覚醒の騎士(神)
「ふふふ、あーっハッハッハ!もうすぐだ、もうすぐであのクズ共を殺せる。苦労してドラゴンを連れてきた甲斐があった!さあ、やれ、ドラゴ、ン、、は?」
幽霊の様な、謎の魔物の顔は喜びに満ちた顔から、急激に困惑した顔へと変わる。白い顔がさらに白くなった様だ。
先ほどまで、ドラゴンが圧倒的に優位だったはずだ。その証拠に奴らはたかがドラゴンの魔導一つに大慌てしていた。
なのに、なのに、「ナゼ、コウナッタァァァ!!!」
奴の周りには、生命が尽き、骸と化した騎士共と、頭部を刎ねられたドラゴンの死体があった。
先ほどまでの焦りは何処に行ったのかと言いたくなる様な、落ち着いた顔で、奴は立っていた。
奴の背中からは、薄い色付きガラスの破片が集まって出来たかのような、繊細だが、神々しい翼が生えている。
奴の持つ剣は、いつの間にか二つに増え、神々しい光をこれでもかと放っている。我では直接斬られれば即死してしまうだろう。
鎧や盾には、ドラゴンの返り血がこびりつき、不気味な雰囲気を作り出している。
『「神に仇なす、愚かなモノよ、我が消し去ってやろうではないか」』
先程までと違う、不気味で、ただ何処か見ていたくなる顔で、奴は不敵な笑みを浮かべた。
奴が剣を掲げる。剣先に光が集まり、ッt、まずい逃げ、
<<[『神聖神光最上位魔法 第十一魔導陣 神の光』]>>
っく、無詠唱カァァァ
「ふふふ、追加で、<<[『神聖神光最上位魔法 第十一魔導陣 神の雷』]>>
「なん、だとォォォ、っく[短距離転移] [短距離転移] [短距離転移] [短距離転移][短距離転移ィィィ!]」
奴の剣先から放物線を描きながら、光のレーザーが大量に現れる。さらに急に空が曇ったかと思うと不規則な動きをしつつ、空全体が黄色くなるほどの雷が高速で、大量に迫ってくる。短距離転移で避けれる分は避けるが、っく、やはりこのままでは当たる、くっそがァァァ[緊急転移ィィィィィ!!!]
奴から距離をとりつつ、一気に転移する、深淵、深淵は何処に行った!あいつなら、魔法である以上無効化出来るはず、頼む近くにいてくれェェェ。
城からほうほうのていで逃げ出した、我の目に映ったのは、待機していたはずの、魔物を虐殺している、姿が変わった深淵だった。
「ダカラ、ナゼ、コウナルノダァァァ!!!」