序章
記念すべき第一話です。
手に取って読んでいただきありがとうございます
ギシ、ギシ、
前に進むたびに床のきしむ音がする。
齢16であるフリスクは父の所有していた家のひとつを訪れていた。
しかし家といっても、ほぼ放置され、管理が行き届いていなかったのでボロボロ。
蜘蛛の巣もそこら中に張り巡らされている。
しかし、それゆえフリスクの子供のような好奇心をくすぐった。
それで、ここに来たのだけれど。
行ってみれば特に貴重なものだったり値打ちものは今のところ見つかっていない。
しいていうなれば、この硬貨とか?
けれどまったくもって価値があるようには見えない。
なんならこの硬貨、最近どこかで見た気がする。
そんなことを考えながらも希望を捨てずにひとつひとつごみをどけながら箱を開けていく。
時々虫が飛び出てくることがあるので、そんな時は最悪なびっくり箱を開けてしまった気分だ。
フリスクは次々と箱を開けていく。
しかし特に何もないまま残りわずかになったとき、箱の奥になにかきらめくものが見えた。
フリスクはそれを手に取る。
それはまだ原形をとどめ、偏食の兆しさえ一切見えていない小さめカギだった
鍵。。。?
この家にほかに宝箱でもあるのだろうか。
フリスクはあたりを見回す。
すると、壊れかかった棚の上に小さな箱があるのに気付いた。
フリスクは手を伸ばし、箱を手に取り鍵穴を確認する。
ややさびていて、機能するのか疑問だったが、鍵穴にカギを差し込んだ。
しかし回そうとしてもうまく回らない。
やはり古いものなんだな。
多少強引にカギを回すと、箱の中から一つの黒い袋が出てきた。
袋を開けると、その中身は白銀色に輝く懐中時計だった。
フリスクはその懐中時計を前に喜びをかみしめる。
来たかいがあった!
状態の確認をするためにフリスクは懐中時計上部のラウンボタンを押し込む。
するとあたりの空間がゆがむように変化し、空間の断片とともに自身も激しい眠気に落ちていった。
この物語をお読みいただき、心より感謝申し上げます。
次回のエピソードもぜひお読みいただけますと幸いです。