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side by side world(スバイス)  作者: 風見緑哉
仲間との出会い
30/32

【並世】Day7 ペアルックコーデコンテスト後編

(ほ、ほわー……ついに出番が来ちゃったよ……どうしよう帰りたい)

 ニジーは今、舞台袖で震えていた。


 ステージではひとつ前の出場者たちがパフォーマンスを行なっている。


(人見知りを突然こんな大舞台に立たせるなんて、泳げない人を荒れ狂う海に放り込むのと同じじゃない? 全く命がいくつあっても……)

 遠い目をしながらブツブツと呪いの言葉のように独り言を呟く。


「緊張してんのか? 震えてんぞー」

 モクレンはニジーの頭のてっぺんの羽をツイツイと引っ張った。

「逆になんでモクレンさんは緊張してないんですか……」

 いつ見ても緊張など感じさせない余裕そうな雰囲気である。

「緊張しねーわけじゃねえが、ここはスバイスだからな。何かやらかしても別に今世に影響しねーし楽しんだもん勝ちだろ」

「そんな鋼のメンタルが欲しいですよ……」


 ニジーは頭の羽を引っ張る手を払い除けながら問いかける。


「そういえばさっきベルデルさんに渡してきたメモって一体?」

 少し前、モクレンからお使いを頼まれて、ニジーはステージを一足先に終えたベルデルたちに4つ折りにされた小さなメモを渡しに行っていた。

「まー、ステージに上がってみりゃ分かるかもな」


 その時BGMが止み、ひとつ前の出場者たちがステージ上から退出した。

 観客の盛り上がりからして前のチームも大盛況だったようだ。


「っと、そろそろだな。安全ヘルメット着用忘れんなよ」

「ひいー帰りたい!」

 ニジーは現実逃避するかのように手に持っていた安全ヘルメットを目深に被った。



 [さぁて! 続いてはコーデコンテスト初登場のおふたり『チームモクレンニジー』! ヒューマンとファフィアウルのペアルックとは珍しい組み合わせですねえん!! 決してご遠慮はありません! ステージ中央へどうぞん]


 シルクハットを被った黒い猫のような司会者オリゾンデが、首につけた大きな鈴をコロンコロンと鳴らしながら愉快そうにこちらに熱い視線を送っている。


挿絵(By みてみん)


「そんじゃ、勝ちに行こうぜニジー」

 モクレンはヘルメットをくいと上げて振り向きざまにニヤリと笑うと、真っ赤な羽織を翻して堂々とステージの光の中に足を進めていった。


 その後ろ姿に一瞬見惚れてしまう。

 ニジーはハッと我にかえると、ピョコピョコと慌ててその背中を追った。


(まぶし……)

 イベントステージは真夏の太陽の下にいるかのようにギラギラと輝き、後ろからは腹の底から突き上げるような低音で飾った軽快なBGMが爆音で背中をどしどし押してくる。

 目の前に広がる観客たちは絶え間なく押し寄せる白波のように迫ってきているかのように見える。


 白Tシャツにデニムにサンダルという究極の夏のベーシックスタイルの上に、赤いはっぴを羽織ったモクレンと白いはっぴを来たニジーが並んだ。


 ニジーのTシャツはあえてモクレンと同じサイズにしたため、丈が長くワンピースのようになっている。黄色い安全ヘルメットはお揃いだ。

 赤白どちらのはっぴにも色とりどりのカラフルな花火が描かれている。


 オオオー!


 モクレンがステージの中央に立っただけでなぜか観客席からは歓声が上がっていた。

 ニジーは極力目立たないようにとモクレンの影に隠れるようにして後ろからちらりちらりと顔を覗かせる。


 その様子が逆に観客にウケたのか「かわいい〜♡」という歓声が広場に響いた。


(こ、公開処刑すぎる……)


 ニジーは恥ずかしさと緊張でリアルに顔が紅くなるのを感じた。きっと耳まで真っ赤になっていることだろう。

 さすがにアバターに顔が赤くなっているところまでは反映されていないと信じたい。

 震えながら安全ヘルメットを目深に被って顔を隠す。


「ははっ、俺らが可愛いってか! いいぞもっと言ってくれ!」


(いや多分モクレンさんのことじゃないと思いますけど!?)

