冬童話2021/虚構の幸福論
さむい さむい
つめたいふぶきがびゅうびゅうと ふいている
さむい さむい
みをよせるあいてもなく おれはからだをまるくする
さびしい さびしい
なかまはおれをおいて さきへいってしまった
さびしい さびしい
なかまたちはもう ゆきやまをこえただろうか
としおいたおれは あるくのがおそかったから
としおいたおれは じゅうぶんいきたから
もうここでねむっても いいのだろうか
つめたいふぶきがびゅうびゅうと ふいている
きがつくと みどりのはらっぱがいちめんにひろがっていた
つめたいふぶきはやみ あたたかいかぜがふいている
とおくでなかまがおれをまっていた
ああいまいくよ まっていてくれ
おれはひとつとおぼえをあげ なかまのほうへはしっていった
だれもいないゆきやまで
としおいたいっぴきのおおかみが しあわせそうにねむりについた