揺らがない覚悟
奈美のいる病室。久しぶりに奈美の前に立った感覚だ。実際には二日ぶりなのになぜかそんな感覚におちいってしまう。私が暗号の謎解きをしたあと、今日は解散と言う形になった。月さんが天童先生のお葬式についての打ち合わせがあるらしい。私もその時は出席しよう。お焼香ぐらいあげなきゃ失礼だ。お世話にもなったし・・・でも、早く犯人を捕まえたい。返事は返ってこないけど、報告したい。私、復讐出来たよって・・・そりゃ、警察だって馬鹿じゃない。きっと、すぐに私を逮捕するだろう。いや、その時は月さんもいるだろう。復讐なんて、許されるはずがない。たとえ、どんな理由があろうとも、殺人(殺し)は殺人(殺し)だ。どれだけ美化しようともそこは変わらない。奈美達を撃った犯人だって家族がいて、彼、もしくは彼女と仲のいい人がいるだろう。私達は犯人のみならずその人も不幸にするかも知れない。もしかしたら私達と同じように復讐をするかも知れない。そうなったらまさにいたちごっこだ。誰かが誰かを殺し、その復讐にその誰かを殺す。そして、またその繰り返し。
「奈美、私馬鹿な事をしてるのかもしれないね」
眠っている奈美に向かって話しかける。
「ごめん・・・私、約束したもんね。絶対復讐するって」
あらためて決意を固める。犯人の事情なんて知らない。私の好きなようにする。たとえ、自己満足だとか、自己中だとか、犯罪者と言われようとも知らない。
「くくっ・・・そんなに苦しいのかい?」
今まで黙って見ていたレオンが私に話しかける。
「苦しい?何言ってんの?私は苦しくなんか」
「それが苦しんでるんじゃないの?復讐は辛いもんね。隠そうとしても無駄だよ。僕には愛奈の考えている事がわかる。愛奈自身より愛奈の事が分かるんだよ」
私より私の事がわかる?そんなはず「わかるよ、愛奈」っ!!心を読まれた。嘘じゃないのね。
「ふっ・・・さすが夢を捕まえる者ね」
「そうかい?」
「えぇ。でも、決意は揺らがないわよ。たとえどんなに苦しくても、辛くても私はあきらめないから・・・だからレオン、あんたも付き合いなさいよね」
「くくっ。わかったよ。でも、いつでも、願いの変更は受け付けるよ。あzつ、でも奈美を元気にしてとか事件が起きる前に時間を戻してとかは無理だよ」
「解ってるわよ」
私は短く言い切る。私の少し苛立った感情をよんだのかレオンは小さく肩を竦めてみせて黙った。それを軽く眺めてたら携帯のバイブレーションがなる。携帯を取り出す。名前は月さん?どうしたんだろう?
『兄の葬式なんですが、まだ行われないそうです。少しでも証拠を見つけたい警察が兄の遺体を返してくれないそうです。では、また明日』
ふーん、そっか。私もそろそろ帰ろう。今日は普通に家に帰って眠ろう。
「奈美、また来るから」
私は奈美に話しかけ病室をでた。




