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賄賂?

挿絵(By みてみん)


「騎士団訓練場からの帰り道で質問に答えてくれたお礼に」

と、サルヴァトーレから懐中時計を押し付けられた。


秘密結社などでは

「同じデザインの指輪や同じデザインの懐中時計を使う」

のが親和性の証しのように見做されているので

(その手の感覚なのかも知れないな)

と思い、ジェラルディーナは複雑な心境で受け取った。


(変に好意的なのが、なんか怖いよね…)



********************



今更ながら、ジェラルディーナは

「奥方様にはお好きな男性がいらっしゃったらしい」

という噂話を耳にした。


瞬時に

(そりゃあ、結婚が政略結婚だと、結婚相手以外の異性に惹かれる事は誰にでもあるだろうね)

と思い、特に気にとめる必要も感じなかったのだが


フランカの

「夫以外の男が好きだからと結婚生活を不幸な顔で送るのって、人間的に未熟だと思うなぁ〜」

という言葉で


「(ハッ)!」

と思い当たった。



「…もしかして、奥方様がこの屋敷に嫁いで来られてからずっと自己憐憫に浸ってるせいで、ロザリンダさんやスザンナさんが『旦那様の方に問題がある』かのように捏造する動きをしてる可能性があるんじゃ…」


ジェラルディーナがそう尋ねると


「と思うよ」

とフランカが神妙な表情で頷いた。



世の中、狡い人間が多い。


自分が浮気をして婚約もしくは結婚を破綻させるのに…

その事実を誤魔化して相手の有責にするために

相手にアレコレ難癖を付けて批判する。


そういう手口が溢れているので

表面的な態度や言い分では

対人トラブルの実際の事情が分からない事が多い。


奥方様の場合

「彼女の指示でロザリンダとスザンナがフラティーニ侯爵を批判しているのか」

が不透明だ。


だがどうやら夫婦仲がよろしくない元凶は奥方様の方にある事が判った。



「…なんで自分が浮気しても反省せず、それどころか相手に問題があるかのように捏造して批判するような人達がウジャウジャいるんだろう?」

ジェラルディーナが素朴な疑問を呈すると


「その手の誣告犯罪を刑事懲罰として厳しく裁いてないからじゃない?」

とフランカは答え


更に

「誣告犯罪は国家転覆や国家叛逆と繋がるものと見做されない限り民事訴訟の範疇だし、法曹は賄賂に弱い。

結局はお金がないと告訴しても勝てない。

要は誣告加害犯は社会で野放しになっているというのが現状。

そしてそういう図式を目にした傍観者達のほうでも『世の中そういうものか』と納得してしまい、いつしか外道なやり方が常識の一部のように捉えられていく。

お陰で今時は『浮気相手と共謀して相手の有責で婚約破棄や離婚をする』のが当たり前の世の中になってしまってるんだよ」

と世の中の婚姻事情を解説してくれた。


「そういった方面での法的締め付けが緩いと、人間、どこまでも悪辣化していけてしまうという事だね?」


「そう」


「フランカとティベリオは大丈夫なの?」


「なにが?」


「フランカは外にお付き合いしてる彼氏がいるんでしょ?」


「それは仕事だもん。因みにティベリオのほうも外で『お仕事』してるよ。勿論、相手はオバサンなんで、本気になりようがないみたいだけど」


「嘆かわしい…」


「ジェラルディーナも、ここの環境に慣れたら、そういう『お仕事』は普通に命令されるようになるよ。今だってどこぞかの令息が押しかけて来たとかって話だし、相手次第では『誘われたら付き合え』って言われる筈」


「そういうのは『どこまで』付き合わなきゃならないんだろうね?」


「空気を壊さず良好な関係を維持するのに必要なだけ相手の要望に応えるしかないんじゃない?必要に応じては肉体関係も」


「面倒くさそう…」


「…大金持ってたり、社会的影響力を持ってるのに、色気がなくて異性にモテないまま歳を重ねてしまった人達というのは、私達のような微妙なポジションの人間から見て、実は狙い目だと思うんだ。

最初は取り入る事に内心で抵抗があっても、そのうち自己保身の延長として『魅力が無い相手に魅力が有るかのように演技するサービス』を普通に提供できるようになるよ」


「フランカにとって彼氏とのお付き合いは『サービス提供』なんだ?」


「そう。因みに、もっと見返りが多くもらえそうな相手が居れば乗り換える可能性もある」


「…奥方様がお好きなお相手さんって、奥方様の事好きだと思う?」


「その『相手』がどこの誰か分からない事には何とも…」


「フランカやティベリオみたいな人だったら、それこそ『サービス提供』で誑し込んでるって事になるよね」


「その可能性、高いと思う。特に差別とかもされずに普通に生きて、それで通用してる平和ボケな人達は私達みたいな人間の内心なんて理解できないだろうし、その分、こちら側が神秘的に見えるみたいで、逆に誑かされ易いかも?」


「そうだったんだ…」


ジェラルディーナはふと

(奥方様がお好きなお相手って実は刑吏一族の誰かかも知れないんだな…)

と思った。


思わずアンジェロ・フラッテロ子爵の顔が思い浮かんだがーー


(いやいや、それはない筈。好きな人の妹を夫の浮気相手だとか濡れ衣着せて嫌悪するとか、普通の神経の人は絶対しない…)

と思い、その可能性を除外する事にした…。


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