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23. 明かされる真実と味方

 ルイに抱きしめられたアリエルは、

「ああ、これで殿下に隠し事をしなくてもの済むのね」

 と安堵した。

 アリエルは初めて自分がルイに受け入れられたと思えた。


 そう感じると同時に急に周りの視線が気になりはじめた。


 なかなかアリエルを離そうとしないルイに

「殿下、そろそろ離してくださいませ」

 そう耳打ちした。


 ルイは笑って

「そう簡単にあなたを手放したりするつもりはない」

 と言い更にきつく抱いた後アリエルから体を離した。


 アリエルは、顔から火が出そうだった。しかし、本来の目的はそれではない。


「皆様、本日はお集まりいただきましてありがとうございます」

 アリエルは居住まいを正し全員の前に立った。


「アルメリア王国よりルイ皇太子殿下の婚約者として参りました第四王女のアリエルと申します」 

 と言い頭を下げた。


「私は皇帝陛下より命を賜り、この国に参りました。表向きは皇太子殿下の婚約者ということでしたが、本来の目的はこの国で起こっていることを正確に把握し皇帝にお伝えすることでございます。しかし、先ほど殿下より永遠の忠誠を誓われたため、私はこの国に一生を捧げることを決めました」



「今回お集まりいただきましたのは、前皇后陛下について皆様にお伝えせねばならないことがあったからでございます」

 

 アリエルの声は震えた。


「我々が調査した結果、前皇后陛下は単純な病死ではなかったという結論に至りました。率直に申し上げますと、皇后陛下の死因は毒殺であったと言うのが限りなく濃厚な推測でございます」


「それは、誠か?」

 とルイが声を上げた。


「……残念ながら、否定するのは難しいかと……」

 アリエルは胸が痛かった。


「アリエル殿下、ここからは私が説明いたしましょう」

 そう言ってエドが立ち上がった。


「ありがとう、エド。お願いするわ」

 とアリエルは言い、空席となっていたルイの隣に腰をかけた。


「アリエル殿下のおっしゃられた通り、前皇后陛下はおそらく毒により衰弱化し崩御されたものと推測されます。私も最初は信じられませんでしたが、アリエル殿下が綿密に調査し、生前に前皇后陛下が残された遺品と証拠にたどり着きました」


 そういうとエドは、アリエル達が押収した前皇后の遺品を机に並べた。


「まず、皇帝陛下にお渡ししたいものがこちらです。皇后陛下の遺書でございます」

 そう言って、前皇后からの手紙を渡した。


 皇帝は黙ってそれを受け取ると封蝋を開け、目を通した。

「確かに。カミラの字だ。……ああ、彼女は、このトルアシアで起こっていることを全てわかっていたのだな……」

 と皇帝は言った。そしてその手紙をルノー公爵に渡した。


 ルノー公爵は目を通し、それを夫人に渡した。婦人の目から涙がこぼれていた。


 その手紙はルイにも渡された。


 アリエルがルイ殿下の方を見ると、彼は少し震えていた。アリエルはルイ殿下の膝に手を置いた。ルイはアリエルの方を見た。アリエルはそっと頷いた。


 ルイは手紙に目を通し、それからしばらくの間手紙を見つめていた。


「それからルイ殿下にはこちらでございます。これは皇后陛下から殿下に託された本です。アリエル殿下が本に書かれている暗号を解読し、こちらにおられる侍女のサリーにたどり着くことができました。殿下自身でもこの暗号の先にある皇后陛下からのお手紙をお読みくださいませ。それからこれはサリーから預かっておりました遺品の宝飾品でございます」


 そう言ってエドはサリーの方を見た。サリーはルイに向かって頭を下げた。


「そうか。ご苦労だったな。サリー、礼を言う」

 とルイは言った。


 皇帝はアリエルの方を見つめた。


「……アリエル、よく調べてくれた。礼を言う」

「とんでもないことでございます……」


「私の力が至らないばかりに、ルノー公爵と御婦人には本当にお辛い思いをさせてしまった。心から謝罪を申し上げる」


 皇帝はそう言って立ち上がり、ルノー公爵夫妻に頭を下げた。


「陛下、頭を上げてください。娘は、全てを知っていて、最後まであなたのそばにいることを決めたのです。どうぞ、ご自身を責めるのはおやめください」

 とルノー公爵は立ち上がった。


「それからルイ、私のせいでお前は母親を早くに亡くすことになってしまった。本当にすまない」

 そう言って皇帝はルイにも頭を下げた。


「父上、おやめください。こうなってしまったのは決して父上の責任ではありません。それに、この手紙を読んで、母上は父上のことも私のことも本当に愛していたと言うことがよくわかりました」

 ルイの目には涙が浮かんでいた。


「お前達もご苦労であった」

 そう言って皇帝はエド等を見渡した。エド等は黙って立ち上がって、深く頭を下げた。


「アリエル。そなたはもうこの国が今、どんな状態なのかわかっているのであろう?」

「はい、陛下」

「アリエル。どうか、トルアシアの未来のために力を貸してくれぬか?」

 と皇帝はアリエルに深々と頭を下げた。


「私からもお願いする」

 そう言うとルイ殿下もアリエルの方を向いて頭を下げた。


「頭をお上げください、陛下、殿下。私はもう、トルアシアのものになったのです。この国の繁栄と永世和平のために一生を捧げるのは私の務めにございます」

 とアリエルは言った。


「トルアシアは得難い宝を得たな。ルイ、手放すでないぞ」

「私はもう、永遠の忠誠を誓った身です」


 皇帝はここにいる全員の顔を見た。


「我々にはまだ味方が少ない。しかし、私は必ずトルアシアを自由と公正を重んじ、民が繁栄する国に導くつもりだ。先は長いが、皆どうか力を貸してくれまいか」

 と言うと、皆一様に頷いた。

最後までお読み頂きましてありがとうございました。


次回で第一章完結します。


よろしければ、お付き合い頂けますと幸いです。

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