プロローグ
意味のない日々。
そう呼ぶにふさわしい日常がそこにはあった。起きる、学校行く、寝る。その3区切りで俺の人間的生活はすべて説明できた。
でもそれが不満だとか不愉快だとは思ったことは無い。
すごく仲の良い友人がいたし、人間関係には困らないぐらいのコミュニケーション能力は持っていたと思う。
ただ後悔だけはあったのかもしれない。
そう考えた時に胸にちくりとした感覚が走る。このままで良いのだろうか。
自分はこのまま何も見いだせないまま社会にでるのだろうか。もしそうなったら…
俺はぞっとした。その得体のしれない何かに。その形容しがたいものがいつか俺を包んでおしつぶしてしまうんじゃないだろうか。
でもそんな日々は俺みたいな普通の人間には当たり前なのだと思っていた。
その他大勢のなかにはふつうの生活が、選ばれた人間にはそれ相応の生活が。
だから俺はいつも胸にひっかかる物を感じながら生きていた。
俺は必死だったのだ。普通の生活がだ。
そもそもふつうの生活ってなんだ。それ相応の生活ってなんだ。
そっと自分のものさしで測ってみた。だがまったく思い浮かばず考えることをやめた。
それに自分主観で定義をきめるべきでは無い。
そうだいつだって定義を決めるのは周りの人だ。俺はいつだって周りに自分の正しさを求める。
自分の行動は周囲に許される範疇にあるのか…
怖かった。もし周囲のルールに反した行動をしてしまった場合どうなるか。
俺は知っている。そうした者が最後にどうなったかを…。どのような結末が待っていたのかを…。
だから俺は周囲に合わせて生きると決めたのだ。
たとえ後悔しても…。
それが俺という存在意義にも思えた。