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二章 その六

 午後二時。美容院には、予約した時間ぴったりに到着した。

 店内はそこそこ広く、八つあるカット台は既に七つが他の客で埋まっていた。

「こんな感じで、お願いします」

 早速カット台に案内された石井はケータイを操作し、あらかじめ雑誌から撮っておいた髪型の写真を美容師のお姉さんに見せた。お姉さんもこうった風に注文する客に慣れているのか「はいはーい」と軽い口調で頷き、不精に伸びた金髪へとハサミを入れていった。

 結局、石井がどんな髪型を選んだのか、俺は知らない。一応前もって、どんな髪型にするの? と聞きはしたが「そいつは見てのお楽しみってやつだな」と言って不敵に微笑み、結局今日まで教えてくれることはなかった。服に関してはあれだけアドバイスをせがんだ癖に、何故か髪型に関しては俺を介入させようとはしなかった。いまいちよく分からない奴だ。

 散髪が始まった途端、やることがなくなり手持ち無沙汰になってしまう。しかしそれも仕様がない。服屋と違って、店に入ってしまえば俺に出来ることはほとんどない。やることといえば、精々髪を切り終わった石井に月並みな感想を伝える事くらいだろう。

 ハサミが髪を切る小気味よい音をBGMにしながら、カットが終わるまでの間、俺は待合席に置いてあった雑誌をだらだらと読みながら時間を潰した。

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