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初恋の君に真紅の薔薇の花束を……  作者: 萩野紫苑
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12-9


☆☆☆


 社交界にデビューしていないアレクサンドラだけを残し、伯爵も夫人と、そしてジャスティーヌはわざわざ出迎えに来たロベルトに連れられ、二台の馬車でどこかの公爵家で開かれている舞踏会へと出かけていった。

 ロベルトからの支援で仕立てられた最高級のシルクをふんだんに使ったドレスを身にまとったジャスティーヌは光り輝くように美しく、出迎えに来たロベルトと見つめ合う姿は、アレクサンドラには神々しくて、手が届かない存在のように感じさせた。

 今は見合い相手という不確かな関係にある二人だが、アレクサンドラが社交界デビューを果たし、この見合いが終われば、正式にジャスティーヌはロベルトの婚約者となり、双子の姉妹とはいえ、アレクサンドラとは今までのような気やすい付き合いのできない存在になる。そして、結婚式が終われば、ジャスティーヌは正式にロベルトの妻として、王太子妃として王宮で暮らす身分になる。

 そうなれば、アレクサンドラと言葉を交わすのも、舞踏会やサロンで会った時くらいになってしまうだろう。いままでのように、ずっと一緒に過ごすことも、同じベッドで夜通し話をしたりすることもできなくなる。

 そんなことを考えながら、アレクサンドラは今日も言葉にすることが出来なかった自分の懺悔の言葉を胸の中で反芻した。

 一人きりなので、夕食はライラに頼んで自室で摂ることにし、皆には休みを取らせるように家令には話をしたが、弱小伯爵家にあって何事にも厳しい家令のコストナーがアレクサンドラの頼み通り、下々の者に休みを与えたかまでは確認する方法がなかった。

 ライラにも、食事のトレイを下げた後は自由にしてよいと伝え、アレクサンドラは一人文机に向かった。

 特に誰に手紙を書くわけでもなかったし、読みたい本があるわけでもなかった。それこそ、自分の罪を文字にするような浅はかな真似をするつもりは全くなかった。言葉でさえも口にすることが出来ないアレクサンドラは、この罪が許されなくてもいいと思うようになっていた。

 きっと、多くの人を騙し、恐れ多くも国王陛下、並びに王后陛下を謀った罪が重いことは、今考えれば、我ながら、よくもあんな畏れ多いことが出来たものだと、呆れてしまうほどの傍若無人ぶりだった。

 罪を犯した者は、深く後悔し、その罪を神の前に明らかにし、許しを受けると言うが、自分の罪を言葉にすることの出来ないアレクサンドラは、自分は許されるに値しないのではないかとも思うようになっていた。その理由は、何度、教会を訪ね、告解部屋に入っても一言も発することが出来ないからだけでなく、これから、より重い罪を犯す事が分かっていて、その罪から逃げることが出来ないからだった。

 アレクサンドラは聖書を片手に、神の御加護が両親とジャスティーヌの上にありますようにと、ただ祈り続けた。


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