1話
「それではこれから、進路指導集会を始めます。」
学年副主任の声に、生徒が礼をする。適当にするやつもいれば、真面目にやっているやつもいる。私は、良くも悪くも見られないくらいに礼をした。
私は今年中学3年生になったばかりであり、高校受験がいよいよ近づいてきていた。目標にしている高校は、北高校と言う県内トップ3のうちの一つだった。トップ3と言っても、東京に匹敵するとかでは全くない。東京と地方の田舎では、比べようもない。でも、わざわざ受験してまで中央に来たのに、今さら地元の高校にはいきたくなかった。
「....では、以上で進路指導集会を終わります。」
いつの間にか集会が終わりに向かっていたらしく、副主任の言葉に生徒がまちまちな礼をする。真面目に話を聞いていたのは128人のうち何人だろう。私も途中までは聞いていたが、どれも当たり前の事ばかりだったので、途中からは考え事をしていた。
「A組起立!」
代表委員の威勢の良い声でA組の生徒たちが起立する。椅子を持って実習室から退出していくのは、何十回と見た光景だ。そのうち私のクラスであるD組も呼ばれ、2階にある教室へと戻った。
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教室に戻ってくると、クラスメイトはさっきの集会の事を話し始めた。
「進路考えなきゃね。」、「私は県外かな。」、「俺寝てた。」等々、これも人それぞれである。
私はと言うと、成績に気を使っていかないといけない事に、なんとなく面倒くささと憂鬱感を感じていた。社会が甘くない事くらいわかっているが、学歴差別は薄情すぎないかとおもったりもする。
「ねえねえ、凛。凛って進路どうする?」
私の肩をたたいて話しかけてきたのは、多分一番仲がいい川上ゆうか。145cmもない身長をよくイジられている。
「進路か...。まだ良く分かんないよ。親は北高に行けっていうけどさ。ゆうかは?」
「うちは姉が秋高行ったから、親からもそこ行けって。絶対無理。」
ゆうかは秋高を目指しているけど、目標点までは全然らしい。最低でも420点は必要だけど、ゆうかは300行くかも怪しいくらいだ。ゆうかの成績が....と言うよりは、親がちゃんとゆうかの成績を見ているか心配になった。
「落ちたら私立だし、そこも落ちたら、うちは地元に戻るよ。」
私の地元の高校は、定員に対し0.7割で定員割れしている。あそこなら二次募集があるから、高校に入れないという事は防げるだろう。
その後もゆうかやほかのクラスメイトと会話しながら、担任が戻ってくるのを待った。その日は掃除も部活もなかったから、まっすぐ塾に向かい、いつ通り家へと帰った。