 観客の反応を見て豪快に笑うモクレンを見て、ニジーはスッと冷静になった。


 [『チームモクレンニジー』のおふたりはお揃いの花火柄はっぴを着ていらっしゃいますねえん! かわいい〜♡ そして意味深な安全ヘルメット……みーんな興味津々でっすん! 早速どんなペアルックコーデなのか聞いていきましょおおん! それは何コーデなんでしょーか!?]



「・・・」


 モクレンは腕を組んで堂々と立っているものの、一向に喋り出す気配がない。


「・・・」


 しばしの沈黙。


 BGMは爆音で流れているのだが、沈黙の時間が異様に静かに感じられる。

 フリーズでもしてしまったのだろうかと、ニジーはその様子を後ろから見ながらそわそわした。


 そんな心配はお構いなしにモクレンがくるりとニジーの方を向く。

「ニジー、早くコーデの説明を」

「ほわ! 私が!?」

「これ全部お前のコーデだろ」


(今のどう考えてもモクレンさんが説明する流れだったでしょー!!!)


 無茶振りにも程があると内心激しく抗議しながらも、司会者と審査員と観客全員の視線が自分に集まったのを感じた。

 ニジーはゴクリとつばを飲み込むと、意を決したように大きな声で答える。


「……こ、これは『日本の花火師』コーデです!」

 [なっるほどん! だからはっぴに安全ヘルメットなんですねん! 『花火師』とは花火を作ったり花火を打ち上げたりする職人さんのことですよねん?」

「そ、そうです。お祭りといったら花火かなあって……」


 司会のオリゾンデがコロンコロンと楽しそうに鈴を鳴らしながら、短い腕で花火が上がる様子を表現するかのようにしきりに大きな丸を描いた。


 [花火って色々種類があって綺麗ですよねえん! 日本の花火と言ったら夏っていうイメージありますがどうしてなんでしょうねん? おっと、話が逸れましたん。どうしてそのコーデをチョイスしたんでしょおん?]


(最初は『夏』ってテーマでコーデを考えてたからこのアバターを選んだだけなんだけど……)


「本当は夏のコーデのつもりで……」

 司会者からの素朴な疑問に思わず本音が出そうになる。

 

 その瞬間、モクレンがニジーの前にバッと手を広げ解答を遮った。


「日本の江戸時代、疫病が流行した際に死者の慰霊と疫病退散のために水神祭で打ち上げられたのが花火大会の始まりで、以降、納涼の文化と共に広まって夏の風物詩になったと言われてるぜ」


 モクレンは堂々とした様子で一歩前に出る。


「俺たちはこの『祭』テーマのペアルックコーデコンテストを彩る最高の花火になる! それがこの花火師コーデを選んだ理由だ!」


(何も打ち合わせしてなかったのによくスラスラと言葉が出てくるものね!?)

 隣でポーズをとりながらドヤ顔をしているモクレンをニジーは驚愕の表情で見つめる。しかもコーデを選んだ理由として言ったフレーズが微妙にダサい。


 [なっるほどん! だから日本の花火大会は夏のイメージが強いんですねん! 花火師コーデのこだわりポイントはありますかん?]


