第十回 「好色」
レジェンド
芥川龍之介作
好色
うんこ!(挨拶)
恋をしたら、その相手の全てが愛しいと思うでしょう。
その相手の全てが欲しいと思うでしょう。
その相手のうんこでさえ食べたいと思うでしょう。
いや、それはないわ。
「好色」
うんこ小説の歴史は古く、今昔物語の第三十巻第一話に収録されている「平定文、侍従の君に憩想せり」というお話もうんこ小説です。しかも、今昔物語の中ではこれが一番有名なのです。
何故なら、芥川龍之介がリメイクしてるから。
「好色」というタイトルの短篇という形で芥川龍之介が発表している本作は、うんこリオンで紹介してきたどのうんこ小説よりもヤバいかもしれません。
平安時代のとある貴族の若い男「平中」が侍従の君という女性に恋をします。何回もアタックするのですが適当にあしらわれ続け、平中は遂に「彼女のうんこを見よう」と決意します。
なんでやねん。
うんこを見れば失望し、諦められる。そう思ったのでしょう。昔の貴族はおまるに用を足していて、それを使用人が捨てに行くのですが、彼はおまるを運んでいた童女から強奪し中身を見ます。
これで侍従の君を忘れられる。そう思いました。
しかし、毬糞が物凄く旨そうに見えたのです。
匂いも食欲をそそり、汁をちょっとだけ舐めてみると星3つです! その黒く太い物体に夢中でかぶり付き、そして、平中は
死んでしまいます。
なんだそりゃ。
そういうお話なのですが、芥川龍之介の文体がエグいです。さすが純文学のラスボスです。まさに芸術です。惚れ惚れするような文体であっという間に読了させられてしまいます。
とにかくお薦めします。
ライトノベルしか読んだことなくても全然大丈夫。文体を紐解き、自分のものにする喜びを是非感じていただきたい。
羅生門などは少し暗すぎますが、恋がテーマという事もあり、何気に芥川入門にはピッタリの本作。
是非お読みください。
うんこ小説界の超絶技巧。
まるでフィギュアスケートを見ているかのような比喩のジャンプをお楽しみください。