そんな顔が見たいんじゃない
「君は帰りたいの?」
ジェシーは眉をひそめ寂しげな表情をしアシュリーを見つめた。
「はい。」
何故ジェシーはそんな表情をしたのかわからない。
だけどそれよりもボロボロの格好が恥ずかしくて,そう思う自分自身が嫌だと思った。
「アシュリー、アシュリーと呼んでも?」
ジェシー王子が言った。
「はい。」
アシュリーは返事をして下を向いた。名前を呼んでもらっても今だけ。次は無い。
「アシュリー、今日、君だけ来なかったから、君を探してもらったんだ。招待状を送った全員に会いたかったから」
ジェシーはアシュリーに近寄った。
「はい。申し訳ありません」
アシュリーは一歩下がった。その様子を見てジェシーは言った。
「君はここに来たくなくなったの?」
ジェシーはまたアシュリーに近づき俯くアシュリーを覗き込んで聞いた。
アシュリーはさらに下をむき言った。
「、、、言い訳は言いません、結果として申し上げたら来たくなかったです。」
「何故だい?」
「、、、ジェシー王子様、見て下さい、私はドレスも持っていません。このワンピースだって転んで汚れて、破れてしまったし、イヤリングだって片耳しかありません。ネックレスだって、、ここに来る馬車さえ無い私がここに来て何をすれば良いのでしょうか?」
アシュリーは顔を上げてワンピースに付いた土を払いながらジェシーを見つめ言った。
「それに、王子様、私は平民です。」
「アシュリー、重要なのはそんな事じゃ無いんだ、、そう言ったら?」
私は君に会いたかった。
ジェシーは悲しみを含んだ笑顔でアシュリーを見つめた。
なぜそんな顔をするの?アシュリーはジェシーを見て胸が締め付けられるような苦しさを感じた。
だけど、ジェシーは帝国の王子で私は、、身分のない人間、、。
「ジェシー王子様は王子様だからそう言えるのですよ、、。私は違いますから、、帰ります。失礼します」
アシュリーはジェシーに頭を下げて庭園を走り出した時、大きな犬が逃げるアッシュリーを追いかけた。
「ワン!」
アシュリーはいきなり大きな犬に飛び掛かられて倒され顔を舐められた。
「キャー!食べないで!美味しくありません!!」
アシュリーは驚いて叫んだ。
ジェシーは犬に驚くアシュリーの言葉が可愛くて笑ってしまった。
「アハハハ!!ロイス止めろ」
ジェシーは笑いながら犬に言った。
ロイスは騎士がアシュリーを探すために連れてきたのだ。
ロイスはアシュリーを舐めるのをやめて大人しくお座りをした。
「大丈夫?」
ジェシーは笑いながらアシュリーに手を差し伸べた。ジェシーの手に手を乗せてアシュリーは立ち上がり
「大丈夫じゃありません!!もう、本当に、、今日はなんて日なの!!」
アシュリーは緊張の糸が切れた。
「アハハハ、アシュリーは楽しい人だ」
ジェシーは笑いが止まらない。アシュリーはジェシーが楽しく笑っている姿も素敵だと思ったが、、笑いすぎ!
「ジェシー様!そんなに笑うと噛みますよ!先ほどの騎士様の腕を噛んだんです!」
アシュリーは笑われすぎだと思い不満な顔をしてジェシーに言った。
「キックス本当に?」
ジェシーは騎士に聞いた。騎士はジェシーに腕を見せた。
「おお!歯形が!!アシュリー、君は最高のレディだね!!」
「ジェシー王子様、私は本当に、、真剣に、、」
アシュリーは今日までの事、今日の事を思い出して泣けてきた。
「アシュリー?ごめん、泣かせるつもりはなかった。。どうか泣かないで、、」
ジェシーは大きな黄緑色の瞳からポロポロと流れ落ちる涙をハンカチで拭いた。
アシュリー、そんな顔が見たいんじゃないんだ。
アシュリーはジェシー涙を拭いてもらいながら不思議な気分になった。前にもこんな事、、あった?
アシュリーはジェシーにハンカチを貸してもらい自分で涙を拭いジェシーに言った。
「もう、二度とここには参りません!!ジェシー様ごきげんよう!!ハンカチは記念に頂きます!」
アシュリーはキックスの所に行き、「あの、、帰り道、、教えてください、、」と小声で伝えた。
キックスはジェシーを見た。ジェシーは頷きキックスはアシュリー連れて城を出た。
ジェシーはキックスと一緒に去ってゆくアシュリーを優しく見つめた。
アシュリー、君は変わっていないね。
「先程の教会までで大丈夫です。」
アシュリーはキックスに言った。
教会につきアシュリーはキックスに謝った。
「キックス様、、先程は噛みついてしまって申し訳ありませんでした。」
「いえ、アシュリー様に噛まれるとは名誉でございます。どうぞお気をつけてお帰りください」
キックスはまた馬車に乗り込み城へ帰って行った。