第8話 SIDE満
カチャッ。
何をどう話すのか。彼女の事をどう言えばいいのか。などを考えていましたがどうやら思いのほか考え込んでしまったようです。時計を見てみれば帰って来たときより40分ほど経ってしまっていました。
「…………それで先程言っていた続きは?」
どうやら私が話し出さないので、痺れを切らしてしまったようです。
「え?ああ、すいません。そうでしたね」
彼から話しかけてくるとは思っていなかったので、少し間の抜けた返事をしてしまいました。さて、なにから話しましょうか。
「気になった人物というのは特生と呼ばれている人です。特生は普通ではない者達がなっているようで私達が探している優秀な人材、魔法や魔術の才能をもっている者もいるかもしれません」
まだ一人しか見ていませんが、その可能性は高いですから。
「…………お前が会った者はどうだったんだ?」
……“どう”ですか。
「……そうですね。彼女は確かに普通の人とは違っていました。雰囲気……と言いますか、存在感が違いました」
普通の人より存在感が希薄で、なのに引き付けるような…………。
「…………そうか。なら今日会った女、少し観察した方がいいな」
「そうですね。その方がいいでしょう」
「ならオレが見ていよう」
「!なぜですか?」
自分でもあわてた声がでたことに驚く。
「?……今日会いに行って明日また会いに行ったら怪しまれるかもしれないだろう?」
「あっそうですか」
卓が言っていることは正論です。…………しかし彼女のことは自分で調べたい、そう思ってしまっている自分に、そしてまだ一度しか会ったことがない彼女に自分がかなりの興味をいだいていることに驚く。
「…………それに話さず見ているだけでいいなら、オレが向いている。話すのはあまり得意ではないからな」
「それではそうしましょう」
「…………ああ」
話がまとまり、一息入れようとしたところにあの二人が帰って来た。
バタンッ!!
「はぁ、はぁ、お前…ら…なに……勝手に帰って…る…んだ」
「はぁ。徹と同じ意見なのは癪だけど、おいてかないでよね」
「ああ、やっと帰って来たんですか。(…………ふぅでも以外に早かったですね)」
あの二人を放置したところからここまで掛かる時間はおよそ25分、ということは40程あのままだったということですね。それでも、もっと遅くなると思っていたんですが……。私が止めるより早く終わったようですね。これからはいつも放置しましょうか?真剣に検討していると私のストレスの原因その一が話しかけてきました。
「やっと帰って来たってお前らが勝手に帰ったんだろうが!」
……反省していないんですかね?
「あんな道端で口喧嘩する人と知り合いだと思われたくなかったんです。これに懲りたら子供みたいなくだらない口喧嘩をしないでくたさい。毎回止めるのは私はいやですからね?」
「うっ、それを言うなら昇にも」
あなたはどこの子供ですか。
「二人に言っているんです。とにかく仲が良いのは十分分かったので、喧嘩しないでください」
何か言いたそうにしている二人に、わかりましたね?とにっこり笑いながら二人に言った。笑みを向けると二人はすぐさま首を縦にふりました。…………やけに聞き分けがいいですね。何かありましたか?