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炎竜の力を持つ俺が最強になる話  作者: ゾーリ
第1章
3/3

3

空が明るくなり、グレンは行動を開始した。

空腹と疲労で眩暈と吐き気と頭痛と……。夜はとても寒くてずっと体の震えが止まらなかったし、眠れるはずもなかった。


(なんでクソ寒いのに魔物は夜行性なのか意味が分かんねえ…)


フラフラと王都を目指して歩いていく。


歩いて歩いて2時間ほど歩いた時。


ファォォォン!


何度か魔物と接敵しているため少し慣れたグレンは咄嗟に木の陰に隠れた。近くから遠吠えが聞こえる、かなり近い。

とりあえず木に登っておこうと思い登り始める。


少しして現れたのはワイルドナイフと呼ばれる狼の魔物だった。

鼻をスンスンと鳴らして、人間の臭いを感知してここまで来たようだ。

ワイルドナイフは名前にナイフとつくように、肩から鋭利な骨が横に飛び出ていて、それを使い攻撃してくる厄介な魔物だ。

この魔物は群れで行動しない。自分のナイフで仲間を傷つけてしまうからだ。

とにかくこの森では厄介な魔物として警戒されてる魔物だ。


「畜生が」


小声で悪態をつく。

竜が現れてからずっとそうだった。自分はいつも狩られる側で、逃げるのは自分だ。

イライラしていた。うんざりした。


弱さ故に逃げ、弱さ故に今こんなに腹を減らし疲労している。


「殺してやる」


頭に血が登ったグレンは棍棒を握りしめ狼に飛び掛かる。

少し高い木から飛び降りることとか、そのナイフで切られるかもしれないこととか、今は考えていなかった。

ただ怒りに身を任せる。闘争本能に全てをゆだねる。


ワイルドナイフはバックステップで距離をとり、グルルと威嚇している。

すぐにその時間は終わり、ワイルドナイフが突撃してきた。

咄嗟に横に飛び込んで回避するも、またすぐ突撃してきた。


「グアァッ!」


グレンとワイルドナイフはもつれあった。

ワイルドナイフは俺の左手に噛みつき首を振っている。


「クソヤロォ!」


右手で握った棍棒を頭に強打する!


「キャン!」


たまらずワイルドナイフは後退るが、グレンはその隙にもう一発頭に叩き込む。

するとワイルドナイフはバックステップで距離をとった。


(やべえ、左腕の感覚がねぇ)


グレンの左腕はあまり見たくない状態になっていた。左腕の感覚がもうなかった。

だがボロボロなのは向こうも同じ。顔から夥しい血を流し、息も荒い。


すこしの間があり、再度ワイルドナイフは突撃を開始した。

グレンは世界がゆっくりになる感覚に襲われながら、その光景を見ていた。

ワイルドナイフ俺のすぐ左を通過した。

左腕が軽くなる感覚、ズルッと何かが落ちる音。


グレンはすぐに振り返り同じく振り返っている標的に棍棒を投げつける。


ゴキッ


運よく頭に的中し、執拗に狙ったかいがあり頭蓋が割れた。


「アガァァァァ!」


激痛。耐えがたい激痛が襲う。

ひじから下が完全になくなってしまっていて、その断面から血が噴き出ている。

右手で左腕の断面を強く握る。


「アァァァァァァァ!」






「ん、なんか叫んでないか?」


「誰かが叫んでるようですね」


私は王都で奴隷商売をしている商人だ。たまにこうして商品の補充のために辺境の村を回っている。

私は商品を王都に運ぶ帰り道でこの森を馬車で通過していた。

ふと叫び声が聞こえて馬を操縦する御者の美女に聞いたところ間違いではないみたいだな。


「止んだな」


「そのようですね」


(するぞっ!金の臭いがプンプンとな!)


「音がした場所に向かう!すぐに行くぞ!」


「かしこまりました」


馬を歩かせ少しして血の匂いがしてきた。

現場に着くと左腕が切断された少年と頭がグチャグチャになったワイルドナイフがいた。

少年は12、3歳だろうか、出血が酷くて気を失っている。私は嬉しくなり興奮気味に命令した。


「おい、回復魔法をこの少年にかけろ。商品になる」


「かしこまりました」


女が詠唱し少年の左腕の断面から血は流れなくなり、やがて傷はふさがった。


「いつも通りにしろ」


「かしこまりました」


(しかしこの女、面白くもなんともない)


顔が良いから捕まえて商品にせず私の奴隷にしてやったものを。

私の命令にただ返事をし、実行するだけ。機械と同じではないか。


女が捕まえた少年を馬車の荷台に転がし、また馬車は王都に向かって進みだした。


これで商品は4つ。


私はニヤリと笑った。


「今回も大儲けだ」


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