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8話 男の娘が最高なんだと思っていた。

初投稿の作品の8話目です。

よろしかったら、評価、感想、ブックマーク、助言など、宜しくお願いします。

「天使長が落ちてきて、この世界を作った?」


 かわいい男の娘たちが演じた劇。

 それはこの世界の創世の物語。


 主人公は、眉目秀麗でメガネ委員長な天使長ルシー。

 当初、世界は神と天使達によって正しく運営されていた。

 が、少しずつ運営は傲慢となり、横暴になっていった。

 それに疑問を抱いたルシー。

 神に意見を申し上げたルシーはにべもなく、地獄へ落とされた。

 

「お兄ちゃんどうしたの?」

「常識だよ?」


 そういってケイとネスがきょとんと首をかしげる。

 ふたりはオレの両隣に座って劇を鑑賞していた。


「ということは、ここは、地獄じゃねえか!」

「へ?」

「異世界じゃないのかああああ!」

「そこぉおお?」


 ティシーの奴、そんなことさえ教えてくれなかったんだ!

 一言で説明できるだろ、こんなこと。

 死んで地獄行きなんか、なんのチートでもねえじゃねえか!

 この調子じゃ、きっとまだ、何かを隠しているぞ。


「お兄ちゃん、怖い顔してる」

「楽しくお酒飲もう!」

「そうだな、飲もう飲もう!」


 この後、劇はルシーの苦悩が始まる。

 艶やかなブロンドの髪、純白の翼、汚れなき心。

 それらは美しかった全てが黒く染まった。

 艱難辛苦の果てにルシーは「男の()」として「かわいい」をみつける。

 やがて、ルシーは神との全面戦争を起こし勝利。

 女よりも「男の娘」がかわいく、心根も美しいことを知らしめる。 

 大団円。


「我ら男の娘が迫害されるのは、全て神と女たちの陰謀!」

「嘘と嘲笑による支配! それが奴らのやり口!」


 劇が終わると、ケイとネスが立ち上がり叫び始めた。

 役者達もそれに続く。


「女どもは卑怯者、許すまじ!」

「我らによって正当な裁きを!」

「今こそ立ち上がれ、男たち!」


 この熱気は凄まじく延々続いた。

 その様を見ながら酒が気持ちよく回る。


 確かに、ティシーも信用するのは危ない気がする。

 なんか、ケイたちの言う通りな気がしてきた。



・・・・・・



「マスター! ご無事でして!」


 甲高い声が騒がしかった。

 寝室に土足で上がり込んできた輩がいる。

 みれば、冴子がバタバタとガサツな足音とともに寄ってきた。


 オレは頭に軽い痛みを覚えた。

 その時、オレの脳裏に女子の悪行が走馬灯のように蘇る。

 思えば、学生時代の女子はあんなにも偉そうだったのだろう。

 教室中に響き渡るような声でよってかたって個人を誹謗中傷する。

 そういえば、なぜうちの学校は女子トイレだけ綺麗だったのだろう。

 散々、男子(イケメン除く)をバカにした挙句、

 社会人になった途端、被害者面し始めるのだろう。

 ……


 そうだ!

 ケイたちの言う通りだ!

 こいつらは男を搾取するだけの鬼畜だ!


「ああん! 生理くせえ、メスが寄るんじゃねえ!」

「へ?」

 

 事実を言われて冴子はきょとんとしやがった。

 悪意がないんだから許せとか言い出すに違いない。

 男に悪意がなくても女が気に入らなければ罪に問われるというのに。

 これは救いようのない恐ろしさだった。


「おにいちゃん、こわーい」


 ケイもネスもオレにしがみついて怯える。

 男子禁制の禁を連発する割に女人禁制の禁を平気で踏み荒らす輩だ。

 ふたりが怯えるのも無理もない。


「ちょっとまってろ、すぐに追っ払ってやるからな」


 オレはできるだけふたりを安心させようと穏やかな顔を作った。


「ほら出てけよ! この薄汚いメスども!」


 オレは全力で声を荒げる。

 しかし、冴子は帰ろうとしない。

 それどころかティシーがしゃしゃり出てきた。


「ここまで来るのに冴子がどれだけ苦労したと思ってるのじゃ!」

「うるせえ! 勝手にしたことだろ! 人のせいにするんじゃねえ!

 ガキが産めるくらいで、どんな理不尽も許されるとか思ってんのか!

 人格的に最低なのはかわらねえからな!

 人格的にもかわいさ的にも男の娘が最高なんだよ!

 生きてるだけではた迷惑なバカどもが! 」

 

 図星だったらしい。

 本当のことを言われてしまい、メス共はすっかり固まっていた。


「ははははは、無様だな」

「ふふ、ははははは」


 すると、突然ティシーも笑い出した。

 これには冴子もきょとんとしていた。


「なんだ、気持ちわりいな」

「そなたは今、女子(おなご)に憎しみをいだいておるな?」

「あったりめーだろ!」

「なるほど、洗脳も結構じゃのう」


 そういうと、ティシーはにやりとした。


「そなたは、妾が何者かを忘れてしもうたようじゃの」

「は?」

「そなたの憎しみ、恨み、復讐心、それらが、

 この復讐の女神エリニュスが一つ、ティシーに力を与えるのよ!

