そのうち観る、と思う、たぶん、わからんけど
この家、変なんですというフレーズを聞くたびに今は取り壊されて無い旧藤崎邸を思い出すので。
とはいっても旧藤崎邸は1号〜3号あるんだけどね。
1号は取り壊されたんじゃなくて、引っ越したのちガケ崩れで岩が落ちてきて跡形もなく木っ端に。そもそも家ではなくガレージ件倉庫だった模様。ココに小6まで住み、お風呂は近所に入りに行ってた。
2 号は現存するものの驚異のムカデ屋敷で、
ほぼ毎日遭遇する。2階は怖くて一度も上がれず、ココに住んでる間【戦時中に流行った病気】にかかる。
私はココで玄関の扉が閉まってたからと裏口に回った育ての父親とお風呂上がりのマッパ姿でガラス越しに夜の真っ暗な庭に突っ立ってる姿を見て腰を抜かした思い出の家。人間は本当に恐怖したとき声にならない声が出るというのを知った瞬間だった。
1年くらい住むも、3号邸に引っ越せることになり退居。それがさらなる悲劇の始まりとは知らず。
3号は【人の住むところではない】とお墨付きをいただいた堂々由緒ある旧藤崎邸の代表格。夏冬の寒暖差が外よりもあり、春秋の昼間は灼熱、夜間は厳冬の寒さで。
家の中に氷がはる。迷い込んだスズメバチが死ぬ。外の暑さを凌ぐために入り込んだアリの大群が間違いに気づいて引き返すも力尽きて窓枠に大量に死骸の山を築くなどコレはもう地球ではなく、火星とかそのへんの星に移住体験をするレベル。
先住者がタイル職人だったので家の至る所にタイルが貼られており、それがときおり落ちてくる。お風呂の屋根が落ちて露天風呂になる。
壁には【もういやじゃ】と鉛筆で書かれた素敵な落書きがあり、諸々の話を聞いて「そんなわけないやろ」と泊まりに来た友達がここの家おかしいと手のひら返す。
隣の家の住人が「○○サン、ナゼ逃ゲルノ!一緒ニ戦オウヨ」と外国人と何かのトラブルに巻き込まれてた。なお台風で飛ばされた木材が寝室を半壊するも隣の住人に怪我はなく大事には至らなかった模様。
常に自然の驚異にさらされ、木が家を押しつぶそうとしたり、自然と戦うのではなく、自然と戦うことの無意味さを実感するための施設であったり、変な家ではなく家のような何かの建物だった。
最終的に旧藤崎邸は老朽化により家の床に穴があくなど、存在そのものが生存権的に憲法違反だったため今の家に移住することになったという。
なので、今の家は私にとって安住の地であり終の棲家。




