6話 封印されしゲートは解き放つもんだと思ってた。
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じゅるりじゅるり。よだれをすするピンクの獣たち。
オレのYシャツに手をかける。
「さあ、脱ぎ脱ぎするわよん」
「やめてくれよ……(絶望)」
獣たちはふたり仲良くオレのボタンを一つ一つ外していく。
オレはふるえた。
涙も出てきてしちまう。
オレの封印されしゲートだけを何とか守らなければ!
こっちのゲートを解放するようなことは絶対にあってはならない!
オレのクリスタルロッドの封印を解く前に!
(この獣たちでも先にクリスタルロッド封印を解けばいいという意味じゃないぞ!)
「マスター! 無事でして!」
救世主が駆けつけた。
色白黒髪の大和なでしことはいえ、忠実なる首とれ脳筋!
この状況を絶対なんとかしてくれるはずだ!
「あっ……」
が、冴子は立ち止まる。
そして、なぜか顔を両手で覆って隙間でチラチラと様子を伺う。
オレはすでに上半身すっかり脱がされていた。
「あくしろよ!」
思わず声を荒げるオレ。
え? まさか今更恥じらってんの?
いや、興奮してるのか?
腐女子なのか? 婦女子なのか?
生首オ○ニーとか言ってたもんな。
嘘だろ? ここで腐女子を出すのは勘弁してくれ!
「さえこーーーーさえこーーーーーー」
「はい、すぐに助けましてよ!」
冴子は凶悪なギロチンアクスを構えて飛ぶ。
目にもとまらぬ一太刀。
転がる首。
……冴子の首だけ。
「マジかよ!?」
オレは思わず叫ぶ。
「いきなりとか横入りとか、
ちょっとマジありえないんですけどおおおお」
「女だからって調子に乗ってなーーい?」
ピンクの獣たちはピンピンしていた。
どうやら冴子の攻撃を避けたらしい。
冴子は空振りの勢いで、まるで畑でも耕すかのようだった。
アクスを地面に突き刺していた。
「しかも、なあに、この子、じみぃいい」
「芋ね、芋! ちょお芋ーーー
芋は芋ほり〜、あたしら穴掘り〜、なんちゃってー」
「あははは」
ピンクの獣たちは大声で笑った。
ショッキングピンク信者に大正浪漫は通用しない。
清楚な紺のセーラー服など芋らしい。
「こ、これは、冴子にはとてもハイカラな制服でして、でして、
あ、う、お、ぬわああああああああああああああん」
冴子は泣き出していじけてしまった。
今時の女なら、逆ギレからで更なる力を解放してるはずなのに!
(追い込まれた今時の男の偏見)
ここで大正の乙女が出たか!
オレも泣きたい。
「妾もおるぞぉ!」
そうだ、オレには復讐の女神ティシーがいた。
最強の幼女がピンクの獣になんか負けるはずがない!
「 れっつらふくしゅー!」
ティシーが指先をピンクの獣たちに向ける。
すると、もこもこと土がもりあがって槍のような形状になる。
そして、その槍がピンクの獣たちへの飛んでいく。
が、しかし、土がぶつかる直前に砕け散ってしまう。
「ファッ!?
奴らの鎧には闇魔法に対する耐性があるようじゃ!」
「ふざけんな! ティシー!!
お前が代わりに掘られろよ!!!」
「鬼畜じゃな! 幼女に向かって!」
「都合のいい時だけ幼女かよ、
おい、アニール!!!」
最後の期待をこめてオレはアニールに視線を送る。
が、ぶるぶると首をふる。
直感的にやべえって気がついたか。
一番まともな反応だが、何とかしてほしかった。
もはやパンツ1枚、風前のともしびだ。
これはもう自分の力でどうにかするしかない。
オレは思い切って、ピンクの獣たちのその手を掴んだ。
「まて! オレは攻めるタチだ!
脱がせろ! むしろやらせろ! 」
「いやん、セッキョクテキーーー」
「ネコになるーーーネコロブーーーー」
「おおおおお!」
なぜかティシーまで興奮して声をあげていた。
さて、ここから詳しい過程は省く。
ただ言えるのは大きな獣(2匹)の鎧を脱がせるのは苦行だった。
ここから先は各々想像してくれ。
オレは頑張った。
「今だ! ティシー!」
しかし、鎧を剥いてしまえばこちらこのもの。
オレはさっとピンクの獣たちから離れて叫んだ。
「ふにゃ?」
オレの行動に鳩が豆鉄砲くらったような顔をした。
「あくしろよ!
クソヤローばかヤローてやんでい! ちくしょー!」
「おう、れっつらふくしゅーーー!」
平和を愛するジャパンのオレ史上最大の怒号を飛ばした。
それにティシーは応える。
すると、大地から生成される地の槍がピンクの獣に突き刺さる。
「掘りすぎ掘りすぎ掘りすぎーーー」
ずぶずぶと土の槍が全身に埋め尽くし、そのまま土に埋もれていく。
だが、なぜだかピンクの獣たちは満足そうな顔をしていた。
「階層が1つ変わっただけこれほどとはな」
壮絶な戦いだった。
もしもあの時、オレに勇気がなかったら……
オレのゲートは二度と閉じないほどガバガバだったかな。
「ち、つまらんのぅ」
が、そんなオレにティシーが舌打ちした。
これには平和を愛するジャパンの社畜リーマン、オレも激怒。
ジャパニーズもケツ穴ミサイルには激怒だ。
「この鬼畜幼女め!」
「ストレートな男が無理やり犯されるのは、そそるじゃろが!」
「お前、やっぱりわざとだろ!」
「さあ、どうじゃろのぅ」
「許さん、今回ばかりは絶対に許さん!」
オレとティシーとは取っ組み合いになった。
復讐の女神とはいえ幼女。
魔力なしなら平均的ジャパンのサラリーマンと互角だった。
側から見たら一人が暴れているだけ。
ティシーが見えても全裸幼女と頬をつねり合うオレ。
どちらにしろやべえ。
それくらいオレは周囲が見えていなかった。
「静まりなさーい!」
誰かが叫んだ。
ふと見渡せば兵士たちに囲まれていた。
種族は様々だったが、皆あのピンクの鎧を着ていた。
「マジかよ、どうしようもねえだろーーーー」
「終わりじゃの、掘られちまうが良い、ぷぷ」
ティシーは心底楽しそうにしていた。
オレは完全に絶望して膝をつきorz。
さすがにこの数は再起不能だろ。
が、その時、ざっと兵士たちが二列に整列した。
そして、その真ん中を歩いてやってくる、
真っ白なドレスにキラキラな冠をかぶったかわいいお姫様(?)。
しかも、それがふたり。
「はじめまして、ノンケの旅の方、
私たちは、ケイさまーー」
「アンド ネッさまーーーーふたり合わせて、」
「「双子の王女様ケイ&ネス!!!」」
ふたりピシッと背中を合わせてダブルピース。
そして、あたりがしんと静まり返った。
「こほん、改めまして
ノンケだって食っちまうナラズ者が失礼いたしました。
男の娘の国の王女としてお詫びいたしますわ」
ケイさまと名乗ったほうがそう言うと、
ふたりの王女さまはスカートの裾をつまんで礼をする。
オレはきょとんとしてしまった。
男の娘の国の王女さま。
オレには意味がよくわからなかった。
続く。