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プロローグ
二十六歳最後の夜、私は一人で部屋にいた。この六畳の部屋が私のすべてで私自身でもあるような気がする。それほど小さい頃からここにいて、ここで寝て、朝を迎えて起き、帰ってくる場所となっていた。
そして私はここで今を終わりにする。
私が願うことはただ一つ。私の魂がきっと次は、もっと広い世界に自由に好きに羽ばたけますようにと。
この6畳の私の部屋から外に、違うところに帰れますように。
そう思いながら私は用意していた薬を飲み、しばらくしてから七輪のなかの練炭に火をつけた。部屋の扉はすべてビニールテープで隙間を止めていた。きっとよく眠れるだろう。
久しぶりに感じる眠気にまどろみながら私は部屋に置いてあるベッドの上に寝転がった。自分がいつも寝ている場所の気持ちよさから、私はすぐに意識を手放していた。