表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

4/60

やっと会える





「金がないのに診てもらおうなんて図々しい!!」


 突如ドアが開き先ほどの若夫婦が診療所の中から追い出されて道端まで転がり出てきた。


 一体何があったの?

 

「大丈夫ですか?!」


 アシュリーは驚いて若夫婦に駆け寄った。


「あ、先程の、、すみません、、」


 若夫婦の旦那さんが言った。


「おい、その夫婦と知り合いか?」


 アシュリーに声をかけた診療所の中から出てきた男は医者ではなく警護員のようだ。


「はい」


 アシュリーは怪訝な顔で答えた。


「こいつら金がないのにジジイを診療所させて、お金は後できちんと支払うと言ったがな、即金が原則だ。金がないくせに図々しい!」


 男はそう言いながら若夫婦の奥さんの所にゆき、「良い店紹介するぞ」と言ってニヤリと笑い診療所の中に入って行った。


 そして先ほどのお爺さんを無理矢理歩かせ診療所の外に追い出した。


 支えを無くしたお爺さんはふらつき、アシュリーは慌てて抱きとめそのまま後ろに倒れた。


「お爺さん!大丈夫ですか?」アシュリーは起き上がりお爺さんを見た。


「う、う、、」お爺さんは返事をしない。


「金がない貧乏人は野垂れ死ぬのが世の常識だ!」


 男はそう言って診療所に入って行った。


「お爺ちゃん!!」


 若夫婦はお爺さんに駆け寄り何度もお爺さんに声をかけている。


 

 アシュリーは立ち上がり


「ちょっとだけお待ちください」

 

 と言い、近くの宝飾店に入って行った。


「すみません、このイヤリングの真珠を売りたいのですが」


 アシュリーは片方のイヤリングを外し店員に見せた。


「ん?これは上質なものですね、、、しかも金細工も入っている。。。良いでしょう買取ります。」


 アシュリーは店員からお金を受け取りすぐに現場に戻り診療所に入った。


 先程乱暴に三人を追い出した男がアシュリーを見て何か言いそうになったが男に無言でお金を見せた。


「ああ、患者様先程は大変な失礼を、、すぐに治療しましょう」


 男はそう言って外に出てお爺さんを抱き抱え中に入って行った。


「嫌な人、、でも今はそんな事を言ってられません。お爺様を治療してもらうことが最優先ですから我慢しましょうね。」


 アシュリーは地べたに座り込んでいた夫婦に近寄り優しく笑いかけた。


「すみません、、見知らぬ方に、、お金は必ず返しますから、、」


 若夫婦は泣いてアシュリーの手を握った。


「いえ、良いのです。お金がないと生きてゆけないのは事実ですが、尊厳まで奪われる理由はありませんもの。困った時はお互い様ですしね。」


 アシュリーは笑顔で答え先程のお金を全て若夫婦に渡し


 「お爺さんを大切になさってね」と言い立ち去ろうとした。


「お待ち下さい!」


 若夫婦がアシュリーを呼び止めた。


「名前を、教えていただけませんか?私はキース、妻はシドニーと申します」


「私はアシュリーです。また、どこかで、、」


 アシュリーは輝くような笑顔を見せ城に向かって歩き始めた。




 その頃城では多くの姫や令嬢が続々と馬車で到着していた。


「本日はジェシー様のパーティーに出席される姫や令嬢は二百名ほどでございます。」


 執事のランドンが窓の外を見つめているジェシー王子に声をかけた。


 今日のジェシーは光り輝いて見えるほど完璧な姿だ。


 ランドンは美しいジェシー王子をみて満足の笑顔を浮かべた。さすが帝国の皇太子様だ。


 上下白のタイトなハイネックのジャケットとスラックスに青地に銀色の帝国の紋章をあしらったマントをを羽織り、


 その存在感は唯一無二だと感じさせるほどのオーラがあった。


「ランドン、リストはある?」


 ジェシーはランドンの方に振り返り微笑みながら言った。


 ランドンはいつも物腰が柔らかく常に微笑みを絶やさない王子を尊敬している。


 キラキラと光る金色の髪に薄い水色の瞳、


 一見女性にも見える美しい王子は見た目からか弱そうに思われるが


 帝国の王になるべき教育を受けており


 剣術や体術もマスターしてその実力は高いが人に見せることはしない。


 それに政治にも長けており世界中の王国や帝国の人口、経済、軍事力を把握し、帝国の発展のために病に臥している皇帝の代わりに帝国を支えている事は数人の側近しか知らない。

 

自分の実力を見せないのは身を守る術だと教育されているのだ。


 だから多くの貴族は見た目だけでジェシーを判断し優しいだけの王子だと思っている。


 油断させ家臣を見極める力を持っているジェシー王子の姿はランドンの忠誠心を常に煽っている。


 この王子には敵わない。ランドンはジェシーに絶対的忠誠を誓っている。


 

 

 ジェシー王子は全ての名前を確認してランドンに返した。


「もう覚えたからこれはいらない。そろそろ行こうか」


 、、アシュリー、やっと会えるね。

 

ジェシーは十年ぶりに会えるアシュリーを想った。

 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