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容疑者リスト

挿絵(By みてみん)


しかし実際にロベルトと共に学院寮の中へと入ってみると

「醜悪な世の中の醜悪な仕様」

に対して呆れ果てる事となった…。


ロベルトは男子。

なので男子寮で暮らしている。


当然

「ロベルトの従僕です」

というフリをしてロベルトの部屋で家事を行うなら

男子寮しか出入りできず

女子寮は監察の範囲から外れるものと思っていた。


しかし、この国のアングラでは鏡硝子の普及率が高い。


異端審問庁にも鏡硝子はアチコチに据えられていたものだが

そうしたイヤラシイ仕様が学院寮でも採用されていたのだ…。


女子寮と男子寮は別々の建物ではなく

大きな4階建ての建物の内部が壁で仕切られている造り。


女子寮と男子寮とを仕切る壁には鏡硝子がアチコチに埋め込まれていて、女子寮の側からはただの鏡に見えるそれが男子寮側からは硝子になっていた。


光の反射率・透過率の違いで見え方の違いが生じる事実を教える科学は

「女子は受けられない学科の筆頭だ」

というのだから…

この寮を作った人達は絶対確信犯だと思う…。


女子寮側は南側で明るく、夜も照明の灯りも途切れる事はない。

寮暮らしの女子達にも評判が良いらしいが…


「寮の公共スペースでの格好や行動を男子達に覗かれ続けている」

という事実を知ろうものなら、一転してブチ切れる女子が続出すること請け合いだ。


よって学院寮で覗きを堪能した男子達は卒業後ですら

誰も真実を女性の前では口にしないのだという…。


ジェラルディーナが仏頂面で女子寮の様子を覗いていると

「リストにある名前の子達はあっちの子とそっちの子だね」

とロベルトが教えてくれて


「ボブは(ロベルトは)随分と女子に詳しいんだね…。今までもこうやって女子寮覗きのできる場所に陣取って覗き続けてきてたの?」

とジェラルディーナはイヤミを口にした。


「お姉ちゃんは僕を一体どんな人間だと思ってるんだろうね…」


「女性に興味ないフリをしたムッツリ助平みたいな?一面を持つ、笑顔の可愛い少年?」


「うん。ムカつくから、この話はやめよう。とにかく、あっちの子とそっちの子が僕ももらってる容疑者リストの名前に載ってる子達だから、あらかじめ友達に聞いて顔を確認しておいたんだ。

お陰で僕は意中の相手が2人もいる好き物みたいに変な評判が立てられてる現状です」


ロベルトは『転生者』云々の話は聞かされておらず

「容疑者リスト」だけを渡されているので

「異端容疑者」を探すための協力だと思っている筈だ。


「…そうなんだね?ごめん。分かった。ボブは無実だって理解した」

ジェラルディーナが苦笑すると


「はい。無実です。誰が何と言おうと」

とロベルトが頬を膨らませた。


「丁度、女子の容疑者が談話室に居てくれて助かったけど、2人とも瘴気の状態は普通だね。容疑から外れるよ。

あと、2人とも容姿も平凡で性格も良くなさそうなのに、ボブは彼女達に気が有る事にされてるんだね?可哀想に…」


「でしょう?僕は面食いじゃないけど、性格の良し悪しにはこだわる方だよ。性格美人か性格ブスかはちょっと監察すれば判るんだから、顔も性格もブスな女子達と変に噂を立てられるのは、本気で迷惑なんだけど、誰も僕の嫌悪感を理解してくれないんだ」


(嫌がってムクれてる顔が可愛いから、ワザと噂されて揶揄われてるんじゃ…)

と思わないでもない。


ロベルトはジェラルディーナとよく似ていて美少年だ。

歳は一学年違い。

(正確には6ヶ月違い)

昔からよく双子に間違われた。


ロベルトが友人達にジェラルディーナを

「ウチの従僕」

と紹介すると


友人達は皆

「「「庶子を使用人として働かせてるのか」」」

と言った。

一目で血縁者だとバレていた…。


とは言え、庶子云々という位置付けは実はジェラルディーナにではなくロベルトの方に当てはまる。


ロベルトは父が母の妹に手を出して産ませた子供なので実質的にはジェラルディーナから見て異母兄弟という事になる。


因みに兄のリナルドは母の連れ子なので、異父兄弟。

母の前夫もフラッテロ家の者なので、リナルドにフラッテロ家の血が流れていないという事はない。


ロベルトの友人達が

「フラテッロ家の遺伝子は優秀なんだな!」

「お姉さんとか妹がいるなら紹介しろよ!」

「従姉妹でも良い!」

と食いつき気味に言い出したので


「ロベルトの友人達はロベルトの顔が好き」

という事がジェラルディーナにもよく分かった…。



「とにかく、女子の容疑者達が容疑から外れる以上、男子の容疑者達の瘴気の状態を見なきゃならないんだけど…。

ジッと見てたら不敬罪で捕まりそうだよね。私、今の立場は従僕だし」

ジェラルディーナが心配事を口にすると


「…というか、容疑者の人達、貴族だから。僕がジッと見ても『不敬だ』って怒られると思う。

それこそ鏡硝子越しに監察できる場所があると良いんだけどね。男子を監察できる仕様じゃないんだよ。この寮」

とロベルトが無情な事実を述べた。


「観葉植物でもあれば葉っぱの影からとか覗けたのにね」


「男子寮側は諸事情のため日当たりも悪く照明も落とし気味でして」


「目が悪い容疑者だとジッと見てても気づかれにくいんじゃない?」


「それなら眼鏡をかけてる容疑者だけは監察できそうかな?」

男子の容疑者は3人。


ジェラルディーナは容疑者の容姿は知らないが、どうやら1人は目が悪い男子のようだ…。



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