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一章 桜舞うこの日

外は、空色とピンク色に染まっていた。

「今日から先輩になるのかぁ〜」

双葉がワクワクした様子で、落ち着かない感じで登校していた。今日は始業式で、二年生になるのだ。通学路には同じ制服を着た人々が笑顔に花を咲かせながら登校していた。

正門をくぐると、新入生を歓迎する看板が建てられていた。

『ようこそ藤成高等学校』

恐らく書道部の生徒達が書いたのだろう。習字の墨と筆で文字が書かれており、習字などあまりやったことが無いが、多分とても達筆であった。

「…やぁ…」

「あっ、新羅くん!」

駐輪場で新羅と会った。偶々同じタイミングで登校をしていたのだ。そんな彼はいつもより少し緊張している様子だった。

「どうしたの新羅くん?」

「…人が…」

確かに、駐輪場の周りにはまだ話したことの無い人や新入生が沢山いた。人見知りの彼はそんな状況には苦手と感じるのだ。

「じゃあ、早く教室に行こっか!」

「…うん…」

新羅は顔を少し伏せながら双葉と一緒に教室へ向かった。今日から下駄箱の場所や教室の場所が代わる。しかもクラス替えもあったのだ。

(亮真くん…)

双葉は亮真と別のクラスになってしまった。亮真だけではなく、いつもの五人は結構別々になってしまった。

高遠亮真 五組

足立綾野 五組

渡辺双葉 二組

十川新羅 二組

中山嬢子 一組

当然、別々のクラスになったとしても会えなくなる訳では無いが、何か寂しさを感じるところがあった。その事実に、双葉は小さく溜め息を漏らした。


二年五組、その教室内は凄いムードとなっていた。

(なんでまた綾野なんだよ…)

(なんでまた亮真なんだよ…)

二人は落ち着いて席に座っていたが、一緒のクラスになったことへの不満を募らせていた。ただ気の所為かもしれないが、お互いに嬉しそうな顔をしているようにも見えた。周りからはヒソヒソ声が聞こえる。

「あの二人…仲悪いのか…?」

「知らね、悪いんじゃね?」

教室の端っこの方からヒソヒソ声が聞こえた。勿論、亮真はそのヒソヒソ声を嫌でも全て聞き取っていた。その声を聞くたびに不機嫌そうな嬉しそうな顔をしている。

「本当にさ…あの二人素直じゃないよね…」

「それな、ツンデレカップルじゃん。」

後ろの方からもヒソヒソ声が聞こえてきた。その声を聞くたびに更に不機嫌そうな嬉しそうな顔をする亮真なのであった。

(俺は暴力メスゴリラの飼育員じゃねぇぞ…!)

(…なんかすげぇ悪口言われた気がしたなァ…)

こうして、教室内に氷河期を共に作っていく亮真と綾野は互いに黙り合いを続けた。


ガラッ!

二年一組のドアが勢いよく開かれる。先に教室にいた生徒達が一斉にドアが開く音の方を見た。そこには、ピンク色の上品な髪型をした女子が立っていた。

コツコツコツ…

まるでハイヒールのような綺麗な音を立てながら自分の席へ歩く。その姿は、まるでランウェイの上を堂々と歩くモデルのような姿であった。

「嬢子さん…おはよう…」

元々同じクラスだった女子生徒が嬢子に挨拶をしてみる。この女子生徒は相当の勇気があるのか、それとも肝が座りすぎてもはや寝転がっているのだろう。

「ふん、御機嫌よう」

ぶっきらぼうで、上品な挨拶を返した嬢子。女子生徒はほっと息を撫で下ろしたと同時に、何故あそこで挨拶をしてしまったのか自分でもよくわかっていなかったのであった。仲良くなりたい?興味本位で?謎は深まるばかりであった。

