表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
傭兵団の料理番  作者: 川井 昂
一章・ボくと暗殺一家
106/141

四十八、君は確かにそこにいた・序

『うーむ、今日も良い天気』


 皆様どうも、ヌルです。今日はとても良い天気。太陽が燦々と空に浮かび、雲一つない天気なのです。

 今日も僕は家事に専念するために、朝ご飯に使った皿を外で洗っているところでした。


『こういう天気なら、掃除洗濯炊事が全部楽で良いんだけどなぁ』 

『おーい、ヌルよ』


 後ろから声をかけられ、皿を持ったまま立ち上がり振り向きました。

 そこには紫煙を燻らせて近づくノーリ様が。


『どういたしました? ノーリ様』

『おう、今日は“外”から客が来るからよ』

『えっ』


 ボくは思わず、ノーリ様の言葉に驚いてしまって、皿を落としてしまいました。

 木製の皿なので割れないのではありますが、それでも落としてしまっては汚いので、ボくは慌てて皿を拾い上げて土を払いました。


『珍しいですね。“外”から来るのは“鴉”と呼ばれる人だけだと思ってました』

『外の言葉を通訳して仕事を持ってくる役目を担ってるのが“鴉”だからな。そりゃ、外から来るとなったらここは隠れ里もあって、人が来る事なんて滅多にないからな』

『では何故?』

『儂らは、ただ里内だけで武術の鍛錬を行っているわけではない。信頼できる“外”の達人を招き、その技術を学ぶこともある』


 へぇ、つまり外部から師匠を招く感じなのですか。

 ボくは顎に手を当てて、思案します。


『“外”からいらっしゃる方なら、“外”に合わせた味付けの料理をお出しして、機嫌を取る必要がございますね』

『良くわかってるな。いつもは別のところのもんが食事の世話をしていたのだが、もう爺さんになっちまったうえに亡くなっちまった。だから、お前に頼みたい』

『ボくに、ですか? そんな光栄な役割を?』

『お前なら信用できる。里長にも、儂の推薦と伝えておこう。お前はこれから、料理を作って用意しておけ』


 ふむ、なるほど。料理は作っておいたものを食べてもらう感じか。スープのようなものにしておこうかな。そうすれば、鍋を持って行って食器に盛るだけで良さそうだ。

 だけど、気になることがあるのでボくは一応、聞いておくことにしました。


『ちなみに、その人が技術を教え終わった後に殺す、とかそういう物騒なことは……』

『こちらの報酬で満足せず、ここの場所を別の国に漏らそうもんなら殺すわな』

『ひぇ』


 マジで殺すって目をしてる!


『まあ、過去に数件あっただけで必ず殺すわけではない。里の場所がわからぬように鴉たちは対策をするし、連れてくるときも帰らせるときも目隠しなどはするだろうよ』

『そうですか』

『じゃあ、頼んだぞ』


 そのままノーリ様は、煙草を新しく煙管に用意してから去って行きました。

 うーん、これから料理を作っておいて、食べてもらう、か。


『いつ頃その人が来るのかわからないけど、まあ作り置いて時間が経ったら味が染みるような、そんな料理で良いか』


 試そうと思ってた料理もあることだし、それを使っておくか。


 ボくはその日、とりあえず腸詰め肉とじゃがいもを、自作のスープで煮こんだ料理を使っておきました。

 さて、残りの仕事をしておこう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 外からの客・・・ポトフ・・・うーむ。 そろそろ接点が出てくる? 来るとしたら、奇襲や斥候に特化したテグ辺りかな? 年末の連日更新、感謝です。
[一言] ポトフってことは…!
[一言] クウガはん来る?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