No.1 【意味怖】 来てくれ
ついに本格的に意味怖に手を出してしまった……
スコ速でホラデが出ててビビった
数ヶ月前、引越しをした。
引っ越した日の夜、首から下が血塗れの幽霊が刃物を持って出てきた。
驚いたが、幽霊は動きもせずに何かを呟いていて、ただ立ち尽くしている。
すぐに出て行きたかったが、金が無かったのでそのまま住んだ。
幽霊はそれ以降も毎晩出てくる。
ある日、何を呟いているか気になったので、少し近づいて聞いてみた。
「来てくれ……。来てくれ……。来てくれ……」
そいつは空気が抜けるような声で、「来てくれ」を繰り返し呟いていた。
怖くなった私は我慢できなくなり、不動産屋に問い合わせた。
どうやら事故物件だったらしい。
冗談じゃない。
引越し代金を不動産屋に出させて引っ越す事に。
引越し準備が整い、家を出るときにまた幽霊が出てきた。
いつもと同じく、同じ言葉を呟いている。
私は幽霊の声を無視してこう言った。
「私に出来る事は何もない。死後の世界に行くことは出来ないんだ」
二度目の引越し後、体調が悪かったので霊能力者に霊視してもらった。
話ではやっぱり取り憑いているのはあの時見た幽霊。幽霊は刃物で自殺しようとして首を切り落とし損ね、出血多量で死んだ男の霊らしい。
頼みを聞いてくれない人を呪うのだそうだ。
そんな事を言われても、死んだ人のところへは行けない。
理不尽な話だ。
今でもあの男の呟きが聞こえてくる気がする。
「きてくれ……。きてくれ……。きてくれ……」
解説はNo.3の後書きで