 忘れたとは言わせぬ!」

「そんな話聞いてねえよ!」


 ドヤ顔で語るティシーに、オレも思わず突っ込んでしまう。

 大体こいつはオレに何の説明をしていない。


「ティシー姉さま、それはマスターには秘密ではなくて?」

「こいつ、やっぱり何か隠してたな!」


 冴子の言葉にオレは疑惑に確信を得た。

 そして、ふつふつと怒りがこみあがる。


「よいぞ、よいぞー。そなたの淀んだ感情がかぐわしい」


 ティシーはまるでお香を浴びるように手をかき回す。

 

「しまった、挑発か!?」

「はぅ」


 ティシーが艶めかしい声を上げたかと思えば、

 その全身がむくむくと浮き上がった影に飲み込まれていった。

 かと思えば、まもなく、人型の形を作った。

 影が散るように払われると、

 そこには、

 8頭身で

 巨乳な

 黒い翼の全裸姉さんがいた。


「うわ! 全裸巨乳とかマジ卑怯者じゃん!」

「サイテーサイテー女子サイテー!」

「小童がぬかしおる」


 ケイとネスが騒ぎ立てる。

 しかし、巨乳全裸姉さんと化したティシーは余裕の構えだった。


「まさか、また皆殺しにするつもりか!」


 城塞都市ディーテの時のことが思い出された。

 我らが理想郷、男の娘の国も滅ぼされてしまうのか!


「否、そなたらの願いを半分だけ叶えてやるわ!」

「半分叶える? どういうことだ!」

「くくく、れっつらふくしゅーーーーーーーー!


 そういって、ティシーが指先を天にかざす。

 すると、指先から影がもうもうと立ち上がって拡散。

 

「あ、や、なに、これ!?」


 その影の一部がケイにまとわりつく。 

 ケイは必死に振り払おうとするが、効果はなくまとわりついていく。


「ンアッー! ぐぐぐぐぐぐ、あああああああ」

「ケイーーーー!」

「おっ、大丈夫か大丈夫か!」


 ケイが苦しみ始めたかと思えば、膝をついてうずくまってしまった。

 両手で股間を押さえながら。

 オレもネスもただただそれをみていることしかできなかった。

 一方、影はどんどん広がっていき、室外へ。


「フハハ、男には睾丸を握りつぶされるのは、

 死ぬほどの痛みと聞いておったがまさしくそのようじゃなー!」


 ティシーは心底楽しそうに笑っていた。

 ゾッとする様な鬼畜ぶりだった。


「マジかよ、そんなひでえことしてんのか!

 これだから女は鬼畜なんだよ!」

「けーーーーーーーーぃ!」


 オレはなおさら不信感を募らせ、ネスは絶叫する。

 まもなく悶えるケイは顔面蒼白になった。

  かと思えば、泡をふいて気絶してしまった。

 

「大丈夫か! しっかりするんだ」

「ケイ!」

 

 オレとネスをは慌ててケイを抱き起こす。


「ん?」

 

 ぽよんと揺れた。

 オレとネスはそれに注目した。

 ケイの胸に、それまではなかった大きな膨らみ。

 

「まさか!?」


 そういって、ネスはケイの服の中に手を突っ込む。

 そして、みるみるネスの顔色が悪くなる。


「どうしたんだ? パッドだろ?」


 オレもネスと同じくケイの服の中に手を入れる。

 そして、目を見合わせてしまう。


「お兄ちゃん、ぱいおつでらっしゃいます!」

「おい! マジでぱいおつであられますな!」


 オレたちは謎の敬語を発して固まってしまった。

 ぱいおつに握りしめたまま。


「ん、んん、ん? 何してるの?」


 すると、そこでケイの意識が戻る。


「なんでもない! な、ネス!」

「うん、全然! 完全なんでもない!」


 オレとネスは慌てて手を引っ込めて平静を装う。


「ククク、どうじゃ、男の娘とやらを女に変えられた気分は?」

「マジか、やっぱりそうなのか」

「最低に決まってんじゃん! サイテーサイテー女子サイテー!

 ケイをもとに戻してよ!」

「え? どういうこと?」


 首をかしげるケイだけが状況を理解していない。

 オレは頭を抱え、ネスはティシーに迫る。

 が、まもなくケイは違和感を覚えたのか、自分の胸を掴んで、


「あれ?」


 それから、股間をまさぐり、


「ない! え? え?」  

「それはあるまい、女子は股間に何もぶらさげぬからのぅ

 そなたは、女子に性転換したのじゃ 」


 混乱するケイにティシーがさらっと諭す。

 

「うそ?」

「かわいそう! ケイ!」


 そういって、涙ながらにネスはケイに抱きしめる。

 が、ケイはそっとネスを引き剥がして


「お兄ちゃん、ケイ、女の子になっちゃった。

 これでケイがお兄ちゃんの正妻だね。

 ネスにはかわいそうだけど、仕方ないよね?」

「何言ってるの? ケイ?」


 ケイはネスの肩に手を置いて、


「だって、やっぱ普通に女子の方がかわいくない?

 ふふ 」


 ケイは満面の笑みでがらりと態度を変えていた。


「裏切った〜! ケイが裏切った!

 ケイ、男の娘としての誇りはどうしたの!」

「やかましいよ、

 ケイが女の子としてお兄ちゃんと元気な子を産んであげるからね。

 だから、なんちゃってなネスは黙りな? ね?」

「黙るのはそっちだよ! このメスブタ! ドロボウ猫!」

 

 ネスがパチンと平手打ちして、ふたりは取っ組み合いになった。

 壮絶な髪の引っ張り合い、罵り合いだった。

 止めに入るには躊躇われるほどだった。

 そして、オレにはわからなかった。



 元男の娘の女を許すべきなのか、

 男の娘を貫く男の娘を貫くべきなのか。   



 こんなオレたちを見ながら、クククとティシーは笑っていた。

 巨乳な黒い翼の全裸姉さん(変態)のくせに。


続く。

洗脳、嫉妬心、不平等、分断、混乱、カオス。なんか今っぽいっすよね!(?)

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