なんで生きてるんですか
........
.......
...
―――死んだ
理解はできていた。
だが、思考が許されている事の違和感も同様に感じる。
寝る前の感覚とそれは似ていて、ぬるま湯につかっているかのような気分だ。
―――案外、あっけなかったな
自分の最期を思い返す。
大嫌いなアイツをとっさに助けようした。
目の前で誰かが辛い目にあうのは、嫌だったから。
それが、アイツであったとしても。
だが、それすらもできなかったのだから目も当てられない。
「―――は―――すか」
―――?
誰かの声が聞こえる。
水の中で外から声を掛けられているかのように、はっきりとしない。
―――誰?
手足の感覚が、だんだんとはっきりとしてきた。
お湯に入ってるかのような包まれた感覚。
「ああ―――まし―――ね」
やがて、目の感覚が蘇る。
光が見え―――たわけではない、なおも暗い。
重い瞼を開けると、そこは暗がりのゴシック調の部屋だった。
燭台に灯された明かりがゆらゆらと揺れている。
―――病院、じゃなさそうね
「なんと美しき瞳―――!目を覚まされたのですね!」
若い、女の声だった。
視線をそちらに向けると、黒い水着のようなものを着た女性がいた。
ひどいコスプレだ……頭部には角のようなものまでつけて。
肌は雪のように白く、それでいて瞳の色はエメラルドのような緑。
可愛らしい見た目、外国人だろうか。
「あ……」
うまく言葉を発することができない。
「ええ、ええ!今はまだお目覚めになられたばかり……無理をなさらぬよう」
「どうぞ湯につかったまま、安静にしてくださいまし」
―――湯?ほんとうにこれお湯なの?
私は視線を下に向けると驚愕した。
バスタブの中に浸かっているのは、お湯なんかじゃない。
血だったからだ。




