今年も彼女ができなかった
その年の大晦日、小室司(こむろつかさ)は彼女がいなかった。二十四歳だった。司は「彼女」が欲しいと思っていた。
昨年も司は彼女がいなかった。それどころか、司には今まで彼女がいたことはなかった。
年齢的にもそろそろ自分にパートナーがいればいいなと司は思っていた。
「会社に女の子はいるだろ? 誰か気になる子はいないの?」
高校時代の友人である井上がそう訊いた。
司はふと、会社にいる一人の女の子が思い浮かんだ。河合朱莉(かわいあかり)だ。彼女は同期の一人だった。司は彼女のことを少しだけ気になっていた。
しかし、朱莉には彼氏がいるらしい。
その年も司は彼女ができなかった。司は少し残念に思っていた。
来年こそは、彼女が出来たらいいのになと司は思っていた。
そして、そんな司に新たな出会いが!? 司の恋の行方とは?