隠れます!
何度見てもこの城は要塞にしか見えない。
今日はどう乗り切れば良いのかしら。
アシュリーは先に降りたキックスにエスコートされ城の中に入った。
「ん?」妙に注目を浴びている。
アシュリーは小声でキックスに言った。
「キックス様、なんだか人に見られている気がするのですが、、なぜでしょう?」
「アシュリー様、それは帝国の馬車に乗って,帝国の騎士にエスコートされた姫や令嬢は誰もいないからですよ」
キックスは笑いながら言った。
アシュリーは血の気が引いた。注目を浴びてしまう!!
「キックス様、ここで大丈夫です、、、あら私ったら迷子になっちゃって、、送っていただいて本当にありがとうございました!」
アシュリーはわざと大きな声で言った。
パーティーに参加する姫や令嬢達はその言葉を聞き、あの女性は特別な人では無いと安心した顔をしている。
アシュリーを見ていた女性達は安堵し皆広間に入って行った。
その様子を見てホッと一息ついた。なんとかなった。
気持ちを落ち着かせアシュリーはニヤつくキックスを睨んだ。
「アシュリー様、健闘を祈ります」
キックスはわざとらしいアシュリーの演技力に笑いを堪えながら去っていった。
「そんなに笑わなくても良いのに」
アシュリーは去ってゆくキックスを見つめながら逃げることを考えた。
とにかく、あの広間に入ったら終わり。入らないようにするには、、よし!
アシュリーは口元にハンカチを当てて警備をしている騎士に声をかけた。
「あの、、恐れ入ります、、少し気分が悪く、、休憩したいのですが,,」
「お嬢様大丈夫でしょうか?休憩できるお部屋にご案内致します」
騎士は近くのメイドに伝え、メイドがアシュリーを案内してくれた。
広間から少し離れた貴賓室のような所だ。
「こちらのベットをお使い下さい」
メイドはアシュリーを支えながらベットに案内してくれた。
アシュリーは横になり「少し休憩いたします」と言って目を瞑った。
メイドは「何かございましたらお呼びくださいませ」と言って出ていった。
メイドがドアを閉める音を確認てからアシュリーは体を起こし考えた。
「フー、とりあえず第一段階はクリアーね。この先どうしよう、、うーん」
アシュリーはまた横になりゴロゴロしていた。うふふ
「このベット、、、広くてふわふわで気持ちいい!!」
城を追い出されてからアシュリーのベットは木の板に薄っぺらい敷布団を敷いた狭い寝床だ。
このベットに横になると全てが夢のように感じた。
……気持ちいい、、、アシュリーは目を閉じた。
「ジェシー様、全員いらっしゃいました。広間にお越しください」
ランドンは執務室にジェシーを迎えにゆき、共に姫や令嬢が待つ広間に移動しはじめた。
「ランドン、アシュリーはキックスと一緒に来たかい?」
ジェシーは柔らかな笑みを浮かべながらランドンに聞いた。
「はい、キックスより報告がありました、、が、城にいらっしゃるまでに一悶着あったと笑っておりました」
ランドンは紺のハーフコートに金のボタン姿のジェシーを見て、姫や令嬢が憧れる理想的な王子だと感心した。
ジェシー様は常に皆が理想とする帝国の王子であり続けようと努力をしている。この結婚だってそうだ。
国民が望むような女性を選ぼうとしている。、、
ただ、、あの幼い頃に会った仏頂面の姫、今は平民のアシュリー様に興味を持っておるようだが、まさか本気ではないだろう。
ジェシー様がそんな事で幼い頃から積み上げた国民が理想とする皇帝像を崩すと思えない。今は静観しておくとしよう。
「一悶着か!やはりアシュリーは他の女性達とは全然違うね。楽しい人だ」
ジェシーは前回会った時「もうここには参りません!」と半泣き帰って行ったアシュリーを思い出した。
本当は笑って欲しいのに。