出会い
はじめまして ねここと申します。
このお話は既に完結しておりますが、手直しをしつつアップして行きます。
どうぞよろしくお願いいたします。
「はじめましてジェシー王子様、ミルトン王国第一王女のアッシュリーと申します。」
年齢は自分と同じ八歳位、透き通った可愛らしい声
肩まである、ブラウンの柔らかそうな緩い巻き髪をハーフアップし、そこにピンクのリボンをつけている。
黄緑色の大きな瞳は少し伏せ目がちで、長いまつ毛の先が少し濡れているように見える。
とても可愛い顔をした姫だが
帝国の皇太子である私に
仏頂面で挨拶をする姫を初めてみた。
ニコリとも笑わない。
「はじめましてアシュリー姫、オリヴァ帝国皇太子のジェシーと申します。」
ジェシーは優しく微笑みながら仏頂面の姫を見たがその顔が笑顔になる事はなかった。
「ねえランドン、あの子、緊張してたのかな?」
ジェシー王子は青く澄んだ瞳を執事のランドンに向け聞いた。
「わかりませんがジェシー様に対してあの顔は、、レディではありませんね。」
ランドンは曇った表情をしながらジェシー王子に言った。
「でも、何か、、理由があるかもしれないから、、探してくるね」
見た目も性格も天使だと呼ばれるジェシー王子は幼いながらに帝国の誇り。
ランドンは金色の髪を揺らし、小さな赤いマントを翻しながらアシュリー姫を探しに行くジェシー王子を目を細めながら見守った。
ジェシーは、友好国の王や貴族が多く参加するパーティーであの仏頂面の小さな姫をどう探そうかと広間の中をキョロキョロと見回した。
大人と大人の間から広間の一番奥の隅っこで、窓から眼下に広がる夜の海を寂しそうに見つめているアシュリー姫を見つけた。
よし、見つけた!ジェシーがアシュリーに近づこうとした時声をかけられた。
「ジェシー王子様、一緒にお話ししませんか?」
ジェシーは声がした方を振り返ると少し前に挨拶した令嬢がにこやかな笑顔でこちらをみている。
仏頂面のアシュリー姫とは雲泥の差があったが、
「お誘いありがとう。申し訳ありませんが、人を探しておりますゆえ、失礼」
ジェシーはわざと華やかな笑顔で答えた。
そんな笑顔を向けられるとこれ以上強引に誘えない、そう思わせる力がある笑顔はどんな言葉よりも人をコントロール出来る。
幼いながらにジェシーは徹底して良い皇帝になるべく努力をしている。
それが自分に求められている役割だとわかっているからだ。
この令嬢も、他の国の姫達も自分と同じように幼いながらもそれぞれの役割を演じている中で、、、
アシュリー姫は仏頂面だった。
そんな姫は初めてで強く興味を引かれた。
ジェシーはアシュリーの側に行って話しかけた。
「アシュリー姫、こんなところで何をしているのですか?」
ジェシーは優しく微笑みながら話しかけた。
アシュリーはジェシーを見つめ、なきそうな顔をしながら小さな声で言った。
「お母様が死にそうなの、、ガラスの教会にお祈りに行きたい、、」
言い終わらないうちに黄緑色の大きな瞳から大粒の涙がこぼれてきた。
ああ、この子も大切な人を失うかもしれない悲しみを抱えていたんだ、、、。
ジェシーはハンカチを取り出しアシュリー姫の涙を拭き、
「ガラスの教会にはいけないけど、このお城にも教会があるよ。一緒にお祈りしよう。」
ジェシーはアシュリーの手を握って城の教会に向かった。
教会には誰もおらず二人は一番前の席に座り神様にアシュリーのお母様が良くなるようにお祈りした。
お祈りが終わるとアシュリーはジェシーの前に来てドレスを持ち上げて輝くような笑顔でお礼を言った。
その姿はまるで天使のように可愛らしくジェシーは思わず
「今度二人でガラスの教会に行こうね」と言った。
「二人で教会?ジェシー様、私と結婚してくれるの?」
アシュリーは笑いながら言った。こんなに可愛く笑えるんだな。この笑顔をまた見たい。
「その時が来たら迎えに行くよ!」
二人は顔を見合わせて笑った。
しかし二週間後、二人の願いは叶う事なくアシュリーの母は天に召された。
そしてアシュリーはその当時の側室、のちに皇后になった継母に虐められ、あらぬ罪を着せられ、身分を剥奪され城から追い出された。
あれから十年後、ジェシーはアシュリーを探し出し招待状を送った。