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炎竜の力を持つ俺が最強になる話  作者: ゾーリ
第1章
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2

グレンが住んでいた村(カテル村)はダマルカ王国南部の国境あたりに位置し、麦や畜産でひっそりと暮らしていた村だ。

先々代の国王が国境を開拓しようと村を作り開拓民を募った。しかしそのタイミングで王都に魔物が押し寄せ来たため有耶無耶になってしまい、村だけが残ってしまったのだ。

このあたり一帯はこの村がある以外は森に覆われていて、木には方向が分かるように印がつけられている。


グレンは村から歩いて川にまでやってきていた。


(腹減った……)


汚れを洗いながら魚でも採って食料にしようと川を見渡す。


ここから一番近い街は王都グラマイト。

王都までここから北にまっすぐ歩いて3日はかかる。かなりまずい状況だ。


(見つけたっ)


けっこういいサイズの魚を見つけた。

ゆっくり近づいて追い込んで、逃げ場を無くしていく。


バシャ!


追い詰めた魚を手で弾いて陸にはじき出そうとしたが、足の間をすり抜けて逃げいていってしまった。


(クソッ)


とにかく何か食べないといけない状態だ。

水が段々と体温を奪っていくし、気温はまだ少し肌寒い。夜はもっと冷えるだろう。

焦るグレンはそれから何度も挑戦するが、一向に成功しない。


バシャ!……バシャ!






あれからけっこう粘ったがまったくダメだった。

辺りがすこし暗くなってきたので諦めて王都を目指すことにした。


もう結構かなり移動し、村人がつけた印もこのあたりまで来ると無くなっている。


セイナン草という草はその名の通り西南に長い葉を垂らす草で、行商人ならだれでも知ってる方角がわかるありがたい草だ。

グレンは前に王都から行商人が馬車でやってきた時に言っていた事を思い出しながら、北を目指す。


(なんか食えそうなもんねぇかな、死にそうだ……)


不運にもカテル村はかなり僻地なため、街道も通っていない。

ユラユラと森を歩いて行きながら、食べれそうなものを探す。

キノコがたくさん生えていて、食欲という悪魔がグレンを誘惑する。


(キノコは迂闊に食べてはいけないって村の連中が言ってたな)


グギャ!


突然の音に体を堅くするが、すぐにしゃがんで辺りを見渡す。



どうやらグレンから見て右のほうから音がしたようだ。

急いで大木の陰に隠れて様子を伺い、少しすると音が大きくなっていく。


グギャギャアギャア!


(ゴブリンかっ)


おそらくこの森で一番出会う確率が高いであろう魔物だ。

1匹だけなら脅威は低いが、複数になるととても厄介な魔物だ。

しかし今回は1匹でいるようだな。

体は人型でサイズは人間の子供ぐらい。体色は焦げ茶色。手には棍棒を持ち、髪もボサボサで涎を垂らしながらフラフラ歩いてくる姿は恐怖を感じさせる。


(どうする?戦うか?)


大人の男なら死ぬことはないだろうが、グレンはまだ子供だし戦闘経験もない。

だがゴブリンはこちらに向かってきている。

もはや戦闘は免れない。心臓が破裂するほど鼓動している。


(奇襲で終わらせるしかない!)


意を決して走り出す。ゴブリンは驚いて硬直してくれている。

大きく振りかぶり精一杯握った拳をゴブリンの顔面に突き刺す。


「ガァァ!」


ゴブリンはたまらず倒れ、棍棒を落とす。

俺は棍棒をすかさず手に取り、ゴブリンの頭を殴打する。

何度も何度も殴りつける。




「ハアっハアっ」


息を整えながら、ゴブリンを見るととっくに息絶えていた。


ゴブリンの黒い血がついた棍棒を見る。

そしてグチャグチャになったゴブリンの頭を見て、怖くなったグレンは足早に歩きだした。





あれから二度ゴブリンと遭遇したが二度ともやり過ごせた。

何も食べていない。今にも死にそうだ。

もう今日は動けそうにない、動きたくないとグレンは思った。


(辺りはも暗い、今日はもう寝よう。)


地面で寝ると危険だと判断し、木に登って寝ることにした。



足場が不安定でまったく眠れなかった。

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