ギィーッ

嬢子は細く大きいあの音をたてながら椅子に座る。脚と腕を組んでじっと前を見続けながら、胸を張って座っていた。

「…ヤバいな。」

「あぁ、親が金持ちだからな。」

「嬢子ちゃんってさ〜、偉そうだよね〜」

「マジそれな。」

周りからヒソヒソ話をされているが、嬢子はそんなことで折れるような女子ではない。自分の上品さを、偉さを見せつけるために今日も奮闘する嬢子なのであった。


「本当に離れ離れになっちゃったね…」

いつもの五人は空き教室で話していた。そんな中、双葉は別々のクラスになったことで上の空だった。

「仕方が無いよ、こればっかりは運だからな。」

「運っつーか…どうやって決めてんのかよくわからねぇや。」

綾野と亮真は言う。あくまでも噂だが、学校のクラス替えはくじ引きだったり先生達が決めていたりしているらしい。嘘か真かは定かでは無い。

「このままじゃ皆と合う時間が減っちゃうよ…」

「…うぅ…」

今まで仲が良い五人で集まることが心強かった新羅にとっても、クラスが別々になり寂しい気持ちになる双葉も、クラス替えの結果は良くないものだった。

「これが運命というものだ渡辺双葉。」

「時間が経ちゃ慣れ…」

亮真が急に話すのをやめる。

「どうしたの亮真くん?」

ガタッ ガラガラ

亮真は急に立ち上がり、教室のドアを開けて空き教室から飛び出して行ってしまった。目は見開き、焦った様子で駆け出して行った。

「ちょっ、亮真くん?!」

「あの馬鹿…今度はなんだ?」

「…行く?…」

「仕方ない、妾が行こう。」

「あっ、私も行く!」

「…僕も…」

「全く…全員で行くか。」

そうして四人は立ち上がり、空き教室の外へ飛び出した。それにしても、あの亮真の様子を見て只事では無いことがわかる。何が起きたというのか分からなかった。


廊下を全速力で走る。その様子は只事ではないことは廊下で次々にすれ違う生徒は悟った。そして、皆が亮真を見る。

カチッ ガラガラガラ

亮真は急いで渡り廊下の窓を開ける。そして、窓の縁に脚を掛けて、飛び降りたのだ。

「あっ!アイツ何やってんだ?!」

「あー救急車だな。」

皆が亮真を見ている中、亮真は周りの人間のことなど意識せずに自分の今の目的を全うしようとした。そして、着地をした瞬間にまた全速力で走り出した。

「え、普通に走ってんだけど。」

「化け物じゃん。」

「救急車どうする?」

そんな声がする中、亮真は刀を取り出す。その先には一人の女子生徒が居た。そして、女子生徒に向けて亮真は

刀を投げた。

女子生徒が振り返る。目の前には飛んでくる刀があった。勿論、それを見た女子生徒は頭の中が真っ白になった。

「えっ…?あっ?へ?」

そして、

ザクッ

刀が突き刺さる。血が溢れ出す。

空中で。

女子生徒は目を瞑ったまま頭を伏せてしゃがみ込んでいた。そして、空中に浮いて血を噴き出す刀から何かが現れ始めた。それは、誰もが一目見て分かった。頭から触手を生やした怪物が姿を現したのだった。

「何故…分かった…」

その怪物は亮真の方へ振り返る。見た目が人型だったり言葉を話していることから怪物ではなく、怪人だということがわかった。

「ただの勘だ。」

「ククッ…」

怪人が笑う。まるで自分が勝ち誇ったかのような笑みを浮かべて亮真の方へ歩みを始めた。

「残念だったなァ?お前は今、丸腰だ!」

亮真を煽るように怪人は言い放った。亮真は真顔で怪人を見つめている。そして、笑った。

「やってみろよ。雑魚。」

その時、怪人の頭の中で糸がプツンと切れる音がした。腹の中が煮え返るような感覚、まさしく怒りの感情が込み上げてくる。丸腰だというのに亮真の生意気な態度を見て怒りが爆発した。

「この!殺してやる!」

怪人は頭の触手を亮真の方に伸ばした。亮真の腹を貫く予定だった触手はいとも簡単に亮真の蹴りによって弾き返される。

「このっ!このっ!」

次々と触手を伸ばして攻撃する。身体を貫こうとしたら触手を使い拘束しようと只管に攻撃を続ける怪人だったが、全て蹴りや殴りで弾き返されてしまう。

「何故だ…」

「もう終わりか?」

その瞬間、亮真は瞬時に怪人に接近し、その刀が突き刺さっている腹に蹴りを加えた。腹から更に痛みが走ってくる。

「がぁっ…!」

「怒りは何も生まないって知ってるか?」

そして腹に蹴りを加えたその流れに乗り、怪人にアッパーを喰らわした。次に亮真は飛び上がり、空中に飛ばされた怪人を空中で顔面に蹴りを加える。怪人は瞬く間に吹き飛ばされた。

ドスン

怪人が地面に叩きつけられる。強過ぎる。生身の人間だというのに怪人の自分が負けてしまうことに屈辱を感じる。生身では人間より怪人のほうが普通は強いはずなのに、それなのに自分はこの男子生徒に負けてしまうのか。怪人は目を開く。その目に入ってきたのは先ほど襲いかかろうとした女子生徒が立ち尽くしていた。

(これだ…!)

