ネットに毒される
母親に叩き起こされて朝を迎えた。ああ寝不足だ。それも全部昨日のあの爆弾発言が原因だ。
何度考えても理由は分からなかったし、結局本人に聞くしかないか?いや、まだ聞き間違いの可能性も残っているし、墓穴を掘る事になりかねない。
だとすると、まずこの世界のことをよく知ることが先決ではないか?どのみち、次の作戦を練るために必要なことだし、知っていて損はない。ちょうどいい機会だろう。
幼稚園にいる間に今後の方針をまとめてみる。やる事としては...
①まず、この世界についてよく知る。
②その過程で、あの発言の意味を探ろう。
③そのうえで、今後の行動を新たに決める。
こんなところだろう。
となると、この世界の情報を集める手段だが...。
まず最初に思いつくのは本、ついでテレビに新聞、といったところだろうか。
あとは、ラジオなんていうのもあるようだな。これらは—ラジオを除いて—実際に触れたことがあるが、日々のニュースや特定の問題に対しての知識を知るのならいいだろう。
だが幅広く—それこそ世界の大まかな情報を—知るのには不向きだ。
そこで登場するのが"いんたーねっと"だ。未だに原理は不明だが、そこは情報が溢れていると聞く。試してみる価値はあるだろう。
幸い"いんたーねっと"に繋ぐための"ぴーしー"は家にあるようだし、聞けば使い方も教えてもらえるだろう。帰ったら早速お願いしてみるとしよう。
帰って早々母親に聞いてみたら、ちょうど新しい物を買おうとしていた様で、古い"ぴーしー"を譲り受ける事になった。なんという暁倖。使い方を教えてもらい、早速情報収集を始める。
カタカタカタ、ターン。カタカタカタ、ターン。カタカタ....。
( ゜д゜)ハッ!恐ろしい。
気づいたらまた違うことをしていた。これがネットの魔力というものなのか。
僕は幼稚園に帰ってきるとすぐにネットに入り浸る生活になっていた。
おかげで世界についてよく知ることができたが、何か人間として大切な物を失っていっている気がする。まぁ、そんなことはどうでもいい。
調べてわかったことは、今が2005年であり約550年経過していること。
あとネットゲームがテラおもしろすwwってことぐらいだな。だが結局、なぜ両親が僕の前の名前を知っているのかは分からず仕舞いだったな...。ん?というか自分の名前で検索してみたらいいのではないか?完全に盲点だったな。
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┃レオナルド・ダ・ビンチ ┃検索┃ヾ(・ω・*)ポチッ
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誰だこのダヴィンチってやつは。僕の名前はビンチだビンチ!まぁ見てみるか。
なになに?レオナルド・ダ・ヴィンチ はルネサンス期を代表する芸術家であり、占星術師、科学者、音楽、数学、鉱物学、天文学、博物学、水理学、... etc、etc。
ってΣヾ( ̄ー ̄;)多すぎんだろ!誰なんだよこの天才は!僕か!
いやぁ後世でこんなにも僕の活躍が認められているとはな。それにしても化学に数学に音楽か...。あれ、僕そんなことしてたっけ?やったことといえば、美味しいパンを作り、絵を描いてってそんぐらいだが?いやパン作りも一種の化学反応であって、計算し尽くされた味が醸し出したハーモニーは音楽と数学の融合芸術だった可能性も微レ存、てそんなわけあるか。
深く調べてみて驚いたのは、この人物は僕とは全くの別人だったことだ。まさか同じ年の同じ国で一文字違いで生まれるなんて偶然が起こっているとは。
両親はこの人物のことは指して言っていたのか。なんだか光栄だな。
さらに驚いたのはこの人物、絵が物凄く上手い。それこそ僕なんかの比じゃないぐらいに。
—そして次の瞬間僕は衝撃を受ける。
この絵、僕の絵じゃないか。
画面に写っているのは自分が前世に描いた絵がダウィンチの絵としてオークションにかけられている写真だ。そして、その額実に、ええと、一、十、百、千、万————100億円。