子ならあたしは医者ではなく泥棒にでもなってしまいそうだ。
対する月さんはいつも通りの微笑ですれ違う看護師の方に挨拶をしていた。たまに月さんのことを二度見する人がいる。少し妬ける。が、今月さんの横にいるのはあたしなんだという優越感もある。あたしって……いやな女なのかな?
「あっ、すみません……少しお話していいですか?」
「はい?」
人の良さそうなおばあちゃんを見つけ声をかける。迷いの無い足取りで歩いていた為入院して数日ということはないだろう。あとは、このおばあちゃんが天童先生のお世話になっていたかだ。先程きいた二人は違っていたので次こそはという願いをこめる。
「実は……とある方について聞き込みをしてるんですが……天童宙氏は知っていらっしゃいましたか?」
「あら、私の担当していた先生だは。でも、あの方亡くなられたわよ。確か……殺人だったかしら?」
「はい。大学内の発砲事件で……それで、聞き込みしておりまして」
「そうかんですか……警察の方ですか?」
「あっ、いえ。僕は……僕らは宙の兄弟です。自己紹介が遅れました。天童月です。そして、こっちは妹の愛奈です」
「よろしくお願いします」
そういえば初めて呼び捨てで呼ばれたなと思いにやけそうになる口をおさえながら挨拶する。
「そうなんですか〜」
おばあちゃんは柔和な笑みを浮かべる。
「そうね〜、なにから話したらいいかしら?」
「では、兄はどのような人物でしたか?」
まずは、当たり障りのない質問をする。
「とても、いい方でしたよ。先生は皆さんに優しい方でしたから」
「例えば……どのような事を?」
ここらが本題だ。
「そうね〜。頻繁に病室を訪れてくれたりしてましたね。それに、これは噂程度ですけども、生活費が厳しい方には時折食べ物や暇潰しになるものを差し上げていたとか」
きた。望んでいた部分だ。
「そんな先生が亡くなられたなんて、信じられませんよ。あなた方も大変でしたね」
「は、はい」
正直いって天童先生の死で大変だったのは月さんの方だけだろうという気持ちをおさえこんで返事をする。
あれ?そういえば……天童先生のお葬式は開かれたのかな?月さんはなにも言ってなかったけど……最期にもう一度会いたかったな……
「そんな先生が横領事件を起こすとも考えられませんよ。きっと彼は無実です。私はそう信じていますよ、お二方」
「はい」
「ありがとうございます」
「じゃぁ、このぐらいでいいかしら?」
「あっ、はい。引き留めてしまってすみません」
「いいのよ、別に。あなた達も兄妹で頑張ってね」
もとより細い目をさらに細くさせておばあちゃんは立ち去った。
「月さん……これで天童先生があの女性だけでなくて他の患者にも金銭的援助をしていたのはほぼ確実ですね」
「はい。多分……これで、ピースはそろったと思います。発砲事件。暗号が示していた内容。兄さんの横領事件。そして金銭的援助。あとは、これをどうつなげるか、ですね」
あたしは黙ってうなずく。もうすぐ答えが見えてきそうだ。あたしの直感がそううったえていた。
愛奈「さっきの続きじゃありませんが、冬はお鍋とか美味しい食べ物も増えて変わりに外が寒くなって家に子守りがちな方もいらっしゃると思いますが、どうぞご健康に害の無いよう食べ過ぎの無いように又、運動不足にもならないよう気を付けてくださいね」




