第8話 それぞれの視点で
カチャッ。
家に帰ってきてから数十分たったころだろう。
「…………それで先程言っていた続きは?」
なかなか話し出さない満に痺れを切らしたのか卓が訊いた。
「え?ああ、すいません。そうでしたね」
どこか気の抜けた、心ここに在らずと言った風に満は話し出した。
「気になった人物というのは特生と呼ばれている人です。特生は普通ではない者達がなっているようで私達が探している優秀な人材、魔法や魔術の才能をもっている者もいるかもしれません」
「…………お前が会った者はどうだったんだ?」
少し考えるような雰囲気を出しながら卓は訊く。
「……そうですね。彼女は確かに普通の人とは違っていました。雰囲気・・・と言いますか、存在感が違いました」
「…………そうか。なら今日会った女、少し観察した方がいいな」
「そうですね。その方がいいでしょう」
「ならオレが見ていよう」
「!なぜですか?」
少しあわてたように驚いたように、満は言った。
「?……今日会いに行って明日また会いに行ったら怪しまれるかもしれないだろう?」
「あっそうですか」
「…………それに話さず見ているだけでいいなら、オレが向いている。話すのはあまり得意ではないからな」
「それではそうしましょう」
「…………ああ」
話がまとまり、一息入れようとしたところにあの二人が帰って来た。
バタンッ!!
「はぁ、はぁ、お前…ら…なに……勝手に帰って…る…んだ」
「はぁ。徹と同じ意見なのは癪だけど、おいてかないでよね」
「ああ、やっと帰って来たんですか。」
満が何かをぼそりと呟き、それが聞こえたのだろう卓は三人に何か言いたげな視線を向けた。
そして昇は満の雰囲気が違うのが分かったのだろう。壁際にいた卓の傍にゆっくり近づいて卓に何かを訊いていた。
その後は満が二人を説教してこの四人の1日目は終わった。