怪人は亮真の方を見る。亮真は表情を変えずにただ怪人の方を見ていた。動き出す様子は無い。怪人にとっては絶好のチャンスなのであった。

(今だ!)

怪人は瞬時に立ち上がり、立ち尽くしていた女子生徒の方へ駆け出す。そして、あっという間に女子生徒は捕まってしまった。

「がはは!人質を取ったぞ!殺されたくなければ今すぐ自分で自分の首を絞めて死ね!」

興奮した様子で怪人は言い放った。しかし、亮真は微動だにしない。ただ、表情を変えずに怪人の方を見ていた。

「たっ、助けて…」

怯えた様子で亮真の方を見る女子生徒。今の自分の状況をやっと理解したそうで、震えた声で涙を流しながら亮真に助けを求める。しかし、

(なんで…助けてくれないの…?)

亮真は動き出す気配は無かった。ただ、真顔で怪人を見ていた。その思考を読めない顔に女子生徒は少し恐怖を覚えた。

(…見捨て…られたんだ…)

女子生徒はギュッと目を瞑り、覚悟を決めようとした。すると、亮真が口を開いた。

「残念だが、お前はここで死ぬ。」

ぶっきらぼうに言い放った。その言葉に、女子生徒は確信した。もう、人質にされているから助けることが出来ないと諦めた。

「がはは!もう諦めたか!早く首を絞…」

ザクッ

女子生徒の頭に液体が流れ込んで来る。見てみると、赤い液体でまるで血液のような液体だった。

「…よくやった、お前。」

怪人の首が目の前に落ちていることに今気が付いた。そして、後ろから声が聞こえたのだ。

「へっ、俺、大活躍やんけな?」

「まぁな。」

後ろを振り返る。すると、そこには訛った口調で話している男子生徒がいた。その手には武器"大鎌"を持っていた。

「新入生だな、感謝する。」

「まぁ、所詮首撥ねただけですわ。」

「俺の名前は高遠亮真だ。」

「俺は五十嵐響也ですわ、よろしくな〜」

二人が話していると、玄関の方から誰かが走ってくる。

「亮真く〜ん!」

「どうやら、無事なようだな。」

「…怪我は…無さそう…」

「まぁ、高遠亮真だからな。」

四人の生徒が亮真に駆け寄る。そして、いつもの五人が集まったのだ。

「おやおや、君付けたァ彼女さんですかねェ、先輩さん。」

「えっ、私と亮真くんが!そんなぁ〜えへへ。」

「付き合った覚えは無いぞ。」

六人が話しているのを見て、女子生徒は立ち尽くしていた。さっきまで命の危機に瀕していたので放心状態になっているのだろう。

「兎に角、無事で良かった。」

「おい、服が無事じゃないぞそこのお前。」

「あっ、私ですか?」

その女子生徒の服は、怪人の血液で真っ赤に染まっていた。もう元々赤色の制服を着ていたのではないかと思うくらいの赤さであった。

「あっ、買ったばかりなのに…」

「妾がなんとかしてやる。」

すると、嬢子はスマホを取り出し、誰かに電話をし始めた。何を話しているかはよく聞き取れなかった。

「今から妾の家に向かう。付いて来い。」

「えっ?そんな悪いです…」

「黙って妾の言う事を聞け。」

「…はい…」

高圧をかけられ嬢子にお世話になることにした女子生徒。嬢子の姿はいかにもお嬢様のように見えたのだ。すると、

「来たぞ。」

嬢子は正門の方に目をやる。それに合わせて女子生徒も正門の方を見ると、黒いリムジンが学校に入っていたのだ。

「…へ?」

「乗れ。」

女子生徒は言われるがままリムジンの中に乗り込む。車内は高級そうなシートがあり、真ん中にテーブルがあるという漫画やアニメでしか見ないような車内であった。

「何をしている、お前らも乗れ。」

「もう乗ってるぞ。」

「きゃっ!」

気が付くと、先ほど女子生徒を助けた亮真が女子生徒の隣に座っていた。黄緑色の髪と瞳、美しい顔を見てつい顔を赤くする。

「いつから乗っていた高遠亮真。」

「今さっき。」

いつの間にか車内にいたことは嬢子もわかっていない様子だった。しかし、そんなことはあまり気にしている様子は無かった。

「あっ!私も亮真くんの隣に座る!」

双葉が亮真のもう隣に座る。亮真は女子生徒と双葉に挟まれた状態になる。両側から何か柔らかいものが当たっているが、亮真は気にしていない様子だった。