(どうしよう。モクレンさんが大口叩いた割にそんな大層なこだわりとかないんだけど)

 ニジーはあたふたしながら何となくそれらしいことを言ってみる。


「えー、えーっとこだわりのポイントははっぴにも花火の模様が描かれてるところです! カラフルで楽しい気分になる、でしょ?あとは、ううーん……特には……」


 自信のなさそうな回答が原因かは分からないが観客席が盛り下がってしまった。

 ステージには目を向けず周りの人々と会話している観客も多くなってきた。


(どうしよう。やっぱり何となく選んだコーデじゃこだわりなんて語れないよ……)


 またモクレンがニジーの前にバッと手を広げ解答を遮った。


「今回ペアルックに選んだはっぴは『紅』と『白』。紅白は日本において縁起のいい色とされている」

 モクレンは力強く語る。


「そこに描かれる7色の『菊花火』。菊の花言葉は『高貴』や『高潔』だ。このコーデは元来神聖なものである火を讃えるための衣装をイメージした。ちなみに安全ヘルメットも火を恐れず勇敢に打ち上げを行う花火師を表現するための重要なワンポイントだぜ」


 ニジーはさらに驚愕の表情でモクレンを見つめる。

(は!? 何も打ち合わせしてなかったのにその説明がパッと出てくることが逆にビックリだわ!?)


 [シンプルなコーデの中にこだわりが詰まってますねん! おおー、コーデの説明を聞いて観客席にも花火はっぴが溢れてきましたよおおん! これぞコーデコンテストの醍醐味でっすん!]


 いつの間にか観客の中にニジーたちと同じ花火柄の紅白はっぴを着用しているプレイヤーが増えてきた。安全ヘルメットまでちゃんと被っている人もいて観客席がちょっとしたお祭り騒ぎになっている。


 はーなーび! 花火! はーなーび! 花火!


 はっぴを着た一部の人々から花火コールが上がり、花火コールは一気に観客全体に広がった。


(ほわー! なんかはっぴ着てる人が増えてる! そして勝手にハードル上げられてる!!!)


 [観客席から盛大な花火コールが打ち上がっておりまっすん! 花火師と言うことはー、やはり花火を見せてくれるんでしょーか!?]


 オリゾンデも興奮した様子で花火が打ち上がる様子をピョンピョンと全身で表現している。


(ここまで期待値上げちゃってどうするつもり!? 紫炎華(しえんが)の発動なんてここからどうやって……)

 ニジーは紫炎華すら出していないモクレンを焦ったように見る。


 そんなニジーの心配をよそにモクレンは笑っていた。

「ほーう。俺らの花火が見たいってか! それなら掛け声が必要だ。『たまや〜かぎや〜』じゃねえぞ。俺が手本を見せてやる。後に続け!」


 モクレンはすううと大きく息を吸うと、ステージを震わすほどの大声で言った。


「弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ!!!」





 一瞬静まり返る会場。





(海……船? 魚……? え? 何??)


 ニジーも聞き慣れないフレーズに困惑して固まる。


 およそ花火の掛け声とは思えないフレーズに観客も混乱しているのだろう。ざわめきが広がる。


「掛け声がねーと花火は打ち上げられねーぜ! もう一回だ! 弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ!」

 モクレンは観客を挑発するかのように手を振り続ける。


「「弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ」」


 観客たちは困惑しながらもポツポツと声が揃い始め、徐々に大きな声になってきた。


「もっと大きな声で!!」


「「弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ!」」


 ニジーも訳がわからないながらも、ステージに上がっている以上その場でただ突っ立っていることもできず、一緒に大声で掛け声を叫ぶ。


「「「弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ!!」」」


 掛け声は大きなうねりとなり、何事かと他のプレイヤーたちも会場に続々と集まってきた。


「「「弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ!!!」」」


「ははっ、そろそろか。さあ、どうする?」

 モクレンは掛け声が響く会場の中で不敵に笑いながら黒いバンダナの一団の方を向いて指で円を描き一点を指す。


 ビィン!


(この音はまさか……!)

