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なぜ私が招待された?



 パーティー当日、アッシュリーは乗合の馬車に乗り帝都に向かった。


 馬車には品の良さそうな若い夫婦と年老いたお爺さんの家族が乗っていた。


 アッシュリーも外套を羽織り荷台に座って外を眺めていた。


 帝都にはアッシュリーのいる国境の小さな集落から馬車で二時間ほど行けば着く。


 パーティーは昼食後からなので午前中に着けば間に合う。


 とりあえず、早めに着いて街を見物しながら王城に歩いて行くことにしていた。


 久しぶりに履くヒールがなんとなく自分の姿勢を正してくれる武器に感じる。


 綺麗な姿勢で、優雅に歩かなきゃ。


 

 森を抜けると帝都が見えてきた。城は海の近くにあり断崖絶壁に建っていた。


 背後から攻められることは無さそうなとてつもなく大きな城で、まるで要塞だ。


 ここを攻めようと思う人間がいたら立派だなと思うほど攻略が難しそうだ。

 

 大きな城壁が果てしなく続いており、その広さはアッシュリーが住んでいたお城の二、三倍もある。


 あんな所にいくの?アッシュリーは少し怖気付いた。


 このオリヴァ帝国の王子ジェシー様は優しい王子様だと聞いたことがある。


 天使の様な容姿と優しさ、上品な物腰、穏やかな性格で兎に角男女共に人気のある王子様だと聞いている。


 ジェシー王子とは幼い頃に会ったことを少し思い出した。


 アッシュリーの母国であるミルトンは小国であり、帝国のオリヴァとは友好関係にあったので年一度のパーティーに父である国王と一緒に参加した。その時に挨拶を交わした記憶がある。が、やっぱり思い出せない。



 城が近づくにつれ不安になった。


 私なんかが行っても良いのだろうか、、。


 ジェシー王子はなぜ私に招待状を出したんだろう、、


 あんな小さな集落にいる私をどうやって探し出したのだろう、、。


 なぜ平民の私を?


 どんどん不安になり膝の上に重ねていた両手の拳を握りしめて緊張していた。

 


「あいたたた!!」


 突然お爺さんがお腹を押さえながら前にかがみ込んだ。


「おじいちゃん、大丈夫?」若い夫婦が声をかけている。


 どうしたんだろう?アッシュリーはお爺さんを見た。


 意外に上品な顔立ちをしているが、苦しそうに顔を歪めている。

 

「おじいちゃんお腹が痛いの?しっかり!!」若夫婦の奥さんがお爺さんの背中をさすっている。


「大丈夫ですか?」アシュリーは声をかけた。


「ああ、すみません、祖父が急に体調が悪くなったようで、、」


「もう帝都ですからこのまま病院に行かれた方がいいかもしれませんね」アシュリーは言った。


「はい、、」若夫婦の旦那さんが下を向きながら返事をした。


 何か、、事情があるのかもしれない、、


 アシュリーは若夫婦に言った。


「このまま病院に向かってもらいましょう」


「お急ぎじゃないですか?」


「いえ、大丈夫ですから急いで向かってもらいましょう」アシュリーはそう言って行者に病院へ向かうように頼んだ。


 程なくし、病院に着いた。馬車を降りアシュリーにお礼を言った若夫婦とお爺さんは一軒家の診療所に入っていった。


 なんとなく、若夫婦が気になってアシュリーは診療所の外で診察が終わるのを待っていた。


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