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21 皇太子との茶会へ

 茶会用の菓子と花がルイから届いていた。


 おそらくルイなりにアリエルのことを気遣ってくれているのだということはわかる。だから、アリエルが騙すようなことをしていたことに失望されたとしても、もうそれはどうだっていいと思えるようになった。


 何より、アリエル自身が彼のことを想っているのだから、たとえ彼から拒絶されたとしても、自分だけはルイを想い続けようと決めたのだ。


 エドが前皇后の侍女だったサリーの家から全ての証拠品を持ち帰ってきた。


 そこには皇后が衰弱し死に至る過程が事細かに書かれていた。皇后は弱毒を継続的に盛られた事により亡くなったことは明白だった。しかし、徐々に脈や心臓が弱くなっていったために病死として扱われたのだろう。

 

 全ては図られたことだった。そして、皇后自身も自分の身に起きていることを冷静に理解していた。彼女はおそらく、この大きな陰謀の渦に逆らうことで皇帝やルイ殿下にまで危害が及ぶことを想定していた。だから彼女が死ぬことにより、少なくともルイだけは守ることができると判断したのだ。


 アリエルはすぐさま茶会の招待状をルノー公爵夫妻とサリーの元に送った。



 茶会当日、アリエルは侍女たちに囲まれていた。アリエルは普段自分の容姿や見てくれに無頓着で、着飾ることに時間をかけることを難儀に思っている。そのことをよく心得ている侍女たちは、アリエルが「もう、早く終わらせて頂戴」と言い出す前に身支度を終える。


 しかし、今日は違った。

「なりませんよ、アリエル様。今日は大人しくお待ちください」

 そう言ったのはエミリーだった。


「適当でいいわよ。今日の目的は皇后陛下の死の真実を打ち明けることなんだから」

 とアリエルは食い下がる。


「また、そんなことを言って。殿方のために美しくあるのも、立派な公務の一環です」

 とエミリーは珍しく譲らなかった。


「そんな公務、私にはまわってきたことはないわよ……」


 アリエルはぼやいたが、エミリーの気迫に負け仕方なく従った。それでもあまりにも支度にかかる時間が長いため、時折「もういいわ。そのくらいにして」と伝えた。

 しかし、アリエルの声は届かず、長いこと待たされた。


 アリエルの支度が終わったのは、招待した来客が全て集まった後だった。

「だからもういいって言ったのに。そんなにいじくり回したところで大して変わらないわ」とアリエルはぼやいた。


「変わりますとも」

 とエミリーは声を荒げた。


 招待客を待たせている中に入っていかなければならないのかと思うと、アリエルは憂鬱になった。

「だから早くしてって言ったのに……」


 アリエルが呟くと、エミリーは鬼のような形相でアリエルを睨みつけた。アリエルは黙るほかなかった。

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