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アレクサンドラの事を考えると、胸がはやって寝られなかったアントニウスは、朝食をスキップして昼食の時間まで眠り続けた。
目覚めたアントニウスは、リカルド三世の午後のプライベートな散歩に招かれたことをミケーレから知らされ、ベッドの上でガッツポーズをとった。
誰に聞かれるかわからないサロンでの話よりも、アントニウスにとっては都合が良かった。
国王のためのプライベートガーデンでリカルド三世が散歩をする場合、当然、庭師は下がっているし、護衛ですらプライベートガーデンの外で護衛に当たるのが決まりだ。つまり、プライベートガーデンは、唯一、国王が一人になれる場所なのだ。
これほどアントニウスにとって都合の良い場所は他にはない。誰に聞かれる心配もなく、アントニウスの秘めたるアレクサンドラへの想いを打ち明けるにはぴったりの場所だった。
実際のところ、王太子であるロベルトがプライベートガーデンを散歩する時は、王太子に関わるエチケットに従い、必ず侍従長か、次席にあたる侍従長補佐がぴったりとロベルトにくっついているので、そういう意味でロベルトが一人になるには、私室で人払いをする他はない。
「では、今日の装いは派手すぎないように、少し落ち着いたものにしてくれ」
アントニウスは指示すると、とりあえず着替えを済ませて昼食を摂るために階下へと降りていった。




