【作者様にお願い】まずは登場人物の名前をググりましょう!!
■はじめに
琥珀と申します。
主に異世界恋愛物を読み読みしつつ、なろうの片隅で異世界恋愛小説を投稿しております。
ピンク髪の名ばかり男爵令嬢が、皇女殿下&悪役令嬢志望のお姉さま方に可愛がられてたら帝国の闇に巻き込まれてエラいことになる話とか、そういう感じのをちまちま更新しています。
以前から、他の方の作品を拝見していて、名前の付け方が気になることがあったのですが、今月に入って5,6件、わりと立て続けに「登場人物の名前で明らかに損をしている」作品と出くわし、どうしたものか…と頭を抱えておりまして。
個別にご連絡差し上げるのも、◯◯警察みたいで厭だし、正直キリがないかもしれんな…と思い悩んだあげく、極力ぼかしながらエッセイとして警鐘を乱打させていただくことにいたしました。
たとえば異世界恋愛物の終盤で、もう後はヒロインがイケメン貴公子とくっついてハピエンや!て時に出てきたおじいちゃん執事が唐突に「マーガレット」って名前だったりしたら、気になりすぎて話に集中できないですよね…
要はそういうことです!
■名前で損してるな、という作品例
①登場人物の性別と名前が逆
ヨーロッパ風の異世界恋愛orファンタジーだと、オリジナルの名前をキャラにつけるより、英語やヨーロッパ各言語の人名をお使いになっている作品の方が多いと思います(体感)。
これ、実際に書いてみるとわかるんですけれど、オリジナルの名前作るのって地味に大変なんですよね…
なのですが、めんどくさいことに、名前によっては語尾の変化で男性名、女性名が決まっているものがあります。
たとえば、
アレクサンドル(男性名)/アレクサンドラ(女性名)
ヨハン(男性名)/ヨハンナ(女性名)
とかですね。
で。
キャラの性別と反対の名前をつけられてる作品が、稀にあるんですよね…
作者様は、なんの気なしにつけられたのだと思うのですがががが……
特に一人称の女性主人公に男性名がついていると、一人称だと自分自身の容貌の描写がしにくいので、キャラのイメージが掴みづらく、読んでてめちゃくちゃ混乱するのです。
もちろん、事情があって異性の名をあえてつけられたのなら問題ないのですが、そういう事情があるならあるで、とっとと説明していただきたく……
「え??これBLだったっけ??」と小説情報を確認して「タグついとらんな??」となったり、気が散ってしまって作品世界に入りこめず、「やべ、お風呂入らなきゃ!」と風呂に行ったりしたついでに、評価を入れるのも続きを読むのも忘れてしまう…ということになりがちです。
②登場人物の名前が意図しない意味を持っている
なんとなくの語感でつけた名前が、ほんとは意味を持っている言葉で、作品世界をわりとぶっ壊してくるというパターンです。
金髪碧眼イケメン王太子的なキャラがいたとしましょう。
名前は、アルフォンス・オージェ・スーベニア*……
*実際にお見かけしたのは別の単語です
スーベニア??
お土産??
と思ってしまった瞬間、脳裏に蘇るのは、裏寂れた観光地のお土産屋の記憶。
「そういや子供の頃に『ペナント』とかいう謎物体売ってるのを見た気がするけど、あれはなんだったんだろう」とか、「でも木刀はまだ売ってるつうことは、買う人おるんやろなあ」とか盛大に気が散りはじめます。
それにしても本当にまだいるんでしょうか、観光地の土産物屋で木刀買う人。
どうにかイケメン貴公子が渾身のプロポーズを決める場面まで行っても、「いうて、この人『お土産』君じゃんね」とか3歩くらい引いた状態のままです。
さらに「メルド」(糞[フランス語])とか、罵倒語・侮辱語に当たる言葉が名前として入っていたりすると、もう作品世界が楽しめなくなる予感。
諸般の事情でそういう意味の名をわざとつけられた設定もありえると思いますが、それならそれで早めの説明を(2度目)。
オリジナルの名前ばかりの作品でたまたまかぶった場合なら「この世界だと別の意味なんやろ」とこっちの気持ちを切り替えていけないこともないですが、普通に実在する名前がズラズラ並んでいる作品だと厳しい。
逆に花の名前、果物の名前など、綺麗orかわいいイメージを喚起するような言葉が、ガチムチ騎士団長の名前だったりすると、やっぱりちょっと入りにくくなりますです。
他の登場人物が早めに「なんでそんなに名前かわいいん?」とかいじってくれて、「かわいい名前をうっかりつけられてしまったガチムチ」だと確定すれば、後は安定して読めるのですが。
あとは商標名ですね。
やっぱりいらんイメージがついてしまい、読み手を混乱させる可能性はあると思います。
マイナー言語までチェックするというのは現実的ではないですが、せめてカタカナでググって、「こんな意味があるんだったら、イメージと合わないな」という言葉は避けていただくと、ありがたいなぁと読み手としては思うのです。
■じゃあどうすればいいの?
英語・ヨーロッパの人名って結構難しくて、「ジャスティン」「カミーユ」「ドミニク」みたいに男女両方に使われるものもあれば、「エティエンヌ」みたいに、「パリジェンヌ」とかの親戚っぽいから女性?て雰囲気でも、実際は男性名または家名というものもあったりします。
「アベル」は男性名だけど、「アデル」は女性名とか、地味に罠くさい。
勘違いで思い込んじゃっていることも普通にあるので、面倒ですが、一つ一つ、検索して確認するしかないのかもしれません。
小説の場合、漫画や映像より情報量が少ない分、名前が持っているイメージが強く影響しがちだと思うんですよね。
多くの作者様は、名前のイメージも活かして、作品世界を巧く作っていらっしゃいます。
公爵令嬢は公爵令嬢っぽい名前、平民出の名ばかり令嬢はそれっぽい名前をつけられていたり。
だからこそ、名前の選び方で損をしている作品をお見かけすると、事前チェックのひと手間を惜しんじゃあかんなぁとしみじみ思ってしまいます。
確認が面倒でしたら、人名のリストから選ぶという手もあります。
「ヨーロッパ 人名 男性」「ヨーロッパ 人名 女性」などでぐぐりますと、英仏独伊くらいの人名リストがずらずらっと出てきます。
ウィキペディアで適宜王族関連の項目をうろうろすると、ミドルネームも含めるといろんな名前が出てきます。
そんなこんなで巧いことやっていただけると嬉しいなぁ…と、〆ようとしたところで、ふと新着作品の異世界恋愛物を覗いてみたら、「なんでその名前にしたああああ!?」と魂が叫んでしまうような国名が舞台の作品を見つけてしまいました。
やっぱ最近多いって!!
国名、領名、地名もお気をつけください…
=2022/2/27追記=
とか言っていたら、自分が象の鼻に骨があるような記述をしてしまい、読者様にご指摘いただいて、あっひゃあああああ!となりました。
思い込みからのミスはほんと怖いですね…(自戒)(自戒)(自戒)(自戒)
=2023/1/3追記=
正月休みにあちゃこちゃ拝見してたら、ヒロインの婚約者を略奪しに来たお貴族様の令嬢が、「三ツ星レストラン」での会食中に婚約者が落としたナイフを拾おうとして手と手が触れ合い…という場面があり、思わずブラバしてしまいました。
ちゃんとしたレストランで落としたカトラリーを客が拾うとか、現代でも普通にありえないのででででで…
いやびっくりしました。こういうミスもこの世にあるんですね…
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