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鎌ヶ谷琴羽って言います!

「不良じゃないんだったらどうしてこんなに遅いの?」


「それは……友達と遊びに行ってた……」


「ごめんねおにぃー。嘘つかせるつもりはなかったんだよ。おにぃーに友達がいるなんて……辛いことがあったんだね」


「だからほんとに友達と遊んできただけだから」


俺が小、中学と友達が1人もいなかったことを琴羽は知っている。だから俺が友達ができたことを信用してないらしい。


「大丈夫だよ。おにぃーには私がいるから」


「だから!友達ができたんだよ」


「えっ?」


琴羽は驚気のあまり口を開けたままにしていた。そりゃーそうだろ俺に友達ができたなんて俺だって信じられない。


「おにぃーどうゆうこと?」


「だから……友達が2人できました……」


「えーーーー!・・・・パパ、ママ、おにぃ友達が2人もできたんだって!」


琴羽が玄関前で叫ぶと、ドタドタと父と母がこちらに向かって来た。


「ゆうちゃん、お友達ができたってほんと!?」


「本当か悠人!」


「おにぃーに友達・・・・初めて友達ができたとおにぃが言ったから4月23日は友達記念日」


「サラダ記念日みたいに言うな!」


俺はついツッコミを入れてしまった。俺は家族の前だと堂々と話せるのに朝野さんや五十嵐さんを前にすると緊張してしまう。だって2人は初めてできた友達だし……。


「おにぃーに友達ができて琴は嬉しいよ。で、でどんな男の子なの?」


「私も気になるわ」


「悠人の友達は知っておかないとな」


「それは……なんていうか……女子です……」


「えーーーー!女子ってどういうこと?おにぃーってそういうタイプだったんだ……」 


「そういうタイプってどういうことだよ」


「もう友達は諦めてえっちな路線に行くのかと……」


「そういうわけじゃねぇよ。ただの友達だよ……多分」


「えっ?今、多分ってつけたよねー?なになに気になるんだけど」


琴羽は俺の肩を強く揺さぶりながら言った。俺は琴羽をなだめるために今日撮ったプリクラを見せた。


「この2人がおにぃーの友達?めっちゃくちゃかわいいじゃん!おにぃーいくら渡したの?」


「1円も渡してねぇよ」


「えっ?じゃあなんでおにぃーとこんなにかわいい人たちが仲良くしてるの?絶対なんかあるでしょ!弱みとか握った?」


「そんなんじゃ……俺にもわからねぇよ」


俺にもわからなかった。朝野さんは俺が面白いから仲良くしてくれているらしいけど実際のところ俺なんかと仲良くするメリットなどない。


「とにかく、そんだけだから」


俺はそう言って話を無理やり終え、自分の部屋に向かった。


「疲れたー」


俺はベッドに座ってさっきコンビニで買ってきた鮭おにぎりと焼きそばパンとグラタンを袋から出して食べた。どれも温めていなかったので冷たかった。


食べ終わったタイミングで朝野さんから連絡が届いた。


「ごめんね。電車でまた明日って言っちゃったけど今、時間ある?」


「あります」


俺の返信が既読になるとすぐ電話がかかってきた。


「もしもし、鎌っち」


「もしもし」


「おー、鎌っち!やっほー」


「こんばんは」


「今日はありがとう。楽しかった」


「俺も……初めて友達と遊んでみてわかった。友達っていいね」


俺は多分今、笑っているのだろう。だけどこんな顔誰にも見せられないと思った。


「鎌っち、成長したね」


「成長できたのかな……?」


「うん。だって今、笑ってるでしょ」


「えっ?」


「だって声に出てるよ」


俺が隠したいと思っていたことがバレていた。俺ってこんなに人に隠すの下手だったかな……。


「それはそうと・・・・すみっちとは仲良くなれた?」


「五十嵐さんとは少し仲……」


「おにぃー」


俺が話そうとしていたタイミングで琴羽が俺の部屋に入ってきた。


「何しにきたんだよ?」


「用があるのはおにぃーじゃない」


「まさか……」

 