 隣のモクレンから放たれたこの不協和音に聞き覚えがあった。


 すると誰かが突然観客席後ろの方で、掛け声の声量に負けないくらいの大声で叫んだ。


「オレの合言葉をパクんじゃねえぞおおおお!!! モオオオクウウウレエエエエン!!!!」


 ニジーには黒い集団の真ん中にいる赤い花火はっぴと黄色い安全ヘルメットをかぶった大男が、全力で何かを投げるモーションをしたようにみえた。


「来るぜ! ニジーしゃがめ!」

「ほわー! 何が来るの!?」


 ブォンブォンブォンブウォン

 黒い大きな影が空気を切るように回転しながら観客の頭上を飛んでニジーとモクレンに向かってくる。

 近付くにつれさらに回転が早くなっているように見えるのは気のせいか。


 ニジーは反射的に頭を守りながらその場でしゃがむ。

 モクレンは右手を左腕に添え、一歩下がって構えるような姿勢をとった。


 

ヂュイイイイインン

 


 次の瞬間、強烈な金属音がステージに響た。

 モクレンが手にしている大剣・紫炎華が、高速で回転する飛来物を受け止めススキ花火のように火花を散らしている。飛来物はどうやら大斧のようだ。


「弱虫団長海わたるうううう!!」


 モクレンは掛け声を叫びながら紫炎華を握る手に力をこめ、力を受け流すかのように回転する大斧を弾き飛ばした。


「船が沈んで魚のエサさああああ!!」


 弾かれた大斧は観客の頭上を通り過ぎ、建物を越えてどこかへ飛んでいく。


 オオオオオオ……!!

 観客から困惑のような興奮のような歓声が上がった。


 [おおおおっとお!? こ、これはパフォーマンスの一環なのでしょうかああん!? なにかが観客席のほうからチームモクレンニジー目がけて猛スピードで飛んできましたけれども、今のは一体何だったのでしょうかあん!!?]


 司会のオリゾンデも突然のハプニングに困惑しているようで、首の鈴をコロンコロン鳴らしながら焦ったように首を振りあたりを見渡した。


「おっし! これならいけるぜニジー!」

「いけるって何が!?」

「打ち上げに決まってんだろ?」


 あまりにも突然すぎて何が何だか分からない状態だったが、紫炎華が発動できる状態になったことを理解した。


「そ、それでは打ち上げお願いします!! カウントー!」



「5」



「4」


 ニジーがそう言い始めると会場全体が声を揃えてカウントを始めた。


「「3 」」



「「2」」



「「1 ──── 」」



 モクレンは大剣・紫炎華を一度大きく薙ぐように振り、そのまま片手で空に向けて突き上げた。


「「「弱虫団長海わたる 船が沈んで魚のエサさ!!!」」」

 会場の掛け声が一つになった瞬間だった。



 ゴオオオオオオゥ



 紫炎華から放たれた炎がステージ上で花火のように広がり、大輪の炎の花を咲かせた。

 紫炎華の残光がキラキラと舞い散り、花火の余韻のように感じられる。


 オオオオオオ!!!

 会場から歓声が上がった。


 モクレンはそのまま紫と白の炎を纏って輝く大剣を手元でファイヤーダンスのように回転させ炎の輪をつくる。


「よっと!」


 回転する剣を時たま頭上に投げ上げる様子は、まるで小さな花火を連続で打ち上げているかのようだ。


(ほわー! 紫炎華で花火を表現できないかって言っただけなのにここまでのパフォーマンスができるなんて何者!?)

 ニジーは紫炎華を投げ上げ続けるモクレンの姿に釘付けになっていた。

 そんなニジーを現実に引き戻すかのようにモクレンがニジーに向かって大剣を放る。


「ほれ、ニジーもやってみろ!」

「えっ!? ちょちょちょっと待って! 嘘ー!!?」


(待って待ってどこ掴めばいいのかすら分からないし燃えてるし!!)

