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初恋の君に真紅の薔薇の花束を……  作者: 萩野紫苑
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12-8


☆☆☆


 毎日のように教会に通うアレクサンドラの姿に、伯爵は少し心配になってアリシアに声をかけた。

「アリシア、いったい何がどうなったら、ついこの間まで、ジャスティーヌにちょっかいを出すなら、バルザック侯爵の嫡男であるローゼンクロイツ伯爵の息の根を止めてやると息まいていたアレクサンドラが、毎日のように教会に通うようになるのだ?」

 かつてのアレクサンドラならば、教会に行くと言って屋敷を出て行き、森で射撃の練習をしている可能性もあったが、ライラを連れて毎日通うとなると、突然、信仰に目覚めたか、別に理由があるとしかルドルフには思えなかった。

「ライラにも尋ねましたが、教会の神父様とお祈りをした後、告解をしているようだということしかわかりませんでしたわ」

「アレクサンドラが懺悔だと?」

 考えられることと言えば、男の姿をして人々を謀っていたことを懺悔している以外には伯爵も想像がつかなかった。

「万が一、若い神父が教会に派遣されているのではと心配してライラに確認させましたが、神父は以前からいらっしゃる、もうよいお年のバーソロミュー神父様だけだとライラが話してくれました」

 アリシアの言葉に、女と言うものは、やはり男より罪深く疑り深い生き物なのではないかと伯爵は考えながらも、それ以上は何も言わなかった。

「信心深いという事はよいことだ」

 イルデランザ公国は、そういう意味ではエイゼンシュタインよりも信仰にも厳しいところがあるから、公爵家の嫡男が妻にとアレクサンドラを望んでいることを考えれば、アレクサンドラが信心深くなってくれることに越したことはなかった。しかし、父としては、自由なエイゼンシュタインから、自由気ままなアレクサンドラを何事につけても決まりの多いイルデランザに嫁がせることには大きな不安と、心配が付きまとって離れなかった。しかし、国王陛下から直接話が下ってきた点から考えると、国益を前面に出した政略結婚、両国間の和平の進展を狙ったものではなく、単純に甥のようなアントニウス可愛さの国王のわがままであることも伯爵は理解していた。それだけに、アレクサンドラ自身にアントニウスと交際する意思があるのか、ましてや、交際したとしても結婚し、イルデランザに嫁ぐ気があるかは、アレクサンドラの意思を一番に尊重してやりたいとも考えていた。何しろ、陛下から、もし万が一にも、アントニウスがアレクサンドラのハートを射止められなければ、何のお咎めもないと約束されたのだから、アレクサンドラの決意に一点の曇りでもあれば、父としてこの話を流す覚悟はできていた。


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