すると琴羽は俺の携帯を取って朝野さんに話しかけ始めた。


「私、妹の鎌ヶ谷琴羽って言います!おにぃーの友達になってくれたんですよね!!ありがとうございます」


「琴羽ちゃん?鎌っち妹ちゃんいたんだ」


「すみません。琴羽にちゃんと言い聞かせておきます」


「いいよ、いいよ。琴羽ちゃん元気だねー」


「ありがとうございます!元気だけは取り柄なんで!」


「私は朝野ひまわり。よろしくね〜」


「ひまわりさん・・・・ひまねぇーって呼んでもいいですか?」


「琴羽それは流石に……」


「いいよ!私も琴ちゃんって呼んでいい?」


「いいんですか!!ぜひ呼んでください!」


琴羽は俺の妹と思えないくらいにコミュ力が高く友達も多い。俺はいまだに朝野さんや五十嵐さんと喋るときは緊張するのに琴羽はこの短時間で朝野さんと仲良くなっていた。

 

「あの、ひまねぇー……」


「どうしたの?」


「いくつか質問してもいいですか?」


「質問?いいよ!」


そう言われると琴羽はたくさん質問をし始めた。2人は俺がこの空間にいないかのように話をしている。


Q;好きな食べ物は何ですか?


A;うーんと……オムライスかな


Q;趣味とかあるんですか?


A;スポーツが好きだからスポーツ全般かな


Q;自分の長所は?


A;えーと、元気なところかな


Q;料理は得意ですか?


「ん?」


A;ほどほどにはできるよ


Q;私のことを妹として見れますか?


「は?」


A;えーと、見れるかな?……


Q;おにぃーの好きな所は?


「琴羽ーー!」


「もぉ何?いい所だったじゃん」


「後半の質問明らかにおかしかっただろ」


「だってひまねぇーは私の未来のお姉さんじゃないの?」


「……違ぇよ」


俺はこう言うしかなかった。だって俺と朝野さんは友達になったばかりでこれから先も俺は友達でいたいと思ってる。だけどもし朝野さんが俺を友達として必要としなくなったら……。だから俺はこの関係を維持したままでいることこそ1番最適だと思う。


「私が……琴ちゃんのお姉さんかー・・・・いいんじゃない?」


「えっ?それって……」


「なーんてね・・・・冗談だよ、冗談。鎌っちこれに引っかかるなんてかわいすぎー」


俺はいつものようにからかわれたのだ。そりゃあそうだよな、朝野さんが俺のことを好きなんてありえない。朝野さんはいつも明るくて、人気があって、友達も多い。方や俺は自己紹介すら失敗して、暗くて、友達もいない。そんなこと考えること自体がおこがましいんだ。


「ふぅーん、ありがとう。ひまねぇーとおにぃーは仲がいいってことがわかったよ」


「それってどういう?」


「なんでもなーい・・・・ひまねぇー、今度うちに遊びにきてね。美味しいご飯いっぱい作るから」


「ありがとう。楽しみにしてるね」


琴羽は朝野さんとの話を終えると俺に携帯を返して、部屋を去って行った。


「琴羽がごめんね」


「うん。全然大丈夫だよ。かわいい妹ちゃんだったね」


「うん。俺が1人でいるときいつもそばにいてくれたから」


「それって妹ちゃんってよりお姉ちゃんじゃない?」


「確かに……。俺より琴羽の方が頼りになるのは事実かも……」


「あははは。ってことは私は琴ちゃんの姉で、鎌っちは琴ちゃんの弟だから……つまり鎌っちは私の妹だ!私のことお姉ちゃんって呼んでもいいんだよ!」


「呼ばないよ」


「あははは。冗談だよ。鎌っちをからかうの楽しいな〜・・・・それに鎌っちともっと仲良くなりたいし」


「えっ?」


「敬語、少しは治ったんじゃない?」


「確かにそうかも」


俺は少しは仲良くなれたのだろうか。いつも敬語の俺がしっかりとタメ口で話すことができた。朝野さんが胸を張れるような友達に少しはなれたかな……。


「じゃあ、今日はありがとう」


「うん」


「また明日」


「また明日」


俺は電車で言えなかった言葉を返すことができた。嬉しかった。


♢♦︎♢♦︎


朝野家。


鎌っちとの電話緊張したー。まさか妹ちゃんがいたなんて。でもなんだろうな・・・・まだ4月で涼しいはずなのに


「あっつー」

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