「おや、随分モテてますなァ先輩。」

響也が亮真達と向かい側の席に座った。そして、亮真達の様子をニヤニヤしながら観察していた。

しかし、亮真は反応せずにただ真っ直ぐ前を見ていた。

「亮真、私の双葉とくっつくな。」

亮真の様子を見て不機嫌な顔をしながら綾野が双葉の隣に座った。そして、亮真を睨みつけている。しかし、そんな状況でも亮真は動ずることは無く前を見続けていた。

「モテすぎやろ先輩。」

「私は双葉が大好きなだけだ!」

「ひぃ〜っ、怖いわ〜」

おちょくる響也を横目に白髪の黒縁眼鏡をかけた新羅が車内に入って来た。車内を見るなり、車の出口の一番近い席に座った。

「…」

ずっと黙ったまま只管に下を見続けている。しかし、響也は構わず突っかかる。

「先輩?名前教えてくれませんかねェ?」

「…十川新羅…」

「新羅先輩?ずと下向いてると首ヤりますぜ。」

「…うん…」

そんな感じで話していると、エンジンが再びかかる音がした。そして、助手席に嬢子が座り込んだ。

「出発するぞ、シートベルトをしろ。」

皆がシートベルトをする。

「おい、このシートベルトは一人用だ。」

「私は一緒にシートベルトでもいいよ?」

「良い訳無いだろ。」

イチャつく亮真と双葉。その隣で亮真に殺意の眼光を光らせている綾野と、羨ましそうにして顔を赤く染めながらチラチラ見ている女子生徒が座っている。賑やかだ。

「…こりゃ、あきまへんな。」

響也は呆れた様子で車内を見ていた。


「着いたぞ。」

嬢子はシートベルトを外し、外に出た。そこは、ショッピングモール等で見る地下駐車場のような場所だった。他にも、ポルシェやベンツと高級車が並んでいたのだ。

「嬢子先輩、もしかして駐車場貸してはります?」

「全部私の車だ。」

響也は驚愕した。リムジンで迎えに来たときから大金持ちなのはわかっていたが、まさかこんなにも金持ちだとは予想できなかった。そして、嬢子は只者ではないと思う響也だった。

「広いね亮真くん!」

「くっつくな。」

「…」

「…」

亮真にくっつく双葉、その側で今にも手が出そうな表情で亮真を見ている綾野。顔を赤くして俯いたまま亮真の側を歩く唯愛だった。

車内で聞いたが、この女子生徒の名前は相原唯愛という名前である。一応武器として"タガー"を持っているが、戦闘に使ったことは無い。

「…」

「新羅先輩、趣味とかあるんですか?」

「…アニメとか…漫画とか…ゲーム…」

「成る程、俺あんまそーいうん観てへんすわ。」

「…」

会話は続くことは無かった。陰キャは基本的に自分から話さないので、諦めるか只管に質問を投げかけるしかないのだ。但し、そんな神みたいな人は残念ながら現実には殆ど居ない。

「この先だ。」

階段に指を差す嬢子。

「妾の家にようこそ。」


それは豪華過ぎるように見えた。なんか高そうな家具があったりよくわからない絵が飾られている。照明も小さいシャンデリアのようなものであり、とてもリラックス出来るような家では無かった。

「風呂はあそこだ相原唯愛。」

「あっ、ありがとうございます。」

緊張した様子で脱衣場の中へ入っていった。他の皆はあまりの豪華さに立ち尽くしていた。亮真は当たり前かのようにソファで横になっていた。

「皆も座れ。」

一斉にソファに座る。ソファは亮真が横になっても全員が座れるくらいの大きさだった。皆は緊張し過ぎて目が見開いて居るが、亮真はウトウトし始めていた。

「手伝い、菓子を持ってこい。」

「かしこまりました。」

嬢子がお手伝いさんに命令する。その瞬間、亮真はガバッと起きて目の前にあるテーブルを見つめた。

「こちら、マカロンでございます。」

装飾が施された銀色の皿の上に、色とりどりなマカロンが並べられている。恐らく、このマカロン達は物凄い高いものなのだろう。嬢子と亮真は手にとって食べた。

「美味いぞ。」

「これ、どこで売ってんだ?」

「◯デュレだ。」

「今度買いに行こ。」

亮真と嬢子は会話を続ける。オススメのお菓子や駄菓子の魅力について語ったていた。嬢子は意外と駄菓子も好きらしい。気が付くと、皿の上にのっていたマカロンは無くなっていた。

