序話
初投稿です。誤字脱字あるかと思いますがお手柔らかにお願いします。
底の見えぬ湖の水面が、生暖かい春風に吹かれてゆらゆらと揺れている―――
誰かに見られるわけでもないのに一本の桜がこぼれんばかりに咲いている。
他の草木もそう、命の限りと言わんばかりに光り輝いている。
「村の人達とは大違いね…」
全てに絶望しているような顔で日々を過ごしている村の人達を思い出しながらひとりごちる。
年々作物の量が減っていけばそうもなろうというものだ。だがそれも今日で終われるだろう。
…よし
そう意気込んで一歩踏み出そうか、とそんな時
ーーーピタリ
と風も、草木も、ゆらゆら揺れていた水面も一斉に収まった。
まるで時が止まったかのようーーー
「誰だ」
底冷えするような声が水底から響いてくる。
「贄に、なりにきました」
震える身体に鞭打って掠れながらに声を出す。
すると大地が弾み水面が波を起こしていく。
そしてそれは水飛沫を立てながら現れた。
ーーー龍だ。
大きな角に鬣、手には夜空が詰まっているかのような宝玉を携えて。
「名は」
そう言った人の頭ほどある2つの目玉をぎょろりと私に向けてくる。
私の名。
私の名はーーー
読んでくださりありがとうございました。