ep94 危機(シヒロ視点)
ぼくはあまりの衝撃に愕然とします。
だってカレンさんは......あの勇者様の妹君で世界最高の魔法剣士さまなのに!
しかし、ぼくはすぐにハッとします。
「そ、そういえば敵は!?」
あの爆発だと、敵はカレンさんもろとも自爆したと同じです。
いや、最初からそれを狙っていたのでしょうか?
建物付近は視界を遮るようにもくもくと煙が舞い上がり確認することができません。
「よお、オメーらじゃねえか」
突如、もくもくと煙る前方から人の声が届きました。
「!」
煙の中からこちらへ人影が進んできます。
「あ、あんたは...!」
「キラース!!」
トレブルさんとブーストさんが凍りついた声を上げました。
ふたりの表情は明らかに戦慄しています。
「確かオメーら...シヴィスんとこにいたヤツらだよなぁ?」
煙幕からぬっと姿を現したキラース。
顔からは仮面が剥がれていて、釣りあがった目に危うい光をたたえて残忍な微笑を浮かべています。
「ひぃぃ!」
ぼくは本能的に怯えました。
「嬢ちゃんはおれたちの後ろにいろ!」
そう言いながらトレブルさんとブーストさんの顔には色濃い恐怖が滲んでいます。
「オメーら、こんなところでなにしてんだぁ?」
ブーストさんよりも背の高いキラースは、見下ろすように質問をしてきました。
「な、なにって......祭りに来ていただけっすよ!なあブースト?」
「そ、そうだぜ!」
「女隊長と一緒にか?」
「ち、ちげーよ!」
「おれらはたまたま居合わせちまっただけだぜ!」
「後ろのガキはなんだ?」
「...!こ、この娘は......」
「ただのパシリだぜパシリ!」
「ふーん、なるほどねぇ。そんじゃオメーら手伝え」
「えっ??」
「な、なにをっすか??」
「あの女隊長をさがすんだ」
「さっきの爆破で死んだんじゃ?」
「だ、だよな?」
「バカかオメーらは。あの女はあれぐらいじゃくたばらねえ。瓦礫に埋もれながらもゼッテー生きてる」
「そ、そうっすか」
「お、おう」
「ついでにオメーらをオレの部下にしてやる。こんなありがてえハナシねえよなぁ?あとはそこのガキ......慰みモンとして使ってやるか?うちにはロリコンの変態もいっからなぁ」
キラースは残酷にニヤリとしました。
ぼくの背筋がぞわっと凍りつきました。
「んじゃさっそくはじめっぞ」
キラースはクルッときびすを返し、歩きだしました。
ぼくたち三人も歩きだそうとしたその時。
「嬢ちゃん。おれたちが隙を作るから嬢ちゃんはその間に逃げろ」
トレブルさんがこっそり囁きかけてきました。
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