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「ココヲミツメテ」  作者: 今井渚
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「ミチニタツ」

今井渚。内気な少年時代を過ごし、一人遊びが好きな少年だった。オママゴトや昆虫採集に明け暮れた。そんな今井の唯一の習い事「水泳」が彼のライフワークでもあった。雨が降っても風が吹いても今井の水泳への情熱は冷めず、毎日、毎日水泳の習い事に精を出す。そして今井は、選手コースに昇格するのだ。今井は、平泳ぎを得意とし各大会で優勝、優勝のオンパレード。他のスイミングスクールのコーチから「今井が出るレースじゃうちの生徒は銀メダルか銅メダル。わっはっは」と恐れられたほどだ。金メダルもジョジョに増えつつあった頃、あまりの練習のきつさからズル休みをするようになる。何かと休みたがる今井に対し、相対性ともゆうか両親は行かせたがる。その押し問答で今井は深く心に傷を負う。

結果、水泳をやめるとゆう暴挙に出た今井が次に選んだステージは陸上戦。そう、漫画「武蔵丸の剣」の影響で剣の道に関心を持つのである。小学5年のときである。



そして話は中学時代、おしゃれは無縁伸びたらバリカン、継続は力、のハゲ頭で有名な剣道部に入部。地元の道場からのエスカレーター式のこのシステムにまんまとハマり、ほぼ強制、99.9%の高確率で入部届を書かされる。そんな今井は至って真面目、部活ひとすーぅじの中学生時代を送った。

剣道部≒汗臭い、ハゲ、の引け目もあったのか、、、女子生徒と話すことが苦手であった。しかし、この場合かわいい女子生徒にかぎりブスは対象外である。ブスとは仲良くできた。

ブスは気が楽である。つけあがるブスには容赦なかった。


外周での筋トレ等の練習の日には、バスケット部、サッカー部達の汗で濡れた髪をなびかせてはいちいちかっこいいユニフォーム姿を横目にみつつ、我々はげ上がり隊の一行はショッキングピンクジャージ(当時の学年の規定ジャージ)を身にまとい裏門からすぐの通称、野村の絶壁頭(ほぼ90度)と異名を持つ急な坂を走り込み、青春の汗に酔いしれていた。そんな中学校生活も終盤、今井は他校の剣道部員に一目ぼれをする。中学三年の時だった。

彼女は白の道着に白の袴、そして白いお肌に赤の胴着がアクセントのおしゃれガール。黒髪のボブが似合うかわいい子。こうみえて今井は面食いだったため、今井面食いメーターがマックスの数値を示す。

陰気臭かった剣の道に突如現れた天女。透き通るような純白からにじみ出る眩いばかりの美とゆう後光。「こっこんなことって・・」すべてが偶然ですべてがパーフェクトだった。


それから、試合がある度に天女を探した。なによりの楽しみだった。そして、天女を見つけてはドキドキするだけの楽しみに一時はとどまったが、滅多に会えないロミオ&ジュリエット状態から、その思いはゴム風船のように膨らみついに、「かっ神に近づきたい・・・」、


偶然、天女の所属する剣道部から電撃移籍してきた後輩の富山と共にthe男サミットをほぞぼそと開催しあの手この手で情報を聞き出した。比較的、協力的だった富山のお陰で家電ゲッーーーーートだぜ。もちろん、携帯なんて知りもしなかった時代。高ぶる気持ちとは裏腹宿で、かけよっかやめよっか考え中~のオンパレード。まさに青春である。意を決するのに三日はかかり、いかにも家にいそうな時間帯をねらい発信!



「とぅるるるー、とぅるるるー、とぅる・・」

ガチャ

「はい〇山です。」

「あっもしもし、、い、今井と申します。〇〇中学の剣道部のモノですが。」

「はい。」

「あの~〇〇さんいますか?」

「・・・・」



「わ、、わたしですけど・・・。」

どきゅーーーーーーん・


・いやいやまぁかわいいお声だこと・

天女は天女。声まであなたは恵まれてるのね。


今井は舞い上がった。日本の最高峰、マウント富士よりも空高く。

よーお日本一!


いけーーーそのままいけーー!


頭の回転数は2000をこえ出た言葉は





「・・・前から好きでした。」



キターーーーーーーーーーーーー!!!!!!


声のトーン、音量、間、ともにグー!


「・・・・」


「・・・」


「・・」

「・」


「あの、、」


「ごめんなさい。。誰かわかりません。」




ありがとーーーーー!!!!

僕は知ってるよーーー!




「あっそうですよね。すみません。急に。。

あっえ~~っと、、今・・・お付き合いしてる人はいますか?」



「・・・」


「・・・」



「・・はい」




今井の中学生日記、恋愛編は静かに幕を閉じた。


今井は剣を振った。そして散った。


恋とはまるで魔法のようだ。一気に熱くなり、それがエネルギーとなる。目に映るもの、考えること、すべてがワクワク、ドキドキのファンタジーの様。時には冷めてしまうこともある。魔法が解ければ目が覚める。

今回まんまと魔法にかかりやがった今井の空気の抜けたハートを膨らますのに、富山の懸命なフォローと今井自身の若さが助けとなり、そう時間はかからなかった。


「誰かを射止めようとするのなら楽しいひと時を共有する必要がある。」今井談。


その後、がむしゃらに剣を振るった。

そして引退。。三年間の部活生活も終わり、有り余るパワーを勉強に向けるはずもなくちょい悪仲間達と過ごす。悪に憧れたのだ。

といってもかわいい程度。ちょい悪仲間の影響でたばこを覚え、マイセンをふかしヤンフィー座りで校舎の陰に腰を下ろす。

肺に入れるとむせるもんだから、よく家で練習した。陰ながら頑張った。

たばこを買うときは本屋でエロ本を買う時以上に緊張した。

天女に電話を掛けた時の緊張感に似ていた。達成感もすばらすぃ。


親の勧めで塾に通い始めたがまったくもってやる気なし。ちょい悪仲間の何人かは一緒の塾にいるのだが、暇。暇。暇。塾の講師とやらの高圧的な態度にびびりながらも、真面目ぶるのが精いっぱい。ゆいつやることと言えば同じ塾にいる可愛い女子生徒を見て話したいなぁかわいいなぁと妄想を膨らますことだった。隣の中学からも生徒が来るその塾は普段お見えにかかれないかわいこちゃんもいた。


もちろん、話せるはずもない今井はただただ見つめるだけのシャイな青年だった。

この意気地なしー!


ったくなにを学んだんだ!天女から!

っと今なら言える。


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