 ニジーは慌てながら紫炎華の持ち手に触れたと思った瞬間、バリアのような光に弾かれて大剣がくるくると宙を舞う。


「あち! あちち!!!」


 本当に熱いのか自分でもよく分からないまま、落ちてきた紫炎華を必死に掴もうとして弾いてを繰り返す。

 その様子を見て観客からまた「かわいい〜♡」という歓声が上がった。


 落ちてくる紫炎華をモクレンが途中で掴み、片手でくるくると回しながなら、ニジーをもう片手でひょいと軽々持ち上げ肩に乗せる。


「フィナーレだぜ!」


 モクレンは円を描くように紫炎華を大振りすると、思いきり上へと放り投げた。

 燃え盛る紫炎華は白い光の尾を引きながら高度を上げていく。


 観客の視線が回転しながら宙を舞う紫炎華に注がれた。


「よーし、紫炎華を掴んで仕上げてこいニジー!!」

「え? う、うわああああああ!!?」


 モクレンは空いた両手でニジーを紫炎華に向かって投げ上げた。

 ロケットのようにまっすぐ凄まじいスピードで飛んでいく。


(うわあああああ掴んで仕上げてこいって何!!? 無理でしょ不可能でしょ無茶振りでしょおおお!!!)


 文句を言う暇も与えられず、頭上に迫る回転する紫炎華を掴めるわけがないと思いながらも、ニジーは覚悟を決めて半泣きで手を伸ばす。


 パァァァン!


 紫炎華に触れたと思った瞬間、先ほどと同じようにバリアのような光に弾かれたように見えたが、紫炎華を包んでいた白と紫の炎も同時に弾けた。


 ニジーは白い光の中に巻き込まれたかのように錯覚した。

 白い光が溶けるように消え、景色が鮮明になる。


(うわあああ……なんだろうこれ)


 上から見渡した会場は壮観だった。まるで展望台の特等席にいるかのようだ。

 観客席には赤と白が広がり1つの花のようにも見える。


 ずっとこの景色を観ていられたらいいのにとニジーは思った。



 が、落ちた。



 放心状態で落下するニジーとそのまま落下する紫炎華。


 モクレンは驚異的なジャンプ力で飛び上がり、先に落下してきた紫炎華を片手で華麗にキャッチし、続いて落ちてきたニジーをもう片手で受け止め肩にのせる。


 そして2人はステージの真ん中に降り立つと、モクレンが紫炎華を片手で上へと突き上げてポーズを決めた。


 ワアアアアアアアアアアアアア!!!


 直後、会場は大歓声に包まれた。


 座って観ていた観客たちもいつのまにか立ち上がって惜しみない拍手を2人に送っている。

 観客席にいるほぼ全員が紅白のはっぴを身につけていた。


(……今のは何が起こったんだろう?)

 人前に立つことが少ないニジーにとって、ステージ上でこんなにも注目を浴びたのは初めてだった。


「よくやった。いい花火だったぜニジー」

 モクレンはニジーを下に降ろすと、安全ヘルメットをポンポンと優しく叩く。


 [ワ、ワッタクシも見入ってしまうほど素晴らしい花火の打ち上げでしたあああん! さっすが花火師ですねん! 時間的に最後の質問ですん! おふたりはどのような関係なのですん?]


 突然飛んできた想定外の質問に固まるモクレンとニジー。


「ど、どのような……?」

 先程まで自信満々そうな様子だったモクレンが若干たじろぐ。

「友人……じゃねえし、ま、そうだ。あれだ、俺の弟子だ! な!」

 焦ったようにニジーの方を見た。話に乗っておけと言いたそうな視線だ。


「えっ!? あ……はい! し、師匠です!」

 会場全体の視線が集まっているため、とりあえず何か言わねばとニジーはブンブンと頭を大袈裟に振りながら相槌を打った。

(私剣士じゃないしモクレンさんが師匠って無理がある気がするけど…ま、いっか)


 会場がざわついた。


 [師弟コンビなのですねん! チームモクレンニジーによる花火師の師弟ペアルックコーデでしたん! ありがとうございましたん!!]


 こうして即興で乗り切ったチームモクレンニジーの出番は終わったのだった。

いつもside by side worldをお読みいただきありがとうございます。

今後の編集作業を見据えて、今まで各タイトルにつけていた『Page数』を抜くことにしました。

今後ともside by side worldをお楽しみください。

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