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藤崎要の徒然なるままに  作者: 藤崎要
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創作の難しいところ


 脚本を編曲のようなアレンジだという捉え方があるんだけど、それも基本がまず出来ていての話なんじゃないかとは思います。不協和音で編曲されたらどんな曲でも台無しになるみたいな(笑)


世の中にはアイデアを出せるという人はごまんといても、いざ作品を作れるかというとそういうわけでもないように、こういうのはどうかな?ってのは誰でも考えつくようなことなんですよ。


ラーメンが好きだから、ラーメン屋にしょっちゅう行ってるからといっても、基本的に目の前のラーメンを食べることに神経は集中してるわけだから、自分がこういうラーメンを作ろうとかラーメン屋をするならってのはまたアンテナの向きが違うわけで。


詳しいからラーメン屋を開いて成功できるかとなると、そのラーメンのアイデアというよりも大事なのはソレをいくらで提供するか?とかドコに店を構えるかといった経営のほうだからね。立地が良くても家賃の計算からして値段も違ってくるわけじゃないですか。材料原価どうのってのも光熱費まで考えられてるようなものじゃないだろうし、飲食は食材からなんから拘ればこだわるほど利益が出せないんですよ。


有名店でも一日中、店を開けてないのは仕込みもあるけどそういう事なんですよ。基本、仕入れた食材はその日に売り切るつもりで計算しないとロスで利益が減るからです。かきいれ時ならまだしも、一日中ガスを沸かしっぱなしにできないからね。


それをまたバイトを雇って楽しようと思ったら、元店主クラスの従業員も必要だからそれなりの人件費も考えないと、人件費抑えるためにズブの初心者ばかり揃えてアテにするというわけにはいかないわけですよね。


美味しければ客が来るというのは、おおよそ社会人経験の全くないような人の発想に近いかと思います。どれだけ美味しくても高ければ来ない、高くても来てくれるのは有名になってからの話です(笑)


基本、料理ができるのは当たり前で、そこからオリジナリティってものを出していくという感じなんですよ。


 創作というのは内容はもちろんなんだけども【構成】を度外視できるものでもなく。むしろ構成が出来てないと物語として読めたものにはならないかと。


アイデアって調味料のさじ加減みたいなもので、お客さんが好みでコショウを入れるか考えるようなものだから料理に必要なものには違いないけどソレだけで料理ができるわけじゃないですよね。


だからよく、こういうアイデアで作品作ったら面白そう?って言ってるのは創作したことがないか、基本がわかってないかなんで自分で書いてみたら?と言われるわけです。


そしたら無闇矢鱈にキャラを登場させたり内容を変にイジると、それだけで取り返しのつかないことになるのもわかるはずなので、創作にはむしろ構成力のほうが問われるといっても過言ではないということも理解できるようになると思います。


新キャラなんかは転校生をどう上手にクラスに馴染ませるかみたいなもので。現状うまくいってるなら、特に読み手によっては抵抗感みたいなものがあるわけだから、陽キャラで入ったものの失敗してクラスでポツーンとなるようなこともあるわけです。陰なら最初から最後まで、存在感が全く出せないまま卒業写真にこんな人いたっけ?みたいになったりね。いきなり登場してきて退場という「かませパターン」もあるけど、それも毎度だとまたかってなりますよね(笑)


作者はそうならないようにキャラクターが置き去りにされないように注意を払う教師みたいな役割があって、失敗するくらいなら登場させないほうがマシなんですよ。


読者に抵抗なく受け入れてもらうようにするためには、タイミングも含めて物語上、違和感のないよう慎重にやらないと物語自体が破綻するほど危険だというわけです。


そこらへん、作品の最初から終わりまでを考える原作者と、基本1シーズンで考えて脚本される方との違いはあるでしょうけども。下手な改変は作者ですら難しいことなので、自分流のアレンジを求めるならよほど物語の構成にも自信のあるような方じゃないと難しい事なんですよ。


BECKという漫画で、全く違う分野を得意としているアレンジャーが入ると曲が全然違うようになるという話がありますけど、それに似たようなものだと思います。腕に自信があるとかじゃなく、どれだけ感性が一致していて作品に寄り添えているかのほうが大事なんですよね。


同人ならアイデア勝負というのもまたわからなくもないんだけど、商業化や二次創作って作者やファンの期待も背負ってるわけだから構成から変えてしまうのは無謀な話で。同人作品を原作者が直すなんてのは通常考えられないことなんだけどソレが創作の難しさだと私はおもいますよ。


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