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ep95 狙い(シヒロ視点)

「えっ?で、でも」


「でももクソもねえ。おれとブーストでなんとかするから、とにかくその隙に嬢ちゃんは思いっきり逃げろ」


「トレブルさんとブーストさんは......か、勝てるんですか?」


「......安心しな。じきにダンナが来る。ダンナならきっとなんとかしてくれるはずだ」


 それだけ言ってトレブルさんはブーストさんと無言でこくんと(うなず)き合いました。

 その瞬間です。


「あっ、やっぱ気が変わったわ。オメーら全員今すぐ地獄イキな」


 キラースが肩越しに理不尽な気まぐれを表しました。


「地獄行きは貴様だ!」


 ぼくたちがキラースの言葉にびくんと身構えた転瞬、前方に風の如く紅髪の女剣士が出現します。

 と同時にスパァァッ!と一閃が(きら)めきます。


「!!」


 完全に意表を突かれたキラースは抵抗する間もなく正義の一閃に斬り伏せられた!

 と思いきや、突然キラースの全身からボガァァン!と小爆発が起こります。

 

「!」


 が、それは相手にダメージを与える爆破ではありません。

 紅髪の女剣士...カレンさんは即座にパッと上方を見上げます。


「今のはちっとアブなかったぜぇ!」


 なんとキラースは咄嗟の爆風で上方に舞い上がりカレンさんの剣撃を回避したのです。

 しかしカレンさんは止まらずその場でびゅんと剣を振り抜きます。


「〔発閃〕」


 空中のキラースへ向かいズバァァッ!と剣の衝撃波が放たれました。

 さすがにこれはかわせそうにありません。

 ところが、

「ギィエェェェェ!」

 すんでのところでギューンと飛んできた魔物がキラースをキャッチして運び去り、〔発閃〕はギリギリでかわされてしまいました。

 

「いや〜アブねえアブねえ」

 

 上昇していく魔物の脚にぶら下がりながらキラースが言葉を漏らします。

 その魔物とキラースは意思疎通ができるのでしょうか?

 そうとしか思えないような光景です。


「......お前達は大丈夫か?」


 敵が射程距離外の上空まで上がっていくと、ふいにカレンさんがぼくらへ言葉をかけました。


「だ、大丈夫です!それよりカレンさんは大丈夫なんですか??」


「問題ない。しかし、思いのほかヤツの魔術は厄介なようだ」


「てゆーか隊長さんよ!あんたの〔発閃〕でヤツごと空の魔物どもを撃ち堕とすことはできねえのか?」


 トレブルさんが質問しました。


「できるが、あれを撃ち堕とすとなると強力な〔発閃〕になる。そんなものをまだ避難が済んでいない街の上空でやればどうなるのか?言うまでもないだろう」


「じゃあまずは市民の避難が先決ってことか」


「だが、我々が小部隊なうえに祭り中での無差別爆撃と襲撃。遺憾(いかん)ながら対処が追いついていない」


 カレンさんは苛立ちを隠せません。

 ぼくには戦いのことはわかりません。

 ですが、ふと妙に思いました。

 

「な、なんか、まるで〔フリーダム〕がカレンさんをおびき出した上で、でも手を出させないようにしているみたいですね。て、ぼく意味わからないこと言ってますよね。す、すいません」


 この時、カレンさんはぼくを見てはたとします。


「まさか、狙いは軍......いや、私か!?」


 その時です。

 上空からなにやら強烈な魔力エレルギーを感じます。

 これには皆ピクッと反応して一斉にバッと上空を見上げます。


「あれは!」


 なんと、魔物の一頭が口をパックリ開けて、口内に凄まじい魔力のエレルギー弾をズズズズッと生成しています。

 魔物の背中にはキラースがまたがっています。


「外道が!」


 その非道の前兆を視認した瞬間、カレンさんは矢の勢いで猛然と飛び出していきました。

 どこに向かって?

 おそらくそれは......着弾地点と思われる付近へ!

当作品をお読みいただきまして誠にありがとうございます。

面白かったら感想やいいねなどいただけますと大変励みになります。

気に入っていただけましたら今後とも引き続きお付き合いくだされば幸いです。

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