(先輩、適応能力高すぎやろ…)

響也は心の中でツッこんだ。

「先輩達、仲結構良いんすか?」

響也が質問してみる。怪人を倒した時にはすぐさま亮真に駆け寄っていた。こんや豪華な家に招待したりリムジンでお出迎えしていたりと、これらの様子を見ると仲が結構良いことがわかる。

「そうだよ!私達仲良しなの!」

明るく双葉が答える。亮真と綾野は互いにそっぽを向いていたが、見たところツンデレだと思う。そして、双葉が悲しそうに続けた。

「でも、別々のクラスになっちゃって…」

「ほーん…」

(別々のクラスなってもうた…と…)

響也が考え込む。何か良いものが思い付きそうな気がしたからだ。すると、脱衣場のドアが開き唯愛が出てきた。その瞬間、響也は閃いた。

「あの、ありがとうございました。」

「構わん。」

「クラスが別々になってもうたんなら…」

皆が響也を見る。

「部活、作るのええんとちゃいます?」

その言葉に綾野は首を傾げた。

「なんの部活だ?」

「聞いたんす、ここに居る全員、武器持っとるって。」

そして、響也は続けた。

「だから、武器に関する部活作りゃええと思ったんすよ。」

そのアイディアはとても魅力的に感じた。双葉は勿論その意見に賛成をする。

「それいいね!」

「私も…良いと思います。」

「…良い…」

「作ろう五十嵐響也。」

「双葉が入るなら、私も入る。」

「…仕方ねぇな…」

響也は全員から賛同を受けた。

「ほな、決まりっすね。」

「部活の名前はどうするんだ?」

皆が考える。

「芸術部にしよう。」

「なんでやねん!」

亮真は響也にツッコミを入れられた。完全に考える気が無い亮真を横目に、どうやら名前が浮かんできたようだ。

「武器部…とか?」

「やはりそれしかないな相原唯愛。」

「それで決まりやな。」

武器部。上から読んでもブキブ、下から読んでもブキブ。

「どうした作者。」

何でもないです。

「部長は亮真先輩っすかね。」

「は?俺?」

「この中で一番強いのはお前だぞ高遠亮真。」

「確かに、怪人相手に素手で戦ってましたもんね。」

「亮真くんが適任だよ!」

皆からの熱い推薦が入る。そして、渋々とした顔で亮真が言う。

「ったく…仕方ねぇな。」

渋々承諾した。

「亮真が部長は何か気に食わないけど、私が副部長をやる。」

「ありがとうございやす綾野先輩。」

部活に関することが大体決まったところで、時計は16時を指していた。時計も勿論豪華だった。

「そろそろ帰る時間だな。」

「妾が送ってやろう。」

皆は立ち上がり、嬢子の後について行く。ドアを開け、階段を降り、先ほど最初にリムジンで来た地下駐車場に着いた。

「手伝い、送ってやれ。」

「かしこまりました。」

どこからともなく現れたお手伝いさんが出てくる。それも複数人いた。

「好きな車を選べ。」

ズラリと並ぶ高級車に圧倒される。ちなみに作者は車とかに興味が無いのでどれが高級車なのか何故高級なのか全くわからない。

「俺は走りで帰る。」

「…まぁお前は車など必要無いか高遠亮真。」

「出口はあっちか?」

「そうだ、じゃあな。」

「また明日。」

そう言うと亮真は物凄いスピードで地下駐車場から消えていった。


広い庭を道のりにダッシュして帰宅する亮真。走っても20秒くらいかかる庭を10秒も掛からずに駆け抜けた。

(…信号…)

目の前に信号機がある。赤色で勿論渡っては行けない。しかし、亮真は何とかして早く渡りたい。

(こうなったら…)

亮真は誰かの家の塀にジャンプして飛び乗る。足場がかなり細いがそれでもスピードは変わらない。そして、電柱の出っ張りに飛び乗り、道路の上をジャンプした。下には車が走っているが、亮真はそれを飛び越えた。

(風気持ちぃぃ)

走ることで全身に当たる風を感じたくて走って帰ることを選んだ亮真。車だと信号で止まったりするので敢えて走りを選んだ。やがて、亮真は家に着いた。

(…武器部…か…)

この部活で何が起きるか見当も付かないが、少しワクワクしている亮真だった。

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